ここでは、北海道地方の天候について、概説や季節ごとの特徴を解説します。
また、毎年その季節になると現れやすい現象をコラムで紹介したり、平年から大きくかけ離れた天候が続いて社会的影響が大きくなった過去の事例について、専門的な資料を織り交ぜながら解説します。
農業や観光、防災などさまざまな産業・分野において、あるいは日々の生活の中で、お役立ていただくためのコンテンツです。
北海道地方の天候の特徴
北海道の天候の概況
北海道は太平洋、日本海、オホーツク海の特性の異なる三つの海に囲まれていることや、大雪山系や日高山脈などの地形により、地域によって大きく異なる気候特性を持っています。
北極や大陸からの寒気の影響を強く受ける冬には、日本海側で曇りや雪の日が多く、太平洋側では晴れの日が多くなります。 オホーツク海側はその中間的な特徴を持っています。
夏には本州と同様に太平洋高気圧に覆われる時期もありますが、太平洋側の海岸部では霧の日が多いのも特徴です。
北極や大陸からの寒気の影響を強く受ける冬には、日本海側で曇りや雪の日が多く、太平洋側では晴れの日が多くなります。 オホーツク海側はその中間的な特徴を持っています。
夏には本州と同様に太平洋高気圧に覆われる時期もありますが、太平洋側の海岸部では霧の日が多いのも特徴です。
図1 各地域を代表する3地点の気候グラフと北海道の地形図(1991~2020年の平年値より作成)
春(3~5月) 『雪深い景色から花咲く野原へ。一足飛びに変化する季節』
2008年5月1日の天気図には、西から東へ進む低気圧や高気圧が記されています。春は、これらが交互に北海道付近を通過するため、天気は数日の周期で変わります。
春のはじめ頃は、積雪がまだ多い状態です。低気圧の通過前には、南からの暖かい空気が入って雨となり、一気に雪解けが進むことや、通過時や通過後には、猛吹雪となって災害をもたらすこともあります。
季節が進むにつれ、移動性の高気圧に覆われやすくなって気温も上昇します。北海道でもようやく桜やチューリップなどが咲き誇るようになりますが、低気圧の通過前後には、フェーン現象で30℃以上になったかと思えば、北からの寒気で一気に気温が下がって、季節はずれの雪となることもあります。 また、オホーツク海高気圧が現れると、冷たく湿った気流の影響で寒い日が10日以上続くこともあります。
このように春は、季節が移ろい行く中で景色や天候が大きく変化すると共に、日々の気象の変化もまた大きな季節です。
春のはじめ頃は、積雪がまだ多い状態です。低気圧の通過前には、南からの暖かい空気が入って雨となり、一気に雪解けが進むことや、通過時や通過後には、猛吹雪となって災害をもたらすこともあります。
季節が進むにつれ、移動性の高気圧に覆われやすくなって気温も上昇します。北海道でもようやく桜やチューリップなどが咲き誇るようになりますが、低気圧の通過前後には、フェーン現象で30℃以上になったかと思えば、北からの寒気で一気に気温が下がって、季節はずれの雪となることもあります。 また、オホーツク海高気圧が現れると、冷たく湿った気流の影響で寒い日が10日以上続くこともあります。
このように春は、季節が移ろい行く中で景色や天候が大きく変化すると共に、日々の気象の変化もまた大きな季節です。
図2 2008(平成20)年5月1日の天気図
図3 2008(平成20)年5月1日の最高気温の様子
風下のオホーツク海側で30℃を超えています。
- コラム 春の低気圧 ~急速な雪解けと季節はずれの大雪~
- コラム オホーツク海高気圧
- 顕著な天候事例 顕著な低温と寡照(2013年5月)
- 顕著な天候事例 道内歴代1位の高温(2019年5月26日)
夏(6~8月) 『梅雨のない さわやかな北海道の夏?』
2009年7月25日の天気図では、暖かい空気をもたらす太平洋高気圧が本州方面に張り出しており、オホーツク海には冷たい空気をもたらすオホーツク海高気圧があります。
太平洋高気圧が、北海道まで強く張り出す年は高温傾向となり、オホーツク海高気圧などが多く現れる年には、冷夏となることが多くなります。 太平洋側では、太平洋高気圧からの暖かく湿った空気が、冷たい海水(親潮)に冷やされて発生した海霧に覆われる日が多いことも、夏の特徴です。
また、天気図には二つの高気圧の境界を示す停滞前線が横たわっています。 この停滞前線が北海道にもかかって、集中豪雨が発生するなど、盛夏期の前にくもりや雨の日が多くなる年もあります。 しかしながら、一般的に北海道に梅雨がないと言われているのは、このような天候が毎年決まった時期に一定の期間、現れるわけではないためです。
太平洋高気圧が、北海道まで強く張り出す年は高温傾向となり、オホーツク海高気圧などが多く現れる年には、冷夏となることが多くなります。 太平洋側では、太平洋高気圧からの暖かく湿った空気が、冷たい海水(親潮)に冷やされて発生した海霧に覆われる日が多いことも、夏の特徴です。
また、天気図には二つの高気圧の境界を示す停滞前線が横たわっています。 この停滞前線が北海道にもかかって、集中豪雨が発生するなど、盛夏期の前にくもりや雨の日が多くなる年もあります。 しかしながら、一般的に北海道に梅雨がないと言われているのは、このような天候が毎年決まった時期に一定の期間、現れるわけではないためです。
