2025年6月の天候
2025年7月1日 掲載
2025年6月の特徴
* 気温は、北・東・西日本では、かなり高かった。日本の月平均気温は、1898年以降で6月として最も高かった
気温は、暖かい空気に覆われやすかったため、北・東・西日本ではかなり高く、沖縄・奄美では高かった。特に北・東・西日本では、1946年の統計開始以降、6月として1位の高温となった。また、全国153の気象台等のうち122地点で、月平均気温が6月として歴代1位の高温となった(6地点のタイ記録を含む)。また、地球温暖化等の長期的な気候変動の監視に用いる15地点の観測値による日本の月平均気温(*)の基準値からの偏差は+2.34℃で、これまでに最も高かった2020年の+1.43℃を0.91℃上回り、統計を開始した1898年以降の6月として1位の高温となった。
* 降水量は、沖縄・奄美では、かなり少なかった
降水量は、期間を通して太平洋高気圧に覆われやすかった沖縄・奄美では、かなり少なかった。
* 日照時間は、北・東・西日本太平洋側と沖縄・奄美では、かなり多かった
日照時間は、低気圧や前線及び湿った空気の影響を受けにくかった北日本太平洋側、及び太平洋高気圧に覆われやすかった東・西日本太平洋側と沖縄・奄美では、かなり多かった。北日本太平洋側では、1946年の統計開始以降、6月として1位の多照となった。
概況
月平均気温は、偏西風が日本付近で平年より北を流れ、暖かい空気に覆われやすかったことや暖かい空気が流れ込みやすかったことなどから、北・東・西日本ではかなり高く、沖縄・奄美では高かった。北・東・西日本では月平均気温平年差がそれぞれ+3.2℃、+2.3℃、+1.8℃となり、1946年の統計開始以降、6月として1位の高温となった。全国153の気象台等のうち122地点で、月平均気温が6月として歴代1位の高温となった(6地点のタイ記録を含む)。また、地球温暖化等の長期的な気候変動の監視に用いる15地点の観測値による日本の月平均気温(*)の基準値からの偏差は+2.34℃で、これまでに最も高かった2020年の+1.43℃を0.91℃上回り、統計を開始した1898年以降の6月として1位の高温だった。
北日本では、太平洋側を中心に前線や湿った空気の影響を受けにくかったため、晴れの日が多かった。このため、北日本太平洋側では月降水量は少なく、月間日照時間はかなり多かった。北日本太平洋側では、月間日照時間平年比が143%となり、1946年の統計開始以降、6月として1位の多照となった。また、北日本日本海側で月間日照時間が多かった。東・西日本では、中旬前半までと下旬前半は日本海側を中心に梅雨前線や湿った空気の影響を受けて曇りや雨の日が多く、大雨となった所もあった。中旬後半及び下旬後半は太平洋高気圧が本州付近に張り出したため、太平洋側を中心に晴れの日が多かった。このため、月降水量は、西日本太平洋側では少なかった。また、月間日照時間は、東・西日本太平洋側ではかなり多く、東・西日本日本海側では多かった。沖縄・奄美では、期間を通して太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多かった。このため、月降水量はかなり少なく、月間日照時間はかなり多かった。
(*)都市化による影響が比較的小さく、長期間の観測が行われている地点から、地域的に偏りなく分布するように選定した15地点(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)の気象台等の観測値を用いた統計。
月平均気温は、北・東・西日本ではかなり高く、沖縄・奄美では高かった。
月降水量は、沖縄・奄美ではかなり少なく、北・西日本太平洋側では少なかった。北・東・西日本日本海側と東日本太平洋側では平年並だった。
月間日照時間は、北・東・西日本太平洋側と沖縄・奄美ではかなり多く、北・東・西日本日本海側では多かった。
気温、降水量、日照時間等の気候統計値
平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布 | 地域平均平年差、地域平均平年比の1位の値の更新状況 |
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* 平均気温の高い記録を更新した地域北日本、東日本、西日本、北海道地方、東北地方、関東甲信地方、北陸地方、東海地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州北部地方、九州南部・奄美地方、九州南部
* 平均気温の低い記録を更新した地域なし * 降水量の多い記録を更新した地域なし * 降水量の少ない記録を更新した地域なし * 日照時間の多い記録を更新した地域北日本太平洋側、北海道太平洋側、東北太平洋側
* 日照時間の少ない記録を更新した地域なし |
旬降水量の地域平均平年比、旬間日照時間の地域平均平年比の経過 | 平均気温の地域平均平年差の経過(5日移動平均) |
![]() この図は翌月はじめに作成したものです。数日後により新しいデータを反映して図を作成していますので、引用等する場合は可能な限りこちらに掲載の図をご利用ください。(※1) |
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旬別の天候経過
上旬
北日本では、低気圧や前線の影響を受けにくかった北日本太平洋側で旬間日照時間は多かったが、1日は低気圧の接近・通過により大雨となった所があった。また、東・西日本では、前線や湿った空気の影響で雲りや雨の日が多かった。特に8日頃から10日頃にかけては、西日本から本州南岸付近に北上した梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、9日は鹿児島県で線状降水帯が発生し、記録的な大雨となった。このため、旬降水量は西日本日本海側と西日本太平洋側でかなり多く、東日本日本海側と東日本太平洋側では多かった。旬間日照時間は、東・西日本日本海側と東日本太平洋側では少なかった。四国地方と九州北部地方では8日頃、東海地方、近畿地方、中国地方では9日頃、関東甲信地方と北陸地方では10日頃に梅雨入りしたとみられる(速報値)。一方、沖縄・奄美では、旬の前半を中心に梅雨前線や湿った空気の影響を受けやすく、4日頃には大雨となった所もあったが、旬の終わり頃には梅雨前線が本州付近に北上し、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。沖縄地方では8日頃に梅雨明けしたとみられる(速報値)。気温は、旬の前半は東・西日本を中心に冷涼な空気に覆われやすかったが、旬の中頃以降は暖かい空気が流れ込みやすく、広い範囲で真夏日を観測した日もあった。このため、旬平均気温は北・東日本と沖縄・奄美では高かった。
