硫黄島[いおうとう] Ioto【常時観測火山】
北緯 24°45′02″ 東経 141°17′21″ 標高 170m (摺鉢山)(測定点) |
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![]() 硫黄島全景 南西側上空から 2008年7月29日 気象庁撮影 |
概要
別名中硫黄島。北東-南西方向8.5km、幅4.5kmの島。島の中北部(元山)は台地状で標高115m。南端に急傾斜の火砕丘摺鉢山(標高170m)があり、元山と摺鉢山とは未固結礫層の低い台地(千鳥ヶ原、標高70m以下)でつながる。島は基底の直径40km、比高2000mの大型の海底火山の山頂部にあり、直径約10kmのカルデラを埋積した後カルデラ火山の山頂部である。元山は浅海底に流出・堆積した溶岩・火砕岩が隆起・陸化した部分、摺鉢山は陸上火山の溶岩と火砕丘。岩石は福徳岡ノ場とともに伊豆諸島では特異な粗面安山岩。構成岩石のSiO2 量は54.6~60.5wt.%である。
島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯、噴気孔がある。異常な速さで島全体の隆起が続いており、島内各所で噴火が発生している。2022年8月から12月にかけて翁浜沖で発生した噴火では、観測開始以降はじめてマグマ物質が確認された。
2007(平成19)年に「硫黄島」の呼称が「いおうとう」に変更された。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
硫黄島北部、北の鼻海岸付近の火砕岩中から得た炭化木片の年代値より元山の火砕岩堆積年代が2900~2800年前であることがわかっている。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 硫黄島 有史以降の火山活動
- 硫黄島 過去に噴火等が確認された地点及びその後の状況(~2020年6月)(PDF)
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関の協力の下、硫黄島の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
火山活動解説資料
- 硫黄島の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。