図4 2009(平成21)年7月25日の天気図
図5 2009(平成21)年7月25日の最高気温
停滞前線の北と南では10℃以上の差があります。
停滞前線の北と南では10℃以上の差があります。
図6 2009(平成21)年7月25日の日降水量
停滞前線の南側に暖かく湿った気流が流れ込んでいました。
停滞前線の南側に暖かく湿った気流が流れ込んでいました。
- コラム 北海道太平洋側の霧
- コラム オホーツク海高気圧
- コラム 盛夏期前の曇・雨天
- 顕著な天候事例 記録的多雨(2009年7月)
- 顕著な天候事例 台風と前線による記録的多雨(2016年8月)
- 顕著な天候事例 停滞前線による大雨(2018年7月)
- 顕著な天候事例 札幌で3日連続の熱帯夜(2019年7月30日~8月1日)
- 顕著な天候事例 記録的高温・少雨(2021年6~8月)
秋(9~11月) 『気温の変化が最も大きく、突風災害の多い季節』
北海道の秋は、春と同様に西から東へ進む低気圧や高気圧が交互に通過する季節です。
日本海側やオホーツク海側では、春に次いで晴れる日が多い季節ですが、9月は台風や秋雨前線の影響などで、降水量が最も多い月です。
また、2006年11月7日には佐呂間町で竜巻による大きな被害が発生するなど、秋は台風や突風などによる災害の多い季節でもあります。
秋から冬に向かって気温は急速に下がり、季節のはじまりと終わりの気温差は四季の中で最も大きくなります。 季節が進むにつれ、初冠雪、初雪、初霜などの知らせが届きます。 一般的に平年より気温が高い年は、これらの現象は遅れがちになりますが、低気圧や台風の通過後に一時的な強い寒気が入って、平年より早まることもあります。
また、2006年11月7日には佐呂間町で竜巻による大きな被害が発生するなど、秋は台風や突風などによる災害の多い季節でもあります。
秋から冬に向かって気温は急速に下がり、季節のはじまりと終わりの気温差は四季の中で最も大きくなります。 季節が進むにつれ、初冠雪、初雪、初霜などの知らせが届きます。 一般的に平年より気温が高い年は、これらの現象は遅れがちになりますが、低気圧や台風の通過後に一時的な強い寒気が入って、平年より早まることもあります。
表1 季節ごとに比較した、日平均気温の気温差※、晴れ日数、季節内の最大月降水量(各地の平年値から算出)
※ここでの気温差は、日平均気温が季節内で最も高い値と低い値の差
図7 2011(平成23)年9月5日の天気図
図8 北海道における竜巻の月別発生回数
1991年~2020年の発生件数は49件で、約7割(34件)が秋に発生しています。
1991年~2020年の発生件数は49件で、約7割(34件)が秋に発生しています。
- 顕著な天候事例 大気と海洋がもたらした高温(2012年9月、10月)
冬(12~2月) 『雪と氷の世界も、太平洋側は晴れ日数が最も多い季節』
2011年1月21日の天気図には、大陸に勢力の強いシベリア高気圧が、カムチャツカ半島付近には発達したアリューシャン低気圧があって、北海道付近の等圧線は縦縞模様となっています。
これが冬の特徴的な天気図で『西高東低の冬型の気圧配置』と呼ぶこともあります。
冬型の気圧配置は、日本海側に大量の雪をもたらします。 また、比較的長く続くことから、冬の北海道は、日本海側では雪の降る日が多く、山岳の風下側となるオホーツク海側や太平洋側では晴れる日が多くなります。 ところが、北海道で一日に最も多く雪が降った記録は、帯広の102センチ(1970年3月16日)です。 このときは、北海道付近を低気圧が通過していました。 北海道付近を低気圧が発達しながら通過する時には、広い範囲で暴風雪や大雪となり大きな被害が発生することがあります。 これらのほか、冬型の気圧配置が緩み始めた時に日本海側で小さな低気圧が発生し、局地的に暴風雪や大雪となることがあります。
また、北海道の冬の天候には、オホーツク海を覆う流氷による影響が現れるのも特徴です。
冬型の気圧配置は、日本海側に大量の雪をもたらします。 また、比較的長く続くことから、冬の北海道は、日本海側では雪の降る日が多く、山岳の風下側となるオホーツク海側や太平洋側では晴れる日が多くなります。 ところが、北海道で一日に最も多く雪が降った記録は、帯広の102センチ(1970年3月16日)です。 このときは、北海道付近を低気圧が通過していました。 北海道付近を低気圧が発達しながら通過する時には、広い範囲で暴風雪や大雪となり大きな被害が発生することがあります。 これらのほか、冬型の気圧配置が緩み始めた時に日本海側で小さな低気圧が発生し、局地的に暴風雪や大雪となることがあります。
また、北海道の冬の天候には、オホーツク海を覆う流氷による影響が現れるのも特徴です。
図9 2011(平成23)年1月21日の天気図
図10 (左)冬の降雪量と(右)日照時間(1991~2020年の平年値から作成)
- コラム オホーツク海を覆う流氷の影響
- コラム 冬の北海道で大雪となる3つのパターン 冬型の気圧配置がもらたす大雪 発達した低気圧がもたらす大雪 小さな低気圧がもたらす大雪
- 顕著な天候事例 大雪とその後の低温による積雪の影響(2012年12月~2013年3月)
- 顕著な天候事例 冬の少雪と春の高温少雨(2018/19年冬~2019年春)