このページでは、東北地方でこれまでに観測されている気候の変化について示します。
信頼水準90%以上で統計的に有意な場合に、長期的な変化傾向があると評価します。
偏差や比を算出する際の基準値は、1991-2020年の30年平均値です。
各グラフの元データは、グラフ下のリンクからCSV形式で取得できます。
本ページの内容は、すべて2023年までの観測結果を基にした情報です。気温、降水量の変化について、地点別の観測結果は、国立環境研究所の気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)から公開されています。
ページ内で折りたたまれている箇所(<クリックして開閉>と記載)をまとめて開く/閉じるには以下ボタンを押下ください。
年降水量
- 青森、秋田、仙台、山形、福島では、統計的に有意な変化傾向は確認できません。
棒グラフ(緑)は各年の値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
|
短時間強雨
(注意事項)
- 1時間から数時間程度の時間で発生するような極端な降水現象は、発生頻度が少なく、また局地性が高いことから、都道府県単位で変化傾向が捉えられない場合にも地方単位での経年変化を見ることで、より多くの観測地点数を確保できる空間的に密な観測網を用いることができるため、現象をより捉えやすくなることが期待できます。
- 全国的な傾向として極端な大雨は増加しており、このような大雨の頻度の増大には、地球温暖化が影響している可能性があります。ただし、極端な大雨は発生頻度が少なく、それに対してここでのアメダスを用いた地域別の統計期間は1979年以降と比較的短い期間に限られることから、これらの長期変化傾向を確実に捉えるためには今後のデータの蓄積が必要です。
1時間30mm以上の短時間強雨発生回数
(クリックして開閉)
- 東北地方のアメダス観測地点でみると、1時間降水量30ミリ以上の極端な大雨の年間発生回数は増加しています(信頼水準99%以上で統計的に有意)。
- なお、最近10年間の平均年間発生回数は、統計期間の最初の10年間と比べて約1.8倍に増加しています(1979~1988年平均で約0.40回が2014~2023年平均で約0.73回に増加)。
棒グラフ(緑)は各年の1地点あたりの値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。統計期間は1979年~。 この解析では、各年で観測のある地点の値を1地点あたりに換算している。なお、山岳地域に展開されていた無線ロボット雨量観測所のうち、現在廃止された観測所は統計期間を通じて除外している。
|
1時間50mm以上の短時間強雨発生回数
(クリックして開閉)
- 東北地方のアメダス観測地点でみると、1時間降水量50ミリ以上の極端な大雨の年間発生回数は増加しています(信頼水準99%以上で統計的に有意)。
- なお、最初の10年間(1979~1988年)では発生がまれでしたが、それと比べて最近10年間(2014~2023年)は増加しています。
棒グラフ(緑)は各年の1地点あたりの値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。統計期間は1979年~。 この解析では、各年で観測のある地点の値を1地点あたりに換算している。なお、山岳地域に展開されていた無線ロボット雨量観測所のうち、現在廃止された観測所は統計期間を通じて除外している。
|
3時間80mm以上の短時間強雨発生回数
(クリックして開閉)
- 東北地方のアメダス観測地点でみると、3時間降水量80ミリ以上の極端な大雨の年間発生回数には増加傾向が現れています(信頼水準95%以上で統計的に有意)。
- なお、最近10年間の平均年間発生回数は、統計期間の最初の10年間と比べて約2.1倍に増加しています(1979~1988年平均で約0.08回が2014~2023年平均で約0.17回に増加)。
棒グラフ(緑)は各年の1地点あたりの値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。統計期間は1979年~。 この解析では、各年で観測のある地点の値を1地点あたりに換算している。なお、山岳地域に展開されていた無線ロボット雨量観測所のうち、現在廃止された観測所は統計期間を通じて除外している。
|
3時間100mm以上の短時間強雨発生回数
(クリックして開閉)
- 東北地方のアメダス観測地点でみると、3時間降水量100ミリ以上の極端な大雨の年間発生回数は増加しています(信頼水準99%以上で統計的に有意)。
- なお、統計期間の最初の10年間(1979~1988年)では発生がまれでしたが、それと比べて最近10年間(2014~2023年)は増加しています。
棒グラフ(緑)は各年の1地点あたりの値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。統計期間は1979年~。 この解析では、各年で観測のある地点の値を1地点あたりに換算している。なお、山岳地域に展開されていた無線ロボット雨量観測所のうち、現在廃止された観測所は統計期間を通じて除外している。
