大阪管内(近畿・中国・四国地方(除く山口県))の過去の被害地震
大阪管内は南は太平洋、北は日本海に面しています。
太平洋側には南海トラフが広がっています。この南海トラフとは、日本列島が位置する大陸のプレートの下に、海洋プレートのフィリピン海プレートが南側から年間数cmの速度で沈み込んでいる場所です。この沈み込みに伴い、2つのプレートの境界にはひずみが蓄積されています。過去、南海トラフ沿いでは約100~150年間隔で蓄積されたひずみを解放する大規模地震が発生しており、直近では、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年)が発生しています。昭和東南海地震及び昭和南海地震が起きてから約80年が経過している現在では、南海トラフ沿いにおける次の大規模地震発生の可能性が高まってきています。また、日向灘においても津波を伴う地震が周期的に発生しています。
日本海側では、過去に昭和58年(1983年)日本海中部地震や平成5年(1993年)北海道南西沖地震など、日本海東縁部で発生した大地震に伴う津波により、震源から離れた京都府~島根県沿岸で津波の被害を受けたことがあります。
また、内陸では活断層による地震と、沈み込む海洋プレート内の地震があります。平成7年(1995年)兵庫県南部地震の原因となった野島断層(六甲・淡路島断層帯の一部)が活断層として有名ですが、それ以外にも大阪管内では多くの活断層が見つかっています。一方で、見つかっていない断層も存在するため、どの地域にお住まいの方も日頃の備えを十分に行う必要があります。沈み込む海洋プレート内で発生する地震については、過去には平成13年(2001年)芸予地震がありました。このタイプの地震は活断層の地震と比べると深いところで発生するため、同じ規模の地震なら被害は小さくなる傾向がありますが、規模が大きければ広い範囲で強く揺れるため注意が必要です。
海底下で規模の大きな地震が発生して津波が発生した場合、震源から遠く離れた地域にも津波が襲ってくることがあります。平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震では、日本海側も含めた全国に津波注警報を発表しました。チリ地震津波(1960年)のように日本から遠く離れた場所で発生した津波が日本に被害を及ぼすこともあります。
明治以降、大阪管内に被害を及ぼした主な地震・津波
No. |
発生年月日 和暦 |
M*1 |
地震名、震央地名 [ ]は現在の震央地名 |
津波 |
最大 震度 *2 |
人的被害*3 |
物的被害*4 (大阪管内で被害が大きかった府県の状況) |
資料 |
概要 |
詳細 |
1 |
1872年3月14日 明治5年 |
7.1 |
浜田地震 |
あり |
不明 |
死者555人 |
(島根県で住家全壊4,506棟) |
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- |
2 |
1891年10月28日 明治24年 |
8.0 |
濃尾地震 |
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(6) |
死者7,273人 |
岐阜県で住家全壊50,125棟、住家全半焼4,451棟 (滋賀県では住家全壊404棟) |
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- |
3 |
1899年3月7日 明治32年 |
7.0 |
紀伊大和地震 |
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(5~6) |
死者7人 |
三重県で家屋全壊35棟 (奈良県南部を中心に被害) |
- |
- |
4 |
1925年5月23日 大正14年 |
6.8 |
北但馬地震 ⇒特設ページへ |
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6 |
死者428人 |
(兵庫県で住家全壊1,275棟、住家焼失2,180棟) |
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- |
5 |
1927年3月7日 昭和2年 |
7.3 |
北丹後地震 |
あり |
6 |
死者2,912人 |
(京都府で住家全壊4,899棟、住家焼失2,019棟) |
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6 |
1936年2月21日 昭和11年 |
6.4 |
河内大和地震 |
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5 |
死者9人 |
(大阪府で住家全壊4棟、奈良県で住家全壊2棟など) |
- |
- |
7 |
1943年9月10日 昭和18年 |
7.2 |
鳥取地震 ⇒特設ページへ |
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6 |
死者1,083人 |
(鳥取県で住家全壊7,485棟) |
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8 |
1944年12月7日 昭和19年 |
7.9 |
昭和東南海地震 |
あり |
6 |
死・不明1,183人 |
東海地方で特に被害が大きく、住家全壊約16,000棟 (大阪府で住家全壊199棟、和歌山県で同121棟など) |
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9 |
1946年12月21日 昭和21年 |
8.0 |
昭和南海地震 |
あり |
5 |
死・不明1,443人 |
和歌山県・徳島県・高知県を中心に被害あり、 住家全壊約12,000棟 |
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10 |
1952年7月18日 昭和27年 |
6.7 |
吉野地震 |
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4 |
死者9人 |
(大阪府で住家全壊9棟、滋賀県で住家全壊6棟など) |
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- |
11 |
1960年5月23日 昭和35年 |
9.5 |
チリ地震津波 |
あり |
- |
死・不明142人 |
太平洋沿岸で津波の被害 (高知県で住家全壊9棟、住家床上浸水601棟)# |
- |
- |
12 |
1968年4月1日 昭和43年 |
7.5 |
1968年日向灘地震 |
あり |
5 |
負傷者57人 |
(高知県で住家全壊1棟、住家床上浸水53棟)# |
- |
- |
13 |
1983年5月26日 昭和58年 |
7.7 |
昭和58年(1983年) 日本海中部地震 ⇒特設ページへ |
あり |
5 |
死者104人 |
秋田県の被害が大きいが、西日本日本海側でも被害 (島根県で住家床上浸水141棟、漁船被害319隻)# |
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- |
14 |
1993年7月12日 平成5年 |
7.8 |
平成5年(1993年) 北海道南西沖地震 ⇒特設ページへ |
あり |
5 |
死者202人 不明者28人 |
北海道奥尻島の被害大、西日本日本海側でも被害 (島根県で住家床上浸水5棟、漁船被害93隻)# |
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- |
15 |
1995年1月17日 平成7年 |
7.3 |
平成7年(1995年) 兵庫県南部地震 (阪神・淡路大震災) ⇒特設ページへ |
あり |
7 |
死者6,434人 不明3人 |
住家全壊104,906棟、 住家半壊144,274棟 |
