気候系監視速報 ~気候系の診断情報~

 気象庁では、世界各地で起こった異常気象、それをもたらしたと考えられる大気大循環、海洋の状態等気候系を監視しています。これらの監視結果に基づき、月々の気候系の特徴をとりまとめた「気候系監視速報」を作成しています。
 なお、年間の異常気象・天候や気候系の特徴に関する総合的な情報は「気候変動監視レポート」をご覧ください。
※「気候系監視速報」は、利便性向上のため、2025年5月号(2025年6月発表)より、従来のPDF形式からウェブサイト形式に変更して掲載しています。

気候系の特徴(2025年12月)

  • 海面水温は(図7)、太平洋熱帯域では、西部で顕著な正偏差、中部~東部は負偏差とラニーニャ現象時に特徴的な偏差分布が続き、NINO.3は-0.6だった(図8)。インド洋熱帯域東部と北太平洋中緯度および北大西洋亜熱帯域も顕著な正偏差だった。
  • 熱帯の対流活動は(図9)、上層大規模発散が波数2となり、対流活動はアフリカと太平洋西部で顕著に活発で、インド洋と太平洋中部~東部では不活発だった。
  • 熱帯域の対流圏の循環は、上層では(図11)、アフリカ西部と太平洋西部を除いて低気圧性循環偏差が卓越し、北太平洋中部亜熱帯域では顕著だった。下層(図12)の循環偏差は小さかったが、太平洋中部では南北両半球対の高気圧性循環偏差がみられた。また北太平洋亜熱帯域では、顕著な低気圧性循環偏差となった。海面気圧は、インド洋~太平洋西部で負偏差、太平洋中部~東部の赤道付近で正偏差となったが、中緯度の影響を受けてタヒチの気圧が低かったことから、南方振動指数は-0.2だった。
  • 北半球の帯状平均した偏西風は(図14)、亜熱帯ジェット気流は南偏し、寒帯前線ジェット気流は60~70°N帯で強かった。北太平洋ではブロッキング現象に伴って、亜熱帯ジェット気流の軸付近で顕著に弱く、東アジアでは寒帯前線ジェット気流との合流が弱かった。
  • 500hPa高度では(図13)、分裂した極渦が中央シベリアとカナダ北部に位置し負偏差となった。一方、北欧周辺とブロッキング高気圧が持続したベーリング海周辺は顕著な正偏差だった。負のユーラシア(EU)パターンが卓越し、東アジアでの月平均した寒帯前線ジェットの南下は40~45°Nに留まった。
  • 海面気圧は(図15)、ブロッキング現象に伴って、アリューシャン周辺は実況で高気圧となり、気候学的なアリューシャン低気圧は、オホーツク海とアラスカ湾に小さく分かれた形となった。また、ユーラシアの中緯度帯は顕著な負偏差となり、シベリア高気圧は全般に弱く、日本付近の冬型の気圧配置は弱かった。
  • 日本の天候は(図1)、気温は、全国的に平年差+1℃程度の高温となり、日本の月平均気温偏差は+0.99℃だった。降水量は、北日本で多く、西日本で少なかった。日照時間は、北日本で少なく、東・西日本で多く、西日本太平洋側はかなり多かった。

日本の天候図1図2図3図4日本の地域平均気候表

  • 平均気温:全国的に高かった。日本の月平均気温偏差は+0.99℃で、1898年の統計開始以降、12月として8番目に高い値となった。12月の日本の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約0.99℃/100年である。
  • 降水量:北日本日本海側、北日本太平洋側で多く、西日本日本海側、西日本太平洋側で少なかった。
  • 日照時間:西日本太平洋側でかなり多く、東・西日本日本海側と東日本太平洋側で多かった。一方、北日本日本海側と北日本太平洋側で少なかった。
  • 天候経過:冬型の気圧配置が長続きせず、全国的に天気は周期的に変わった。日本付近を通過した低気圧に向かって暖かい空気が流れ込みやすかったことや、寒気の南下が一時的であったことから、月平均気温は全国的に高く、月降雪量は北・東・西日本日本海側で少なかった。月降水量は、低気圧の影響を受けやすかった北日本日本海側と北日本太平洋側で多かった一方、高気圧に覆われやすかった西日本日本海側と西日本太平洋側では少なかった。月間日照時間は、北日本日本海側と北日本太平洋側で少なかった一方、西日本太平洋側でかなり多く、東・西日本日本海側と東日本太平洋側で多かった。

