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関東大震災以降の地震津波業務の変遷

関東大震災の発生以降に、気象庁が行なってきた地震・津波に関する主な業務の変遷を記載しています。






1.関東大震災が発生した頃の時代と2023年時点での比較

比較対象 関東大震災が起きた頃の時代 2023年
震度の観測方法 体感による観測 機械による観測
震度観測点 1437箇所 4372箇所
  気象庁       671箇所
  地方公共団体    2904箇所
  防災科学技術研究所 797箇所

最新の震度観測点の数は震度観測点のページへ
震度観測の目的 ・地震現象の把握等に利用
・地震観測の方法として震度により観測
被害の把握や初動対応のために
・地震発生から約1分半後に震度速報を発表
 震度3以上を観測した地域がわかる
・地震発生から約5分程度に震源・震度に関する情報を発表
 震源やマグニチュード、各地で観測された震度がわかる

現在の地震情報の種類等については地震情報についてのページへ
震度階級 7階級 10階級

現在の震度階級については震度についてのページへ
津波警報等 地震発生から約3分を目標に津波警報等を発表

現在の津波警報等については津波警報・注意報、津波情報、津波予報についてのページへ

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2.震度観測の変遷

実施年月 震度観測の変遷
1884年
(明治17年)
約600箇所の観測点で開始(地震現象の把握等に利用)
※地震観測の方法として震度により観測
※地震計による観測が十分でなく、地震現象の把握は震動の強弱や揺れの方向等についての体感や被害調査等により行われる
震度階級は4階級
1898年
(明治31年)
震度階級が7階級に細分化
1904年
(明治37年)
気象官署や民間への委託をあわせ1437の観測所から震度データを収集
※昭和30年代にもほぼ同数の観測点が維持される
1908年
(明治41年)
震度階級に説明を付ける
1923年
(大正12年)
大正関東地震(関東大震災)
1936年
(昭和11年)
震度階級の説明に人間の感覚や室内の状況、家屋の被害などを記述
1948年
(昭和23年)
福井地震
1949年
(昭和24年)
福井地震をきっかけとして、震度階級を8階級に細分化(震度7を追加)
体感による速報を開始(防災面を重視)
※震度の速報は震度6までとし、震度7は後日の調査により被害状況から判定するものとする
1958年
(昭和33年)
順次観測所の整理を実施
※昭和30年代に入り、地震計による観測を中心としての業務の構築が行われてきたことから地震観測としての震度観測はその役目を終える
1978年
(昭和53年)
震度6までの全ての階級に体感を示す
※体感による観測をより適切に行えるよう、気象庁の地震観測の指針(地震観測指針(観測編))の震度の観測方法の参考事項として記載
1988年
(昭和63年)
震度観測は全国158箇所の気象官署のみにおいて行われる
1988年
(昭和63年)
震度観測検討委員会の報告(昭和63年2月)を受けて、震度の機械観測(震度の計測化)の試験を開始
※体感による震度観測自体は廃止せず、震度の計測化を並行して進める
1993年
(平成5年)
震度観測点を約300箇所に増強
1995年
(平成7年)
平成7年(1995年)兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)
※この地震を機に、地方公共団体が独自に震度計を設置し、自らの初動防災対応に活用
1996年
(平成8年)
震度観測点を約600箇所に増強
1996年4月
(平成8年)
震度計による震度観測の開始(体感による観測の廃止)
1996年10月
(平成8年)
震度階級が10階級に細分化
1997年11月
(平成9年)
気象庁の震度情報に地方公共団体の震度データを含めて発表開始