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- |
16 |
2000年10月6日 平成12年 |
7.3 |
平成12年(2000年) 鳥取県西部地震 |
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6強 |
負傷者182人 |
住家全壊435棟、住家半壊3,101棟 |
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- |
17 |
2001年3月24日 平成13年 |
6.7 |
平成13年(2001年) 芸予地震 |
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6弱 |
死者2人 負傷者288人 |
住家全壊70棟、住家半壊774棟 |
- |
- |
18 |
2004年9月5日 平成16年 |
7.1 |
紀伊半島沖 [三重県南東沖] |
66cm |
5弱 |
負傷者6人 |
水道管破裂など 【平成16年9月6日現在】 |
- |
- |
19 |
2004年9月5日 平成16年 |
7.4 |
東海道沖 [三重県南東沖] |
101cm |
5弱 |
負傷者36人 |
住家一部破損2棟 【平成16年9月6日現在】 |
- |
- |
20 |
2011年3月11日 平成23年 |
9.0
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平成23年(2011年) 東北地方太平洋沖地震 (東日本大震災) ⇒特設ページへ |
9.3m 以上*5 |
7 |
死者19,782人 不明2,550人 負傷者6,242人 |
住家全壊122,053棟、 住家半壊284,074棟 【令和7年3月1日現在】 (和歌山県、徳島県、高知県で津波による浸水被害や水産業への被害があった) |
- |
- |
21 |
2013年4月13日 平成25年 |
6.3 |
淡路島付近 |
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6弱 |
負傷者35人 |
住家全壊8棟、住家半壊101棟 |
- |
- |
22 |
2014年3月14日 平成26年 |
6.2 |
伊予灘 |
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5強 |
負傷者21人 |
住家一部破損57棟 |
- |
- |
23 |
2016年10月21日 平成28年 |
6.6 |
鳥取県中部 |
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6弱 |
負傷者32人 |
住家全壊18棟、住家半壊312棟 【平成30年3月22日現在】 |
- |
- |
24 |
2018年4月9日 平成30年 |
6.1 |
島根県西部 |
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5強 |
負傷者9人 |
住家全壊16棟、住家半壊58棟 【令和元年8月20日現在】 |
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- |
25 |
2018年6月18日 平成30年 |
6.1 |
大阪府北部 ⇒特設ページへ |
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6弱 |
死者6人 負傷者462人 |
住家全壊21棟、住家半壊483棟 【令和元年8月20日現在】 |
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- |
26 |
2021年12月3日 令和3年 |
5.4 |
紀伊水道 |
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5弱 |
負傷者5人 |
住家一部破損2棟 【令和3年12月13日現在】 |
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- |
27 |
2024年1月1日 令和6年 |
7.6 |
令和6年能登半島地震 ⇒特設ページへ |
80cm |
7 |
死者549人 負傷者1,944人 |
住家全壊6,483棟、住家半壊23,458棟 【令和7年3月11日現在】 |
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28 |
2024年4月17日 令和6年 |
6.6 |
豊後水道 |
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6弱 |
負傷者16人 |
住家一部破損361棟 【令和6年11月21日現在】 |
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*1: |
| 地震の規模(マグニチュード)。ただしチリ地震津波と平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震はモーメントマグニチュード。 |
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*2: |
| 1919年以降の地震の最大震度については気象庁の震度データベースによる。
それ以前の地震の最大震度については、地震報告・地震年報・気象要覧(中央気象台)によるものを括弧付きで記載している。
なお、この期間の微・弱・強・烈の4階級の震度を、1~6に置き換えて記載している。 |
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*3: |
| 被害数は、日本被害地震総覧による。ただし平成7年(1995年)兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)以降の地震は総務省消防庁の資料による。
死者・行方不明者の合計数を記載する場合は「死・不明」としている。 |
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*4: |
| 平成7年(1995年)兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)以降の地震は総務省消防庁の資料による。
それ以前の地震については地震調査研究推進本部の「都道府県ごとの地震活動」の値を記載している。
ただし#付きは各都道府県の「地域防災計画」から引用している。 |
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*5: |
| 観測施設が津波により被害を受けたためデータを入手できない期間があり、後続の波でさらに高くなった可能性がある。 |
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図1 大阪管内に被害を及ぼした地震
図2 大阪管内に被害を及ぼした地震
(大阪管内を拡大)
上表に掲載の地震を描画。橙線は地震調査研究推進本部による活断層、赤線は海溝軸。
ただし1870年~1918年の震源要素は茅野・宇津(2001)、宇津(1982,1985)による*6。
*6: |
| 宇津徳治(1982):日本付近のM6.0以上の地震および被害地震の表:1885年~1980年, 震研彙報,57,401-463.
宇津徳治(1985):日本付近のM6.0以上の地震および被害地震の表:1885年~1980年(訂正と追加),震研彙報, 60, 639-642.
茅野一郎・宇津徳治(2001):日本の主な地震の表,「地震の事典」第2版, 朝倉書店, 657pp. |
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リンク
気象庁HP
地震調査研究推進本部
総務省消防庁
国土地理院