平成27年 No.23 週間火山概況 (平成27年5月29日~6月4日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

 5月29日に口永良部島に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から5(避難)に引き上げ、火山現象に関する海上警報を発表しました。また、6月5日(期間外)に三宅島に噴火予報を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)に引き下げました。その他の火山については、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 6月5日(14時)現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
噴火警報 レベル5(避難) 口永良部島※
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 御嶽山、桜島
入山危険 西之島※
レベル2(火口周辺規制) 吾妻山、草津白根山、箱根山、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 蔵王山、硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、安達太良山、磐梯山、那須岳、浅間山、新潟焼山、焼岳、富士山、伊豆東部火山群、伊豆大島、三宅島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島
活火山であることに留意 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1  噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(6月5日14時現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


蔵王山 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 火山活動はやや活発な状態で推移しています。
 今期間、火山性地震及び火山性微動は観測されませんでした(図2)。
 地殻変動観測では、火山活動に関する変化はみられませんでした。
 5月29日に実施した現地調査では、御釜周辺に異常は認められませんでした。
想定火口域(馬の背カルデラ)から概ね1.2kmの範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、風下側では火山灰や小さな噴石1)が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。

火山性地震の発生状況

図2 蔵王山 火山性地震の発生状況(2013年1月1日~2015年6月4日)

吾妻山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で推移しています。
 火山性地震は37回発生しました(前期間15回:図3)。火山性微動は観測されていません。大穴火口からの噴気はやや活発な状態が続いています。また、一切経山(いっさいきょうざん)南山腹の大穴火口外の噴気も引き続きみられています。
 浄土平の傾斜計2)では、2014年4月頃からの西(火口方向)上がりの変動が継続しています。
 GNSS3)連続観測では、2014年9月頃から一切経山南山腹観測点が関係する基線で変化がみられており、一切経山付近の膨張を示唆すると考えられます。
 大穴火口付近では小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大穴火口周辺(火口から概ね500mの範囲)では弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、大穴火口の風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)、火山ガスに注意してください。

火山性地震の発生状況

図3 吾妻山 火山性地震の発生状況(2014年1月1日~2015年6月4日)



草津白根山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で推移しています。
 湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が2014年3月上旬から増加し、8月20日以降はやや少ない状態で経過しています。2015年1月以降は一時的な火山性地震の増加もみられています。
 GNSS3)観測によると、湯釜を挟む基線で2014 年4月頃からわずかな伸びの変化がみられていましたが、2015年4月頃より鈍化しています。また、湯釜周辺に東京工業大学が設置した傾斜計2)によると、2014年3月から湯釜付近浅部での膨張を示す変動が継続しています。全磁力観測によると、2014年5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は、7月以降は停滞しています。
 今後、小規模な噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。


御嶽山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 山頂火口からの噴煙は、白色で火口縁上400m以下で経過しています。
 火山性地震は少ない状態で経過していますが、2014年8月以前の状況には戻っていません。火山性微動は観測されていません。
 御嶽山では、火山活動は低下してきており、現状で、2014年9月27日と同程度、またはそれを上回る規模の噴火が発生する可能性は低くなっています。一方、火口列からの噴煙活動や地震活動が継続していることから、今後も小規模な噴火が発生する可能性があります。
 火口から概ね2㎞の範囲で噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)と火砕流に警戒してください。これに加えて南西側(地獄谷方向)では火口から概ね2.5㎞まで火砕流に警戒してください。
 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。また、降雨時には土石流の可能性がありますので注意してください。


箱根山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 大涌谷周辺(箱根山)では火山活動が活発な状態で経過しました。
 4月26日以降増加している火山性地震は多い状態で経過しています(図4)。低周波地震及び火山性微動は観測されていません。
 気象庁と神奈川県温泉地学研究所の傾斜計2)による地殻変動観測及び湯河原鍛冶屋の体積ひずみ計4)で火山活動に関連するとみられる変動が観測されています(図5)。また、国土地理院のGNSS3)連続観測によると、大涌谷を挟む基線で、4月下旬から小さな伸びがみられます。
 6月4日に実施した現地調査では、大涌谷温泉供給施設で噴出している蒸気の勢いが、5月21日と比べてやや弱まっているのを確認しました。
 大涌谷に設置している遠望カメラによる観測では、大涌谷で噴出している蒸気のほかには特段の異常はみられません。
 大涌谷周辺では小規模な水蒸気噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰や小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

