海面水温の長期変化傾向(日本近海)

平成31年3月11日発表(次回発表予定 平成32年3月10日)
気象庁地球環境・海洋部

診断(2018年)

上昇率:
  • 日本近海における、2018年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.12℃/100年です。 この上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率(+0.54℃/100年)よりも大きく、日本の気温の上昇率(+1.21℃/100年)と同程度の値です。
  • 海域別の海面水温(年平均)の上昇率は、日本の気温の上昇率と比較すると、黄海、東シナ海、日本海南西部、四国・東海沖、釧路沖で同程度、三陸沖、関東の東、関東の南、沖縄の東、先島諸島周辺では小さく、日本海中部では大きくなっています。
十年規模変動:
  • 日本近海の海面水温には十年規模の変動が見られます。全海域平均水温では、近年は2000年ごろに極大となった後、下降し、2010年ごろに極小となっています。
全海域平均海面水温(年平均)の平年差の推移

日本近海の全海域平均海面水温(年平均)の平年差の推移

図の青丸は各年の平年差を、青の太い実線は5年移動平均値を表します。赤の太い実線は長期変化傾向を表します。平年値は1981年〜2010年の30年間の平均値です。

海域平均海面水温の上昇率(日本近海) 海域区分
日本海北東部 日本海南西部 黄海 東シナ海北部 東シナ海南部 先島諸島周辺 関東の東 関東の南 四国・東海沖 沖縄の東 三陸沖 釧路沖 日本海中部 網走沖 日本海北東部 日本海南西部 黄海 東シナ海北部 東シナ海南部 先島諸島周辺 関東の東 関東の南 四国・東海沖 沖縄の東 三陸沖 釧路沖 日本海中部 全海域

日本近海の海域平均海面水温(年平均)の上昇率(℃/100年)(左図)と海域区分(右図)

左図中の無印の値は信頼度水準99%以上で統計的に有意な値を、「∗」を付加した値は95%以上で有意な値を示しています。上昇率が[#]とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示しています。各信頼度水準の詳細については、「長期変化傾向の有意性の目安について」を参照してください。

図中の青線は海域の境界を表しています。

左図の変化傾向の数字または右図の海域名(「関東の南」など)をクリックすると、各海域の年や季節別のデータのページへ移動します。網走沖は1960年代以前のデータ数が少ないため、長期変化傾向の解析は行っていませんが、データのページはご覧いただけます。

解説

日本近海の海面水温の上昇率の特徴

日本近海における2018年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.12℃/100年です。 この上昇率は、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率(それぞれ+0.54℃/100年、+0.52℃/100年)よりも大きくなっています(海面水温の上昇率 [全球平均海域別年平均])。 また、およそ100年間にわたる日本全国の年平均気温の上昇率(+1.21℃/100年(統計期間:1898〜2018年)、日本の年平均気温)と同程度の値です。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書によれば、世界の年平均地上気温(陸域+海上)の上昇率は、地域や海域によって異なり、日本に近い大陸の内陸部では上昇率が大きくなっています。日本周辺海域において、大陸に近い海域の海面水温の上昇率が大きいのは、この影響を受けている可能性が考えられます。

日本近海の海面水温の十年規模変動の特徴

日本近海の海面水温には、長期的な昇温傾向だけでなく、十年規模の変動が見られます。全海域平均水温に見られる十年規模の変動は、近年では2000年ごろに極大となった後、下降し、2010年ごろに極小となっています。この日本近海の海面水温の十年規模変動で最も卓越する変動は、東シナ海北部、黄海、日本海南西部、日本海中部を中心に広い海域における冬季の海面水温に認められるもので、冬季の季節風の強さが深く関係していると考えられます。これ以外にも、北海道周辺海域を中心に2000年ごろから夏季の海面水温の上昇が認められます。さらに、関東沖の海域や三陸沖のように、黒潮等の海流の変化や北太平洋に見られる主要な変動である太平洋十年規模振動(PDO)に関連する海洋内部の水温変動が影響していると考えられる海域もあります。

海面水温は、十年規模を含む様々な時間スケールの変動と地球温暖化等の影響が重なり合って変化しています。地球温暖化の進行を正確に監視するためには、十年規模の変動を把握することが重要となります。

季節別の海面水温の上昇率の特徴

季節別の海域平均海面水温の上昇率は、日本海中部、黄海、東シナ海、四国・東海沖では冬季に、日本海南西部、先島諸島周辺では秋季に最も大きくなっています。 日本海中部、日本海南西部、黄海、東シナ海では夏季に最も小さくなっています。 四国・東海沖、先島諸島周辺では春季に最も小さくなっています。 日本の気温は春季の昇温が大きい傾向がありますが、日本近海の海域平均海面水温は冬季または秋季の昇温が大きくなっています。

なお、海面水温の長期変化傾向の診断では、冬季を1-3月、春季を4-6月、夏季を7-9月、秋季を10-12月としており、気温の季節(冬季(前年12月-2月)、春季(3-5月)、夏季(6-8月)、秋季(9-11月))とは、1か月ずれています。

海域別の海面水温の上昇率の特徴

季節別の上昇率(冬) 季節別の上昇率(春)
季節別の上昇率(夏) 季節別の上昇率(秋)

季節別の海面水温の上昇率(℃/100年)

季節別の海面水温の上昇率を海域ごとに求めています。数値は、季節別の平均海面水温の100年あたりの上昇率(℃/100年)を表しています。

図中の無印の値は統計的に99%有意な値を、「∗」及び「∗∗」を付加した値はそれぞれ95%、90%有意な値を示しています。上昇率が[#]とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示しています。各信頼度水準の詳細については、「長期変化傾向の有意性の目安について」を参照してください。

図の変化傾向の数字をクリックすると、各 海域の年や季節別のデータのページへ移動します。データ数が少ない海域については、長期変化傾向の解析は行っていませんが、データのページはご覧いただけます。

日本海北東部(冬) 日本海南西部(冬) 黄海(冬) 東シナ海北部(冬) 東シナ海南部(冬) 先島諸島周辺(冬) 関東の東(冬) 関東の南(冬) 四国・東海沖(冬) 沖縄の東(冬) 三陸沖(冬) 釧路沖(冬) 日本海中部(冬) 全海域(冬) 日本海北東部(春) 日本海南西部(春) 黄海(春) 東シナ海北部(春) 東シナ海南部(春) 先島諸島周辺(春) 関東の東(春) 関東の南(春) 四国・東海沖(春) 沖縄の東(春) 三陸沖(春) 釧路沖(春) 日本海中部(春) 全海域(春) 日本海北東部(夏) 日本海南西部(夏) 黄海(夏) 東シナ海北部(夏) 東シナ海南部(夏) 先島諸島周辺(夏) 関東の東(夏) 関東の南(夏) 四国・東海沖(夏) 沖縄の東(夏) 三陸沖(夏) 釧路沖(夏) 日本海中部(夏) 全海域(夏) 日本海北東部(秋) 日本海南西部(秋) 黄海(秋) 東シナ海北部(秋) 東シナ海南部(秋) 先島諸島周辺(秋) 関東の東(秋) 関東の南(秋) 四国・東海沖(秋) 沖縄の東(秋) 三陸沖(秋) 釧路沖(秋) 日本海中部(秋) 全海域(秋)

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