北海道太平洋側の東部に位置する釧路市は、年間の霧日数が96.9日(図1)で、特に夏の6月、7月、8月は、霧日数の月平年値が約16日となっています。
これは有人の気象観測所としては日本で最も多く、夏の間は、およそ2日に1度は霧が観測される計算になります。
釧路の霧は、海上で発生した「海霧」が陸上へと流入したもので、その多くは夏に観測されます。
図2は、2021年7月14日の9時の衛星可視画像です。北海道太平洋側沿岸から、釧路湿原や帯広など内陸に向かって、白くベール状に写っているのが霧です。
一方、同じ時刻の衛星赤外画像(図3)では、同じ場所にほとんど写っていません。赤外画像には背の低い雲は写りにくいので、2種類の衛星画像を見比べることで、霧の分布を把握することが出来ます。
《コラム》北海道太平洋側の霧

図1 主な地点の平年の年間霧日数
(1991~2020年の平年値から作成)
(1991~2020年の平年値から作成)

図2 2021年7月14日9時の衛星可視画像(カラー合成)

図3 2021年7月14日9時の衛星赤外画像
この日の天気図(図4)では日本の東海上に高気圧があります。北海道の太平洋沿岸には、この高気圧の縁に沿うように、南寄りの風(天気図中の赤矢印)が吹いていました。
図5は同じ日の海面水温の分布です。北海道の釧路沖には、千島列島沿いからの冷たい海水(親潮)が広がっています。 南からの暖かく湿った空気が、親潮に冷やされることによって海霧が発生し、更に南風に流されて北海道太平洋側の陸上へと流れ込むのです。
図5は同じ日の海面水温の分布です。北海道の釧路沖には、千島列島沿いからの冷たい海水(親潮)が広がっています。 南からの暖かく湿った空気が、親潮に冷やされることによって海霧が発生し、更に南風に流されて北海道太平洋側の陸上へと流れ込むのです。

図4 2021年7月14日9時の地上天気図

図5 2021年7月14日の海面水温