気候系監視速報 ~気候系の診断情報~

 気象庁では、世界各地で起こった異常気象、それをもたらしたと考えられる大気大循環、海洋の状態等気候系を監視しています。これらの監視結果に基づき、月々の気候系の特徴をとりまとめた「気候系監視速報」を作成しています。
 なお、年間の異常気象・天候や気候系の特徴に関する総合的な情報は「気候変動監視レポート」をご覧ください。
※「気候系監視速報」は、利便性向上のため、2025年5月号(2025年6月発表)より、従来のPDF形式からウェブサイト形式に変更して掲載しています。

気候系の特徴(2026年3月)

  • 海面水温は(図7)、太平洋熱帯域では、西部と南米沿岸で顕著な正偏差、150°W付近で弱い負偏差となった。NINO.3は+0.3℃だった(図8)。インド洋熱帯域と太平洋は、顕著な正偏差の海域が多かった。
  • 熱帯の対流活動は(図9)、アフリカ東部および太平洋西部の15°N帯で顕著に活発で、海洋大陸東部~太平洋西部も活発だった。インド洋~海洋大陸西部と太平洋中部~東部は不活発で、インド洋赤道域は顕著に不活発だった。
  • 熱帯域の対流圏の循環は、上層では(図11)、インド洋と太平洋東部で南北両半球対の低気圧性循環偏差がみられた。下層では(図12)、南北両半球対で、海洋大陸東部~太平洋西部で低気圧性循環偏差となり、インド洋と太平洋中部~東部は高気圧性循環偏差となった。海面気圧は、赤道付近は全域負偏差、亜熱帯域は、南半球側で正、北半球側で負偏差となった。南方振動指数は+1.0だった。
  • 北半球の偏西風は(図14)、亜熱帯ジェット気流は顕著に南偏し、寒帯前線ジェット気流は北緯60度帯で顕著に強かった。
  • 500hPa高度では(図13)、極渦は2つに分裂し、カナダ北東部と中央シベリアに位置した。北米では、高緯度が顕著な負偏差に、中緯度が広く顕著な正偏差となった。カムチャツカ付近で顕著な正偏差となり、ユーラシア大陸の中緯度も概ね正偏差だった。
  • 海面気圧では(図15)、グリーンランドの南は顕著な負偏差でアイスランド低気圧が強かった。一方、ベーリング海は顕著な正偏差でアリューシャン低気圧はみられなかった。太平洋の20~30°Nは顕著な負偏差が帯状に広がった。
  • 日本の天候は(図1)、気温は、全国で高く、北日本は顕著な高温だった。日本の月平均気温偏差は+1.36℃で、1898年の統計開始以降3月として6番目に高い値だった。降水量は、北日本日本海側で顕著に少なく、東日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった他は平年並だった。日照時間は、東日本日本海側と西日本で顕著に多く、北・東日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側は平年並だった。

日本の天候図1図2図3図4日本の地域平均気候表

  • 平均気温:北日本でかなり高く、東・西日本と沖縄・奄美で高かった。日本の月平均気温偏差は+1.36℃で、1898年の統計開始以降、3月として6番目に高い値となった。3月の日本の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約1.91℃/100年である。
  • 降水量:北日本日本海側でかなり少なく、東日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。
  • 日照時間:東・西日本日本海側、西日本太平洋側でかなり多く、北・東日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。
  • 天候経過:日本付近を低気圧と高気圧が周期的に通過し、上旬を中心に低気圧の通過後は一時的に冬型の気圧配置となった。日本付近は高気圧に覆われやすく、北日本日本海側を中心に低気圧の影響を受けにくかった。このため、月降水量は北日本日本側でかなり少なく、東日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。月間日照時間は、東・西日本日本海側と西日本太平洋側でかなり多く、北・東日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。東日本以西では上旬後半から中旬前半にかけて大陸から南下した寒気の影響を受けたが、そのほかの時期は暖かい空気に覆われやすかったため、月平均気温は北日本でかなり高く、東・西日本と沖縄・奄美で高かった。