火山性地震の日別回数

図4 箱根山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~6月4日)

ひずみ変化

図5 大涌谷周辺(箱根山) 湯河原鍛冶屋観測点におけるひずみ変化と二ノ平観測点における
傾斜変化の推移(2014年4月1日~2015年6月4日)


西之島[火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]

 これまでの海上保安庁、海上自衛隊等の観測によると、噴火活動の継続が確認されています。
 西之島では、今後も新たに形成された陸地にある火口で噴火活動が継続すると考えられます。また、西之島周辺の海底で噴火が発生する可能性も引き続き考えられ、噴火による影響が海上まで及んだ場合、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)や水面を高速で広がるベースサージ5)等の影響が概ね2㎞の範囲に及ぶおそれがありますので、西之島の中心から概ね4㎞以内の範囲では噴火に警戒してください。


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 火山性地震は少ない状態で経過しています。6月1日に継続時間が数分程度の火山性微動が3回発生しました。これらの微動の発生時及びその前後で遠望カメラでは特段の変化は認められませんでした。
 GNSS3)観測によると、地殻変動は2014年12月上旬頃から隆起の傾向がみられ、2015年3月頃から隆起速度が上がっています。また、2015年4月中旬頃から西向きの変動速度が上がっています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生している地点(ミリオンダラーホール(旧噴火口)等)及びその周辺では噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 これまでの海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁による観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されるなど、やや活発な状態で推移しており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 阿蘇山では、今期間噴火は発生しませんでした。
 遠望観測では、白色の噴煙が最高で火口縁上600mまで上がりました。
 6月1日、4日に現地調査を実施しました。中岳第一火口内の141火孔6)から白色の噴煙が上がっているのを確認しました。また、141火孔6)の形状やその周辺の状況に大きな変化はありませんでした。
 火山性微動の振幅は、概ね大きな状態が継続しています(図6)。
 GNSS3)連続観測では、深部にマグマだまりがあると考えられている草千里を挟む基線の伸びは2015年3月頃から停滞しています。
 中岳第一火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。火口周辺では強風時に小さな噴石1)が1km を超えて降るため、風下側では火山灰だけではなく小さな噴石1)にも注意してください。

火山性微動の30分間平均振幅

図6 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年8月1日~2015年6月4日)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 新燃岳では、噴火は発生しませんでした。
 火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
 傾斜計2)では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。
 GNSS3)連続観測では、新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張を示す地殻変動は、2013年12月頃から伸びの傾向が見られていましたが、2015年1月頃から停滞しています。
 新燃岳では火口周辺に影響のある小規模な噴火が発生する可能性がありますので、新燃岳火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき7))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。
 降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 昭和火口では、爆発的噴火が33回発生し、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)が最大4合目(昭和火口より800~1,300m)まで達しました。また、噴煙の高さが3,000mを超える噴火が4回発生し、5月29日14時27分の爆発的噴火と6月1日12時33分の噴火では、噴煙が火口縁上3,300mまで上がりました。
 6月4日は、ごく小規模な火砕流が3回発生し、11時25分と14時22分の爆発的噴火では、昭和火口の東側へ約400m流下しました。
 また、同火口では、5月29日から30日にかけて夜間に高感度カメラ8)で明瞭に見える火映9)を観測しました。
 南岳山頂火口では、噴火は発生しませんでした。
 大隅河川国道事務所の有村観測坑道及び京都大学防災研究所のハルタ山観測総合坑道に設置している、伸縮計10)及び桜島島内の基線のGNSS3)連続観測では、2015年1月以降、山体が隆起・膨張する変化が観測されています(図7)。今後、2012年7月24日及び2013年8月18日以上の多量の火山灰を噴出する噴火が発生する可能性があります。また、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟むGNSS3)連続観測の基線では、長期的に姶良カルデラ深部の膨張を示す伸びの傾向がみられます。
 昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき7))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。