世界の天候

  • 世界の月平均気温偏差は+0.41℃(速報値)で、1891年の統計開始以降、12月として5番目に高い値となった。12月の世界の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約0.81℃/100年(速報値)である(図5)。
  • 主な異常天候発生地域は次のとおり(図6)。
    • 東シベリア、華中~華南、西アフリカ東部、メキシコ、コロンビア~ペルー、ウルグアイ~チリ中部で異常高温となった。
    • ウズベキスタン~トルクメニスタン、カナダ南西部、パラグアイ~アルゼンチン北部で異常多雨、ヨーロッパ中部で異常少雨となった。

海況

  • 太平洋赤道域の海面水温は、中部~東部で負偏差、西部で顕著な正偏差となった(図7)。NINO.3海域の月平均海面水温偏差は-0.7℃、基準値との差は-0.6℃だった(図8)。
  • 北太平洋では、オホーツク海付近と日本の東南東で負偏差となった一方、熱帯~中緯度帯の広い範囲で顕著な正偏差となった。
  • 南太平洋では、西部と中緯度帯の東部で顕著な正偏差となった一方、中部亜熱帯で顕著な負偏差となった。
  • インド洋では、熱帯南東部で顕著な正偏差、北西部で顕著な負偏差となった。
  • 北大西洋では、中緯度帯を除き顕著な正偏差となった。
  • 南大西洋では、中緯度帯の東部で顕著な正偏差となった。

熱帯の対流活動と循環

  • 対流活動は、平年と比べてアフリカ西部~中部で顕著に活発、太平洋西部で活発だった。一方、インド洋と太平洋中部~東部で不活発だった(図9)。
  • 赤道季節内振動に伴う対流活発な位相の東進は不明瞭だった(図10)。
  • 対流圏上層では、熱帯域では、アフリカ西部と太平洋西部の北半球で高気圧性循環偏差となったほかは、ほぼ全球的に低気圧性循環偏差となった。特に北太平洋中部亜熱帯域は顕著な低気圧性循環偏差となった(図11)。
  • 対流圏下層では、北太平洋中部亜熱帯域で低気圧性循環偏差となった(図12)。
  • 海面気圧は、北大西洋東部の熱帯域と太平洋中部~東部の赤道域で正偏差となったほかは広く負偏差となった。南方振動指数は-0.2だった(図8)。

北半球の循環

  • 500hPa高度(図13)は、分裂した極渦が位置した中央シベリアとカナダ北部では負偏差、北欧周辺とブロッキング高気圧が発達したベーリング海周辺は顕著な正偏差となった。中緯度では、北米東部と欧州西部で負偏差の他は正偏差で、北米西部は顕著な正偏差となった。
  • 200hPa風速(図14)より、北太平洋ではブロッキング高気圧に伴って、亜熱帯ジェット気流の軸付近で西風が顕著に弱く、東アジアでは亜熱帯ジェット気流と寒帯前線ジェット気流との合流が弱かった。
  • 海面気圧(図15)は、ブロッキング高気圧に伴いベーリング海周辺は顕著な正偏差で、アリューシャン低気圧は、オホーツク海とアラスカ湾に分かれた形となった。他は、北欧付近で正偏差になった以外は、負偏差が大きく広がり、ユーラシアの中緯度帯は顕著な負偏差で、シベリア高気圧は弱かった。
  • 850hPa気温(図16)は、アラスカ~カナダは顕著な負偏差で、中央シベリア~沿海州および北大西洋東部も負偏差となった。中緯度は概ね正偏差で、ユーラシア東部と太平洋の北緯40度以北、北米西部は顕著な正偏差となった。

