《コラム》春の低気圧 ~急速な雪解けと季節はずれの大雪~

 北海道では冬の間に降り積もった雪は2月末頃をピークに減り始め、3月も半ばを過ぎるとその速度を増します。 各地の根雪(長期積雪)の終日は、太平洋側では3月、日本海側やオホーツク海側では4月はじめ頃となっています。
 雪解けが進む3月以降は、高気圧と低気圧が交互に通り、天気が数日の周期で変わる季節でもあります。
 北海道付近に低気圧が発達しながら接近すると、南からの暖かく湿った気流が入り、気温が顕著に上がったり大雨が降ったりします。 このような時には例年よりも更に雪解けが進み、洪水やなだれ、時には土砂災害が発生することがあります。
 また、低気圧の通過後には、再び冬型の気圧配置となって、一気に真冬並みの寒気が入り、大雪や吹雪となることもあります。
表1 各地の根雪や積雪の終日

図1 札幌、網走、釧路における日最深積雪の日別平滑平年値
図2 (左)2013(平成25)年4月7日と(右)8日の天気図

2013年春の事例

 2013年の春は、冬の間に積もった雪が春先まで続いた寒さで多く解け残っていました。 札幌の長期積雪の終日は4月12日と平年より10日も遅くなりました(最晩の記録は1984年4月16日)。
 このような状況の中、4月7日には関東沖を北東進しながら急速に発達した低気圧が北海道を通過しました。 この低気圧が通過する直前には、南東からの暖かく湿った気流が流れ込み、倶知安では日平均気温が平年より4.4度高くなったほか、伊達市大滝では日降水量が164.0mmの大雨となりました。 この雨で雪解けが一気に進み、中山峠では土砂崩れが発生しました。
 また、7日には斜里町宇登呂で最大瞬間風速41.6m/sの東風が、8日にはえりも岬で同じく39.4m/sの西風が吹きました。
図3 2013(平成25)年4月7日の天気図
図4 2013(平成25)年4月7日の日降水量
図5 2013(平成25)年3月下旬から4月上旬の倶知安の天候(上から気温、降水量、日照時間)
国道230号(中山峠)の土砂崩れの状況
写真:北海道開発局札幌開発建設部提供