旬降水量は、西日本日本海側、西日本太平洋側ではかなり多かった。東日本日本海側、東日本太平洋側では多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
旬間日照時間は、北日本太平洋側では多かった。東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側では少なかった。北日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
中旬
北日本では、前線や湿った空気の影響で曇りや雨となった日もあったが、旬のはじめ頃や終わり頃には低気圧や前線の影響を受けにくかったため、旬間日照時間は北日本太平洋側でかなり多く、北日本日本海側では多かった。東北地方は14日頃に梅雨入りしたとみられる(速報値)。東・西日本では旬の前半には本州付近に停滞した梅雨前線や湿った空気の影響を受けやすく、特に12日頃にかけては、梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込んだため、広い範囲でまとまった雨となり、大雨となった所もあった。このため、東日本日本海側の旬降水量は多かった。一方、旬の後半には、梅雨前線が日本海から北日本付近に北上し、不明瞭となった時期もあるなど、太平洋高気圧に覆われて晴れた所が多くなったため、東日本日本海側と東・西日本太平洋側の旬間日照時間は多く、西日本太平洋側の旬降水量は少なかった。沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多くなったため、旬降水量は少なく、旬間日照時間は多かった。奄美地方では19日頃に梅雨明けしたとみられる(速報値)。気温は、全国的に暖かい空気に覆われやすかったため、かなり高かった。特に、16日から20日には東北地方から西日本にかけて各地で猛暑日を観測したほか、6月としての日最高気温や日最低気温の高い方からの極値を更新した地点もあった。旬平均気温平年差は東日本で+3.0℃、西日本で+2.6℃となり、1946年の統計開始以降、6月中旬として東日本では1位、西日本では2013年と並び1位タイの高温となった。
旬降水量は、東日本日本海側では多かった。北日本太平洋側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では少なかった。北日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間は、北日本太平洋側ではかなり多かった。北日本日本海側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では多かった。西日本日本海側では平年並だった。
下旬
北・東・西日本では、低気圧や梅雨前線及び湿った空気の影響で曇りや雨の日もあったが、太平洋高気圧が本州付近に張り出しやすかったことから太平洋側を中心に、この時期としては晴れの日が多かった。沖縄・奄美では、期間を通して太平洋高気圧に覆われやすく、晴れの日が多かった。このため、旬降水量は西日本太平洋側でかなり少なく、東日本太平洋側と沖縄・奄美では少なかった。一方、低気圧の影響を受けた時期があった北日本日本海側では、旬降水量はかなり多かった。旬間日照時間は、梅雨前線の活動が弱く、太平洋高気圧に覆われやすかった北・東・西日本太平洋側と西日本日本海側では、かなり多く、東日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方と近畿地方では27日頃に梅雨明けしたとみられる(速報値)。旬平均気温は、全国的にかなり高く、特に北日本では、旬平均気温平年差は+4.7℃と、これまでの極値だった2010年の+3.1℃を大きく上回り、1946年の統計開始以降、6月下旬として記録的な高温となった。30日は、全国の914の観測地点のうち、118地点で猛暑日となった。
旬降水量は、北日本日本海側ではかなり多かった。西日本太平洋側ではかなり少なかった。東日本太平洋側、沖縄・奄美では少なかった。北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間は、北日本太平洋側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側ではかなり多かった。東日本日本海側、沖縄・奄美では多かった。北日本日本海側では平年並だった。
循環場
500hPa高度場等の特徴
500hPa高度では、オホーツク海付近が気圧の谷となり平年より低かった一方、日本付近は本州の東海上を中心に平年より顕著に高く、亜熱帯ジェット気流は日本付近で平年より北を流れやすかった。このため、日本付近は暖かい空気に覆われやすかった。海面気圧では、日本の南を中心に平年より高く、東・西日本太平洋側や沖縄・奄美では太平洋高気圧に覆われやすかった。北日本太平洋側では低気圧や前線及び湿った空気の影響を受けにくかった。一方、オホーツク海付近を中心に日本海にかけて平年より低く、本州の日本海側を中心に暖かく湿った空気が入りやすい時期があった。
月別値で作成した図を表示しています。 (※2、翌月はじめに暫定版として作成・掲載している日別値の図はこちら) 翌月はじめに暫定的に日別値で作成した図で、月末までのデータを含まない事があります。6日頃に月別値で作成した図を掲載します。(月別値の図は掲載後にこちらで確認できます) | |
2025年6月平均500hPa高度・偏差の分布(単位:m) | 2025年6月平均850hPa気温・偏差の分布(単位:℃) |
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2025年6月平均海面気圧・偏差の分布(単位:hPa) | 2025年6月平均外向き長波放射量の偏差の分布(単位:W/m2) |
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外向き長波放射量(OLR)の図は翌月数日経ってから作成しています。 |
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※ 米国海洋大気庁(NOAA)が作成する外向き長波放射量(OLR)のデータが欠損により利用できない場合には、OLR偏差図は描画されません。 |
資料
※ : 特に作成日の言及がない図は、本資料を掲載した月初時点に作成したものです。
※1 : リンク先の図表類は、平年値更新時などに再作成されることがあります。リンク先にある平年値期間などの記述をご確認ください。
※2 : こちらに掲載しているものと同じ図を表示しています。平年値が変わった場合などには図を再作成することがあるため、解説内容と齟齬が生じることもあります。