帯状平均場

  • 帯状平均した対流圏の東西風より、亜熱帯ジェット気流は北半球で平年よりも南偏し、寒帯前線ジェット気流は、北緯60~70度帯で強かった。
  • 帯状平均した対流圏の気温は、北緯70度付近、北緯20度付近、南緯50度付近、南半球極域を除いて広い範囲で高温偏差となった。北半球の成層圏の気温は、北緯60度以南で低温偏差、北緯60度以北で高温偏差となった。

その他の情報


図1 月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年差(比)(2025年12月)
平年値は1991〜2020年の平均値。

図2 旬降水量及び旬間日照時間地域平均平年比の時系列(2025年10月〜2025年12月)
それぞれの上側が降水量(%)、下側が日照時間(%)。平年値は1991〜2020年の平均値。


図3 地域平均気温平年差の5日移動平均時系列(2025年10月〜2025年12月)
平年値は1991〜2020年の平均値。


図4 12月の日本の月平均気温偏差の経年変化(1898〜2025年)
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


図5 12月の世界の月平均気温偏差の経年変化(1891〜2025年:速報値)
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


図6 異常天候発生地点分布図(2025年12月)


図7 月平均海面水温平年差(2025年12月)
等値線の間隔は0.5°C毎、灰色陰影は海氷域を表す。平年値は1991〜2020年の平均値。


図8 エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(°C)(上)と南方振動指数(下)の推移
細線は月平均値、太線は5か月移動平均値を示す(海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値、南方振動指数の平年値は1991〜2020年の平均値)。赤色の陰影はエルニーニョ現象の発生期間を、青色の陰影はラニーニャ現象の発生期間を示している。


図9 月平均外向き長波放射量(OLR)平年差(2025年12月)
陰影の間隔は10W/m2毎。平年値は1991〜2020年の平均値。米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いて作成。

図10 赤道付近(5°N~5°S)の5日移動平均200hPa速度ポテンシャル平年差(左)、850hPa東西風平年差(右)の時間・経度断面図(2025年7月〜2025年12月)
等値線の間隔は、4x106m2/s毎(左)、2m/s毎(右)。平年値は1991〜2020年の平均値。


図11 月平均200hPa流線関数・平年差(2025年12月)
等値線の間隔は10x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。


図12 月平均850hPa流線関数・平年差(2025年12月)
等値線の間隔は2.5x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

図13 北半球月平均500hPa高度・平年差(2025年12月)
等値線の間隔は60m毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
図14 北半球月平均200hPa風速・風ベクトル(2025年12月)
等値線の間隔は15m/s毎。平年の30m/s毎の等値線を茶色で表す。平年値は1991〜2020年の平均値。
図15 北半球月平均海面気圧・平年差(2025年12月)
等値線の間隔は4hPa毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
図16 北半球月平均850hPa気温・平年差(2025年12月)
等値線の間隔は4°C毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

過去の気候系監視速報(2007年3月~2025年11月)

2011年5月号から2021年4月号までは、平年の期間を1981~2010年として記述しています。
2011年4月号までは、平年の期間を1979~2004年として記述しています。
2014年1月号まではJRA-25/JCDASによる大気循環場データに基づいて記述しています。
2014年2月号から2023年4月号まではJRA-55による大気循環場データに基づいて記述しています。
2023年5月号からは気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)による大気循環場データに基づいて記述しています。

項目別の詳細情報

大気の循環・雪氷・海況図表類

2024年3月18日 「大気の循環・雪氷・海況図表類」について、気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)を用いた図表を、熱帯低気圧解析の品質が改善されたデータに基づくものに更新しました。外向き長波放射量(OLR)に基づく1991年以降のすべての図を、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いたものに更新しました。
※外向き長波放射量(OLR)関連の図表や指数の値は、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)によるデータの提供状況によっては、更新が遅れる場合や灰色で塗られた欠損表示となる場合があります。

関連情報

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