世界の天候

  • 世界の月平均気温偏差は+0.47℃(速報値)で、1891年の統計開始以降、3月として6番目に高い値となった。3月の世界の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約0.92℃/100年(速報値)である(図5)。
  • 主な異常天候発生地域は次のとおり(図6)。 
    • 東シベリア~北日本、パキスタン及びその周辺、ヨーロッパ北部及びその周辺、メキシコ北部で異常高温、カナダで異常低温となった。
    • 中央シベリア、中国中部、地中海周辺、オーストラリア中部で異常多雨、ヨーロッパ東部及びその周辺で異常少雨となった。

海況

  • 太平洋赤道域の海面水温は、西部と南米沿岸で顕著な正偏差、150°W付近で弱い負偏差となった(図7)。NINO.3海域の月平均海面水温偏差及び基準値との差はともに+0.3℃だった(図8)。
  • 北太平洋と南太平洋では、西部の15~30°Nで負偏差となったほかは概ね正偏差で、顕著な正偏差のところも多かった。
  • インド洋では、中部~東部の20°S帯で負偏差となったほかは正偏差で、顕著な正偏差のところも多かった。
  • 北大西洋では、40°N以南では西部で顕著な正偏差、東部で負偏差、40~60°Nでは西部で負偏差、東部で顕著な正偏差となった。
  • 南大西洋では、熱帯~中緯度帯の広い範囲で顕著な正偏差となった。

熱帯の対流活動と循環

  • 対流活動は、平年と比べて、アフリカ東部および太平洋西部の15°N帯で顕著に活発で、海洋大陸東部~太平洋西部も活発だった。インド洋~海洋大陸西部と太平洋中部~東部は不活発で、インド洋赤道域は顕著に不活発だった(図9)。
  • 対流活動域は波数2の分布となった。赤道季節内振動に伴う対流活発な位相は、太平洋東部からインド洋へ東進し、太平洋西部の対流活発域は中部へとゆっくりと東進した(図10)。
  • 対流圏上層では、インド洋と太平洋東部で南北両半球対の低気圧性循環偏差がみられた。北太平洋西部熱帯域の高気圧性循環偏差から北米に向かって波列状の偏差パターンがみられ、ハワイ付近で低気圧性循環偏差が、北米西岸で顕著な高気圧性循環偏差となった(図11)。
  • 対流圏下層では、南北両半球対で、海洋大陸東部~太平洋西部で低気圧性循環偏差となり、インド洋と太平洋中部~東部は高気圧性循環偏差となった(図12)。
  • 海面気圧は、赤道付近は全球で負偏差だった。インド洋と太平洋の亜熱帯域では、南半球側は高気圧偏差、北半球側が低気圧偏差で、南北非対称だった。南方振動指数は+1.0だった(図8)。

北半球の循環

  • 500hPa高度(図13)は、極渦は2つに分裂し、主体はカナダ北東部に、もうひとつは中央シベリアに位置した。西半球は、高緯度が顕著な負偏差に、中緯度が広く顕著な正偏差となった。東半球では、中央シベリアで負偏差、カムチャツカ付近で顕著な正偏差となり、中緯度も概ね正偏差だった。一方、アフリカ北部や太平洋西~中部の20~30°N帯は顕著な負偏差となった。
  • 200hPa風速(図14)より、亜熱帯ジェット気流は北半球のほぼ全域で顕著に南偏し、寒帯前線ジェット気流は60°N帯で顕著に強かった。両者の間となった中緯度帯は偏西風が平年よりかなり弱かった。
  • 海面気圧(図15)は、グリーンランドの南は顕著な負偏差でアイスランド低気圧が強かった。一方、ブロッキング高気圧が停滞したベーリング海は顕著な正偏差でアリューシャン低気圧はみられなかった。太平洋の20~30°Nは顕著な負偏差が帯状に広がった。
  • 850hPa気温(図16)は、500hPa高度とほぼ同じ偏差分布となり、カナダ北部で顕著な負偏差、米国とカムチャツカ半島周辺で顕著な正偏差となった。
  • 成層圏では、波数2が卓越し、極渦がカナダ側とシベリア側に分裂した。