有村観測坑道の伸縮変動

図7 桜島 有村観測坑道の伸縮変動(2014年12月1日~ 2015年6月4日)


口永良部島[噴火警報(噴火警戒レベル5、避難)及び火山現象に関する海上警報]
←5月29日に噴火警戒レベル3(入山規制)から引上げ、火山現象に関する海上警報を発表

 口永良部島では火山活動の高まった状態が継続しています。
 口永良部島の新岳では、5月29日09時59分に爆発的噴火が発生しました。この噴火に伴い発生した火砕流が新岳の北西側(向江浜地区)の海岸まで達したのを確認しました。噴煙は火口縁上9000m以上まで上がり、火口周辺に大きな噴石1)が飛散しているのを確認しました。
 このため、同日10時07分に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から5(避難)に引き上げました。また、同日10時34分に火山現象に関する海上警報を発表しました。今回の噴火は前回(2014年8月3日)の噴火を越える規模と考えられます。
 また、この噴火に伴う火山灰を産業技術総合研究所が分析したところ、火山灰には新しいマグマと考えられる溶岩片が含まれていることから、今回の噴火はマグマ水蒸気噴火であったと考えられます。
 今後も、5月29日と同程度の噴火が発生する可能性があります。
 5月29日から6月1日に九州地方整備局と鹿児島県の協力を得て、気象庁機動調査班(JMA-MOT)が実施した現地調査では、火砕流は新岳火口からほぼ全方位に流れていました。特に新岳火口から北西側斜面では海岸付近まで樹木が倒れ、向江浜付近の海域に濁った変色域を確認しました。また、新岳の南西側斜面でも海岸付近まで樹木の変色を確認しました。赤外熱映像装置11)では、火口周辺や新岳の北西から南西の谷筋に沿って、火砕流の堆積物と考えられる熱異常域を確認しました。
 また、新岳及び古岳の火口周辺の形状は、噴火前の観測(3月25日)と比較して大きな変化は認められませんでした。
 5月29日の爆発的噴火後に、東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所及び屋久島町が実施した観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり3,800トン(前回5月24日500トン)と非常に多い状態でした。
 地殻変動観測では、噴火に伴い新岳北東山麓観測点の傾斜計2)で山頂側が沈降する変化を観測しました。その後は、特段の変化は見られていません。
 噴火直後に火山性微動が発生しましたが、その後は観測されていません。
 また、火山性地震が増加しましたが、5月29日13時以降少ない状態となっています。翌日(30日)は雲のため噴火は確認できなくなりましたが、震動データ等から10時50分頃に噴火は停止したと考えられます。
 GNSS3)連続観測では、2014年12月頃から一部の基線にわずかな伸びの傾向が認められていましたが、2月頃から鈍化しています。
 噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)及び火砕流に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。また、降雨時には土石流の可能性がありますので注意してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 諏訪之瀬島では、今期間噴火は発生しませんでした。
 火山性地震が時々発生しました。火山性微動は5月29日から6月2日にかけて連続して観測しました。
 また、御岳(おたけ)火口では、夜間に高感度カメラで火映9)を時々観測しました。  諏訪之瀬島では、長期にわたり噴火を繰り返しています。今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】


浅間山 [噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)]