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3.津波予報業務の変遷

実施年月 津波予報業務の変遷
1896年
(明治29年)
明治三陸地震津波
(内閣府防災情報のページへのリンク)
三陸沿岸で津波による甚大な被害
1933年
(昭和8年)
昭和三陸地震
三陸沿岸で津波による甚大な被害
1941年
(昭和16年)
明治三陸地震津波や昭和三陸地震をきっかけとして三陸津波警報組織が発足
※仙台地方気象台(仙台管区気象台の前身)を中心とした管内8気象官署による、三陸沿岸に対する津波予報を実施するための組織
1946年
(昭和21年)
三陸津波警報組織に中央気象台が参加
1949年
(昭和24年)
全国的な津波警報体制が確立
※全国を15ブロックに区分けして発表
担当は7官署(中央気象台、札幌、仙台、大阪、福岡管区気象台および新潟、名古屋地方気象台)
1977年(昭和52年)頃までの間、実際に発表までに要した時間は平均16~17分
1950年
(昭和25年)
予想される津波の大きさおよび影響する地域を判断するための「津波予報判定図」や実施基準等、具体的な津波予報手法を取りまとめ
1952年
(昭和27年)
気象官署津波業務規程を制定
1952年
(昭和27年)
気象業務法施行
1960年
(昭和35年)
チリ地震津波
(内閣府防災情報のページへのリンク)
日本に津波が来襲する前に津波予報を発表することができず、甚大な被害が発生
1962年
(昭和37年)
チリ地震津波をきっかけとして外国で発生した地震に対する日本の津波警報体制が確立
1972年
(昭和47年)
発表する担当は6官署(札幌、仙台、本庁、大阪、福岡管区気象台および沖縄気象台)へ
1982年
(昭和57年)
L-ADESS(地方中枢気象資料自動編集中継装置)端末を用いた地震資料処理業務開始
津波予報の迅速化
1983年
(昭和58年)
日本海中部地震
震源に近い沿岸域では津波警報が発表される前に津波の第一波が到達
1987年
(昭和62年)
EPOS(地震活動等総合監視システム)の運用を開始
津波予報のさらなる精度向上および迅速化
日本海中部地震を教訓に、地震発生後約7分での津波警報発表を目指した
1993年
(平成5年)
北海道南西沖地震
地震発生後約5分で津波警報を発表したが、奥尻島では地震発生から3分後には津波が到達
1994年
(平成6年)
北海道南西沖地震を教訓に、地震観測点を増設し、地震発生後約3分で津波警報等の発表が可能に
※全国約180ヵ所に60~70km間隔で新たな地震観測点を配置
2004年
(平成16年)
インドネシア・スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波
(内閣府防災情報のページへのリンク)
2005年
(平成17年)
北西太平洋津波情報の提供を開始
※北西太平洋域で大きな地震が発生した場合に気象庁から関係各国の防災機関に対して提供
2005年
(平成17年)
2004年のインド洋津波をきっかけとして、インド洋津波監視情報の提供を開始
※米国の太平洋津波警報センター(PTWC)とともにインド洋沿岸各国に対して提供
 2013年(平成25年)に提供を終了
2006年
(平成18年)
北西太平洋津波情報の発表対象領域に南シナ海を追加
2006年
(平成18年)
緊急地震速報を活用した津波警報・注意報の迅速化
※日本近海で発生した地震については、早い場合には地震発生後約2分で津波警報等の発表が可能
2007年
(平成19年)
地震のメカニズムを活用した、津波警報・注意報の切替・解除
2007年
(平成19年)
津波予報データベースの改良
2008年
(平成20年)
津波情報に活用する観測地点を追加
2009年
(平成21年)
発表する担当は2中枢(本庁、大阪)へ集約
2011年
(平成23年)
東北地方太平洋沖地震
2012年
(平成24年)
海底津波計の津波警報への活用開始
2012年
(平成24年)
海外で発生した地震による津波の予測の改善
2012年
(平成24年)
ブイ式海底津波計の津波警報への活用開始
※2016年(平成28年)に運用を終了
2013年
(平成25年)
東北地方太平洋沖地震を踏まえた津波警報の改善
津波警報の改善について
2016年
(平成28年)
沖合の観測地点を津波情報に活用

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参考資料

震度に関する検討会
震度の活用と震度階級の変遷等に関する参考資料(平成21年3月)[PDF形式:4.01MB]

津波警報の改善について
津波警報・注意報の改善に関するこれまでの取り組み
草野富二雄・横田崇 験震時報第74巻 pp.35-91 津波予報業務の変遷[PDF形式:8.04MB]

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