西之島[にしのしま] Nishinoshima
北緯 27°14′49″ 東経 140°52′28″ 標高 25m (標高点・独自に計測) |
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![]() 西之島全景 2013年11月21日 第三管区海上保安本部 撮影 ![]() 西之島 新島の状況 2014年1月12日 海上保安庁 撮影 |
概要
安山岩の火山島。基底の直径約30kmの大きな海底火山の頂部に位置する。島は長径(南西-北東)約650m、幅約200m、面積約77000㎡、標高25mで、 その北東側に数個の岩礁があった。1973年5月に同島南端の東方約400mの海底で有史以降初めて噴火し、 9月に新島誕生。新島は海中からのマグマ水蒸気爆発に始まり、海面上では半円形弧上に噴出口を移動させ、5個の火口から噴石・溶岩を噴出した。 強い侵食のため各火山体は山体の大半を失ったが、それらの再堆積によって旧島と新島は連なり、そのため生じた湾も堆積物の移動によって、 1982年には湾口が閉じられた。噴出物のSiO2量は51.8~60.1 wt.% である。2013年11月頃からの噴火に伴い、新島が出現した。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている有史以降の火山活動を記載した。
- 西之島 有史以降の火山活動
年代 現象 活動経過・被害状況等 ▲1973~74(昭和48~49)年 中規模:マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火 73年4月上旬~74年6月頃。降下火砕物、溶岩流。噴火場所は西之島新島。
1973年噴火:4月12日西之島の東方に変色海域。5月30日白煙。6月27日噴煙、噴石、水柱。9月11日直径30~50mの新島発見。9月14日新島の位置・本島南端から116°(東南東)に600m。径約150m、高さ40m。噴石、水柱200m。9月29日新島主火口より溶岩流出、その西約40mに第2新島発見。10月9日第2新島の西に第3新島出没。10月10日第1~3新島陸続き。12月21日海上保安庁は西之島新島と命名。
1974年噴火:(前年からの活動続く)3月2日新島東北端に新々島出現。溶岩流出。6月10日新島と旧島結合。8月3日海上保安庁航空測量、面積316000m2(新島面積238000m2)。
マグマ噴出量は0.017 DREkm3。1975(昭和50)年 海水変色 新島の周囲で海水変色。 1990(平成2)年以降 海水変色 常時薄い黄緑色変色が認められる。 ▲2013~15(平成25~27)年 噴火 海上自衛隊からの連絡によると、2013年11月20日10時20分頃、噴煙が確認された。その後の海上保安庁の観測(11月20日16時頃)によると、島の南東500m付近の海上に長径約300m、短径約200mの新島が出現し、噴火していることが確認された。その後の海上保安庁等の観測では、噴火の継続と溶岩流の流下、新島の拡大が確認され、12月26日の海上保安庁の観測では、新島の北側に延びた溶岩流が西之島と接続し、両島が一体となっているのが認められた。2014年以降も噴火の継続、溶岩流の流出、新島の拡大が引き続き確認された。
2015年11月17日の海上保安庁の観測では、溶岩流は、火砕丘の南西山腹にある溶岩流出口からの流出が認められたが、2014年9月17日以来約1年間流出が継続していた火砕丘北側からの溶岩流は停止していた。また、11月17日の噴火は、数メートル程度の火山弾を放出し、到達距離が約500~1000mに達した。その後は噴火は確認されず、11月下旬以降は、溶岩の流出もほぼ停止したとみられる。噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
「概要」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
火山活動解説資料
- 西之島の火山活動解説資料
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