 4月下旬頃から山頂火口直下のごく浅い所を震源とする火山性地震が増加しています。火山性微動はやや少ない状態です。
 気象庁の傾斜計2)による地殻変動観測では、今回の活動に関連するとみられる変化はみられていません。また、山頂火口からの噴煙量に大きな変化はなく、火山ガスの放出量は少ない状態です。
 6月1日に実施した火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり200トン(前回5月26日100トン)とやや少ない状態でした。
 浅間山では、2009年5月27日を最後に噴火は発生していません。
 現時点では、噴気等の状況に特段の変化はみられませんが、長期的な地震増加がみられるなどの活動の高まりがみられます。山頂火口から概ね500m以内に影響する程度の噴出現象は突発的に発生する可能性がありますので、火山灰噴出や火山ガス等に警戒が必要です。

三宅島[噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)]
←5日に噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から引下げ

 三宅島では、2013年1月22日を最後に噴火は発生していません。
 火山ガスの放出量は長期的に減少傾向にあり、2013 年9月以降は1日あたり500トン以下で経過しています。また、火山性地震は少ない状態で経過しています。
 これらのことから、三宅島では山頂火口周辺(雄山環状線内側)に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性は低くなったものと判断し、6月5日14時00分(期間外)に噴火予報を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)に引き下げました。
 なお、主火孔における噴煙活動及び火山ガスの放出が継続していることから、規模の小さな噴出現象が突発的に発生する可能性がありますので、山頂火口内及び主火孔から500m以内では警戒してください。
 また、火山ガス予報で火山ガスの濃度が高くなる可能性があると予想される地域では、火山ガスに警戒してください





上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1) 噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
2) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。1μrad(マイクロラジアン)は1km先が1mm上下するような変化量です。
3) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
4) センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの注入等により変化が観測されます。
5) 火山ガスと火山灰等の混合物が、水面や地表面を高速で横方向に広がり、地表の物を巻き込む現象で、人体や建物、船舶等に大きな被害を与える恐れがあり、とても危険です。
6) 阿蘇山では、火口内の火山灰や噴石を噴出する孔を火孔と呼んでいます。火山活動に伴い、火孔の位置が変わったり、 同時に複数個の火孔が開口したりしたことがあり、明瞭に区別するために、141火孔のように西暦の下2桁と通し番号で命名しています。
7) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
8) 火映は赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象です。
9) 九州地方整備局大隅河川国道事務所が黒神河原上流に設置したカメラ等によります。
10) 火山活動による地殻の伸び縮みを観測する機器。マグマ溜まりや火道内の圧力増加によって生じる火口周辺の変化が観測されることがあります。1nstrain(ナノストレイン)は1kmの長さのものが1000分の1mm伸び縮みするような変化量です。
11)赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器です。熱源から離れた場所から測定することができる利点がありますが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合があります。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。
  

表2 火山現象に関する警報等の発表履歴 (平成27年5月29日~6月4日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
5月29日 10時07分
口永良部島 噴火警報 噴火警戒レベル5(避難)に引上げ
5月29日 10時34分
火山現象に関する海上警報 半径2海里以内の周辺海域警戒
5月29日 10時09分
口永良部島 降灰予報(速報) 噴火発生から1時間以内に予想される
降灰量分布や小さな噴石の落下範囲を予想
5月29日 14時35分、17時21分
6月1日 10時17分、12時40分、
16時33分
6月4日 02時18分、07時50分、
10時56分、14時31分、
16時18分、19時44分
桜島
5月29日 10時25分、11時00分
口永良部島 降灰予報(詳細) 噴火発生から6時間先までに予想される
降灰量分布や降灰開始時刻を予想
5月29日 14時50分、17時40分
18時10分
5月30日 02時55分
6月1日 10時40分、12時55分
16時50分
6月4日 02時33分、08時10分、
11時10分、14時45分、
16時31分、20時00分
桜島
毎日02時から3時間毎に8回 阿蘇山
桜島
諏訪之瀬島
降灰予報(定時) 噴火した場合に予想される、降灰範囲及び
小さな噴石の落下範囲を予想
5月29日17時以降、毎日 02時から
3時間毎に8回
口永良部島
降灰予報(定時) 噴火した場合に予想される、降灰範囲及び
小さな噴石の落下範囲を予想
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 活火山であることに留意

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:活火山であることに留意)で発表します。
※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。



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