文字サイズ変更
キーワード:風、海陸風
概要
海岸地域で穏やかに晴れた日に、日中は陸地の方が海面より早く暖まるので、海から陸に向かう海風となります。一方、夜間は陸地の方が海面より早く冷えるので、陸から海へと向かう陸風となります。このように陸上と海上の気温差により1日を周期として、海風、陸風が交代する風系を海陸風と呼びます。特に、高気圧に覆われて気圧の傾きが緩やかな日に明瞭にあらわれる風の変化です。
キーワード:観測、シーロメーター
飛行場にはそれぞれ、離陸に際しての雲底の高さ制限や着陸に際しての進入限界高度が航空路誌(AIP)に定められています。また、雲底高度を含む雲の状態に関する情報は、運航管理者による運航計画や目的飛行場に進入・着陸をしようとする航空機の安全運航にとって重要な情報といえます。このため、今回はシーロメーターについて、測器の概要や羽田空港における設置状況等を紹介します。
シーロメーターは、直上にある雲底の高度を測定する装置で、観測者の目視により通報するMETARやSPECIの雲底高度の観測の参考とする機械です。
キーワード:風、沿岸前線、冷気層
航空機の運航にとって大事な気象要素の一つとして風があります。運航用飛行場予報(以下、「TAF」という。)の中で風は風向と風速を予報し、風向は離着陸する滑走路を決めるため等に利用されています。しかし、時には予報した風向変化が遅れることや、起こらないこともあり、現場の予報担当者は狼狽させられることもしばしばあります。今回はそのような現象の一つである「沿岸前線」について紹介します。
キーワード:観測、衛星、筋状雲、帯状対流雲、波状雲
気象庁は、静止気象衛星(運輸多目的衛星ひまわり6号・7号)を用いて、赤道上約3万6千kmの上空から雲などの観測を行っています。この衛星は、地球の自転と同じ周期で地球の周りを回りながら、1時間毎に全球(衛星から見える地球のすべての範囲)を、概ね30分毎に北半球(衛星から見える地球の北半分)を観測しています。
近年は衛星画像解析技術の進歩により、様々な天気現象の変化を判別(可視化)することが可能になりました。今号では冬季における特徴的な雲画像のパターンをいくつか紹介いたします。
キーワード:観測、統計
2013年一年間、羽田空港での気象観測の値を月毎の統計値(気象庁ホームページ)から、どのような年であったか簡単に振り返ってみました。
キーワード:観測、雷、雷監視システム(LIDEN)
雷監視システム(LIDEN:LIghtning DEtection Network system)は、雷により発生する電波を受信し、その位置、発生時刻などを求め、情報を作成するシステムです。この情報は航空会社などに直ちに提供されて、空港における地上作業の安全確保や航空機の安全運航に利用されています。2013年は雷監視システムについて、照会を受けることが多かったので、雷監視システムの構成、測定原理、雷実況図について紹介します。
キーワード:強風、シアーライン
2013年も冬が近づいてきました。関東南部でも北西強風が吹く季節となります。
今回は、関東南部に北西強風をもたらす典型的な冬型の例として、木枯らし1号(東京地方)となった11月11日の強風事例を紹介します。
キーワード:予報、運航用飛行場予報(TAF)、飛行場時系列予報、雷発生確度
先般、ICAO ANNEX3及びアジア太平洋地域の地域航空協定(地域航空計画)により、運航用飛行場予報(TAF)の発表時刻、有効期間について変更を勧告されました。また、IATA(国際航空運送協会)においては、「全てのTAFは発表(発信)後30分以内に、予報期間の開始時刻の30分より前に末端のユーザーが利用できること」を要望されました。
キーワード:乱気流、ジェット気流
ジェット気流とは、上空約30000~40000ftを流れる長さ数千km、幅数百km、厚さ数kmの強い西風のことで、航空機の運航と密接な関係があります。今回はジェット気流の成因と、航空機の運航との関係について紹介します。
キーワード:予報、特別警報
気象庁では、平成25年8月30日(金)0時(JST)から「特別警報」の運用が始まりました。「特別警報」は、「東日本大震災」や「伊勢湾台風」といった、誰もが一度は聞いたことがあるような大災害が起こるおそれがある時に、住民の皆さんに最大限の警戒を呼びかけることを目的に創設された防災気象情報です。
「特別警報」は航空気象情報ではありませんが、地元気象台から発表され自治体や報道機関を通じて伝えられます。
キーワード:観測、風、風向風速計
羽田空港では、C滑走路の南伸工事に伴い、平成25年8月22日の00時(JST)からC滑走路の短縮運用が始まります。このため、34R側に設置されている風車型風向風速計(以下風向風速計という。)を北側に210m移設します。C滑走路の短縮運用が終了した際には、従来の位置での観測を再開します。(風向風速計と同様にRVRも移設します。)
今回は、風向風速計を移設するということもあり、羽田空港の風向風速計の設置場所、測定原理などについて紹介します。
キーワード:情報、竜巻注意情報、竜巻発生確度ナウキャスト