帯状平均場

  • 帯状平均した対流圏の東西風より、北半球の亜熱帯ジェット気流は平年よりかなり南偏した。偏西風は、60°N帯では平年よりかなり強い一方、40°N帯ではかなり弱かった。
  • 帯状平均した気温は、対流圏では、北半球中緯度帯で顕著に高く、層厚換算温度は3月として最も高かった。一方、亜熱帯域や60~70°Nでは負偏差となった。

その他の情報


図1 月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年差(比)(2026年3月)
平年値は1991〜2020年の平均値。

図2 旬降水量及び旬間日照時間地域平均平年比の時系列(2026年1月〜2026年3月)
それぞれの上側が降水量(%)、下側が日照時間(%)。平年値は1991〜2020年の平均値。


図3 地域平均気温平年差の5日移動平均時系列(2026年1月〜2026年3月)
平年値は1991〜2020年の平均値。


図4 3月の日本の月平均気温偏差の経年変化(1898〜2026年)
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


図5 3月の世界の月平均気温偏差の経年変化(1891〜2026年:速報値)
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


図6 異常天候発生地点分布図(2026年3月)


図7 月平均海面水温平年差(2026年3月)
等値線の間隔は0.5°C毎、灰色陰影は海氷域を表す。平年値は1991〜2020年の平均値。


図8 エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差(°C)(上)と南方振動指数(下)の推移
細線は月平均値、太線は5か月移動平均値を示す(海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値、南方振動指数の平年値は1991〜2020年の平均値)。赤色の陰影はエルニーニョ現象の発生期間を、青色の陰影はラニーニャ現象の発生期間を示している。


図9 月平均外向き長波放射量(OLR)平年差(2026年3月)
陰影の間隔は10W/m2毎。平年値は1991〜2020年の平均値。米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いて作成。

図10 赤道付近(5°N~5°S)の5日移動平均200hPa速度ポテンシャル平年差(左)、850hPa東西風平年差(右)の時間・経度断面図(2025年10月〜2026年3月)
等値線の間隔は、4x106m2/s毎(左)、2m/s毎(右)。平年値は1991〜2020年の平均値。


図11 月平均200hPa流線関数・平年差(2026年3月)
等値線の間隔は10x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。


図12 月平均850hPa流線関数・平年差(2026年3月)
等値線の間隔は2.5x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

図13 北半球月平均500hPa高度・平年差(2026年3月)
等値線の間隔は60m毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
図14 北半球月平均200hPa風速・風ベクトル(2026年3月)
等値線の間隔は15m/s毎。平年の30m/s毎の等値線を茶色で表す。平年値は1991〜2020年の平均値。
図15 北半球月平均海面気圧・平年差(2026年3月)
等値線の間隔は4hPa毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
図16 北半球月平均850hPa気温・平年差(2026年3月)
等値線の間隔は4°C毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

過去の気候系監視速報(2007年3月~2026年2月)

2011年5月号から2021年4月号までは、平年の期間を1981~2010年として記述しています。
2011年4月号までは、平年の期間を1979~2004年として記述しています。
2014年1月号まではJRA-25/JCDASによる大気循環場データに基づいて記述しています。
2014年2月号から2023年4月号まではJRA-55による大気循環場データに基づいて記述しています。
2023年5月号からは気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)による大気循環場データに基づいて記述しています。

項目別の詳細情報

大気の循環・雪氷・海況図表類

2024年3月18日 「大気の循環・雪氷・海況図表類」について、気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)を用いた図表を、熱帯低気圧解析の品質が改善されたデータに基づくものに更新しました。外向き長波放射量(OLR)に基づく1991年以降のすべての図を、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いたものに更新しました。
※外向き長波放射量(OLR)関連の図表や指数の値は、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)によるデータの提供状況によっては、更新が遅れる場合や灰色で塗られた欠損表示となる場合があります。

関連情報

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