《顕著な天候事例》札幌で3日連続の熱帯夜(2019年7月30日~8月1日)
2019年7月下旬から8月上旬にかけては、北海道地方に暖かい空気が流れ込み、気温のかなり高い状態が続きました。
特に札幌では、7月30日から8月1日にかけて夜間の気温が25℃を下回らない熱帯夜が続きました。
平年では、札幌の熱帯夜の日数は年間で1日にも満たない中、本事例の3日連続の熱帯夜は1876年の気温の統計開始以降、初の出来事となりました。

図1 2019年(左)7月30日、(中)7月31日、(右)8月1日の日最低気温
高温となった背景
図2は7月30日6時の地上天気図と上空約1500mの気温を示しています。
日本の東海上に高気圧、大陸に低気圧があり、その間にあたる日本付近には暖かい空気が流れ込み、北海道地方もこの暖かい空気に覆われました。このような状況は7月31日や8月1日も続きました。
日本の東海上に高気圧、大陸に低気圧があり、その間にあたる日本付近には暖かい空気が流れ込み、北海道地方もこの暖かい空気に覆われました。このような状況は7月31日や8月1日も続きました。

図2 7月30日6時の地上天気図と上空役1500mの気温
7月30日から8月1日にかけて高温となった要因をもう少し広い範囲で見てみます。 図3は左が上空の大気の流れ(200hPa流線関数)とその平年差、右が地上の大気の流れ(地上気圧)とその平年差を示しています。
この期間、モンゴルから北海道付近の上空の偏西風は北に蛇行し、上空の高気圧(チベット高気圧)の張り出しが強まりました。この影響で日本付近の上空は全体的に暖かい空気に覆われました(図3左)。また、地上では太平洋高気圧が本州付近を中心に張り出しを強めたため、北海道付近は南から暖かい空気が流れ込みました。
また、上空の偏西風の北への蛇行や太平洋高気圧の強まりには、南アジアからフィリピンの東にかけての積乱雲の活動が活発になったことが寄与していると考えられます(図4)。
このように、チベット高気圧と太平洋高気圧の両方の勢力が強まるパターンは、夏の異常高温時にしばしばみられる特徴です。
この期間、モンゴルから北海道付近の上空の偏西風は北に蛇行し、上空の高気圧(チベット高気圧)の張り出しが強まりました。この影響で日本付近の上空は全体的に暖かい空気に覆われました(図3左)。また、地上では太平洋高気圧が本州付近を中心に張り出しを強めたため、北海道付近は南から暖かい空気が流れ込みました。
また、上空の偏西風の北への蛇行や太平洋高気圧の強まりには、南アジアからフィリピンの東にかけての積乱雲の活動が活発になったことが寄与していると考えられます(図4)。
このように、チベット高気圧と太平洋高気圧の両方の勢力が強まるパターンは、夏の異常高温時にしばしばみられる特徴です。

図3 (左)上空の大気の流れ(200hPaの流線関数(コンター)と平年偏差(シェード))、(右)地上の大気の流れ(地上気圧(コンター)と平年偏差(シェード))。7月29日~8月2日の5日間平均。

図4 上空の大気の流れ(200hPaの流線関数(コンター))と対流活動(外向き長波放射量(シェード))。7月29日~8月2日の5日間平均。
※濃い青色は積乱雲の活動が活発であることを示す。
まとめ
2019年7月30日から8月1日は、北海道地方に暖かい空気が流れ込み、札幌では初の3日連続の熱帯夜となりました。
高温となった要因として、以下のことが挙げられます。
高温となった要因として、以下のことが挙げられます。
- チベット高気圧が日本付近への張り出しを強めた。
- 太平洋高気圧が本州付近を中心に張り出し、北海道地方に暖かい空気が流れ込んだ。
- これらには熱帯の積乱雲の活動が活発になったことが、寄与していると考えられる。