平成18年9月の宮崎県延岡市、同じ年の11月に北海道佐呂間町で竜巻による被害があり、気象庁では竜巻など激しい突風に警戒を呼びかける気象情報の提供として、平成20年3月から「竜巻注意情報」の発表を開始しました。平成22年5月からは、竜巻など激しい突風が発生する確度(確からしさ)をきめ細かな地域分布として表した予測情報「竜巻発生確度ナウキャスト」の提供を開始しています。
また平成24年5月6日にも茨城県、栃木県などで複数の竜巻が発生し、各地で大きな被害をもたらしました。
キーワード:雪、南岸低気圧
2013年1月14日(月)の「成人の日」は、南岸低気圧の影響で関東地方は大雪となり、羽田空港でも積雪を記録しました。
今月号では、当日の気象観測実況と、関東地方の雪のポイントとなる「南岸低気圧」について紹介します。
キーワード:強風、冬型の気圧配置
2012年も東京の木枯らし1号が2012年11月18日に観測され、西高東低の冬型の気圧配置が多くなってきました。冬型の気圧配置になると、強い寒気が日本付近に南下するため、関東地方では北西から北の風が強く吹く日が多くなります。
一般に、冬の季節風は北西から北の風ですが、関東平野(特に南部)では中部山岳の影響を受けて、南西の強風になる場合もあります。南西風というと暖かい風を想像しますが、この場合の南西風は乾いた冷たい風です。これはシベリア高気圧から吹き出した北西風が、中部山岳を西周りに迂回して、東海地方から関東南部に流れ込んだものです。
また、中部山岳を北周りに迂回した季節風は、北西風から北風となって関東平野を南下し、南西風との間で明瞭なシアーラインを形成することがしばしばあります。
キーワード:予報、数値予報
風はニュートンの運動方程式に従って吹いています。大気の熱エネルギーや水蒸気は風によって運ばれます。また、水蒸気が凝結して水滴になったり、太陽からの光が熱に変わる現象などは、すべて数式で表すことができます。それらを組み合わせることにより将来の大気の状態を計算で求めることが可能です。このような計算による気象予測のことを数値シミュレーション(数値予報)と呼んでいます。
キーワード:乱気流、ケルビン・ヘルムホルツ波、リチャードソン数
季節が進んで、気象衛星画像でも日本付近で東西に走行するジェット気流が明瞭となってきています。ジェット気流が強まる秋から春は、航空機の運航に大きな影響を与える晴天乱気流(Clear Air Turbulence、以下CATという)が多く発生します。CATとは、雲(上層雲を除く)を伴わないで発生する乱気流のことをいいます。
CATの予想においては、CATの時間スケールが数分から10分程度、空間スケールは10mから1000m程度であるため、数値予報で正確に予測することは非常に困難です。
キーワード:観測、滑走路視距離観測装置(RVR)
RVRとはRunway Visual Rangeの略で滑走路視距離のことです。滑走路視距離とは、滑走路上の航空機のコックピットからパイロットが、滑走路面の標識や滑走路灯などを見ることができる最大の距離のことです。一般的に、滑走路視距離を観測する測器そのものをRVRと呼ぶこともあります。
RVRは、悪天時において離着陸の可否を決定する気象条件のひとつであり、航空機の運航にとって非常に重要な気象要素・気象測器です。今回は、このRVRについて、測器の概要や羽田空港におけるRVRの設置状況等を紹介します。
キーワード:予報、台風
熱帯の海上で発生する低気圧を熱帯低気圧といい、そのうち北西太平洋周辺に存在し、最大風速が34kt以上のものを台風とよびます。台風は高水温の海面から熱と水蒸気を補給することで発達します。台風の勢力は、目安として中心付近の最大風速や強風域の半径により階級分けされています。台風は巨大な空気の渦巻きで、中心に向かって反時計回りに強い風が吹き込み、台風を移動させる空気の流れと一致するため、進行方向左半円より右半円では風が強くなります。なお、個々の台風ではその時の台風や周辺の気圧配置の状況などによって風の強い領域は大きく異なりますので注意が必要です。
また、台風は暖かく湿った空気を持ち込むため、接近時はもちろん、日本付近に前線が停滞しているとその湿った空気が前線の活動を活発化させ、大雨となることがあります。
キーワード:予報、運航用飛行場予報(TAF)、着陸用飛行場予報(TREND)
航空地方気象台や航空測候所では、航空機の運航や空港の施設などに影響を及ぼす風向風速や視程・天気などの要素について、飛行場予報・飛行場警報・飛行場気象情報を発表しています。
このなかの運航用飛行場予報(TAF)、着陸用飛行場予報(TREND)の予報変化基準が2012年7月26日00時(JST)発表のものから新しい基準に変更になりました。今回は、この改正点や背景について解説します。
キーワード:雷
天気予報などで「大気の状態が不安定で雷を伴う見込みです。」と、よく表現される場合があります。
「大気の状態が不安定」とは、以下の様な気象条件となった時をいいます。①上空に寒気が流れ込んだ場合②下層に暖かく湿った空気が入った場合③日射の影響で地上の気温が上昇する場合
このような気象条件になると、上昇気流が発生して雲を作り、積乱雲にまで発達すると局地的な大雨や雷となることがあります。
発達した積乱雲は、強い雨や落雷、突風(竜巻やダウンバースト)などの激しい現象を発生させる場合があります。2012年5月に関東地方で発生した竜巻の事例と2011年8月に羽田空港で観測された大雨の事例について解説します。