|
大雨
日100mm以上の大雨発生回数
(クリックして開閉)
- 東北地方のアメダス観測地点でみると、日降水量100ミリ以上の極端な大雨の年間発生回数には統計的に有意な変化傾向は確認できません。
- なお、最近10年間の平均年間発生回数は、統計期間の最初の10年間と比べて約1.3倍に増加しています(1979~1988年平均で約0.42回が2014~2023年平均で約0.53回に増加)。
棒グラフ(緑)は各年の1地点あたりの値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。統計期間は1979年~。 この解析では、各年で観測のある地点の値を1地点あたりに換算している。なお、山岳地域に展開されていた無線ロボット雨量観測所のうち、現在廃止された観測所は統計期間を通じて除外している。
|
年最大日降水量
年最大日降水量
(クリックして開閉)
- 東北地方では、年最大日降水量(年間で最も降水量の多かった日の降水量)には統計的に有意な増大傾向が現れています(信頼水準95%以上で統計的に有意)。
- 全国的な傾向も増大しており、極端な大雨の頻度とともに強度もまた増大しています。
棒グラフは東北地方のアメダス地点のうち1976~2023年の期間で観測が継続している地点(103地点)における各年の値と基準値との比(%)の平均を示し、100%より大きい場合は緑色、小さい場合は黄色で示す。折れ線(青)は5年移動平均値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。統計期間は1976年~。
|
無降水日数
無降水日数
(クリックして開閉)
- 青森、秋田、仙台、山形、福島では、統計的に有意な増加傾向が現れています(信頼水準95%以上で統計的に有意)。
- 全国的な傾向として、極端な大雨の日数が増加していることとあわせて、大雨の頻度が増える反面、降水がほとんどない日も増加しています。
- 地点別で見ると、全国的な増加傾向とは異る特徴がみられる地点もあり、地域的な地形の影響等が要因として考えられます。
棒グラフ(緑)は各年の値、折れ線(青)は5年移動平均値、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
|
雪の変化
年最深積雪
- 東北地方日本海側の4地点の年最深積雪には、統計的に有意な変化傾向は見られません。
(注意事項)
- 東北地方日本海側の4地点の年最深積雪の基準値に対する比を平均して示します。雪の統計では、寒候年(前年8月~当年7月)で解析しています。
- 気温が上昇することで雪は減ると考えられていますが、年最深積雪の年ごとによる変動が大きく、それに対して統計期間は比較的短いことから、長期変化傾向を評価するためには今後さらなるデータの蓄積が必要です。
棒グラフは各年の値を示し、100%より大きい場合は緑色、小さい場合は黄色で示す。赤線は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
東北地方日本海側には、若松、青森、秋田、山形の4地点を使用しています。これらの観測地点は積雪及び降雪量データの均質性が長期間継続している地点から選出しています。
|
大雪
日降雪20cm以上の大雪発生回数
(クリックして開閉)
- 東北地方日本海側の4地点の日降雪20cm以上の年間日数は、減少しています(信頼水準99%以上で統計的に有意)。
(注意事項)
- 東北地方日本海側の4地点の年最深積雪の基準値に対する比を平均して示します。雪の統計では、寒候年(前年8月~当年7月)で解析しています。
- 積雪及び降雪は年ごとの変動が大きく、それに対して統計期間は比較的短いことから、長期変化傾向を評価するためには今後のさらなるデータの蓄積が必要です。
- 地域特性による雪の降り方の違いがあるため、地点によってはここで示した基準が極端な降雪の指標としてなじまない場所もあると考えられます。
棒グラフは各年の値、折れ線(青)は5年移動平均、直線(赤)は長期変化傾向(信頼水準90%以上のみ)を示す。
東北地方日本海側には、若松、青森、秋田、山形の4地点を使用しています。これらの観測地点は積雪及び降雪量データの均質性が長期間継続している地点から選出しています。
|
台風の変化
海面水温の変化
海面水位の変化
- 日本沿岸の平均海面水位は、1980 年代以降は上昇傾向が現れています。
- 1906年からの全期間を通して10年から20年周期の変動(十年規模の変動)が見られます。
- 地盤上下変動を補正したデータでは、平均海面水位が2004年から2024年の間に1年当たり3.4mm上昇しています。
- 詳しくは、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」本編第9-1章を参照ください。
生物季節(さくら・かえで)の変化
- 全国平均では、 1953年以降、さくらの開花日は、10年あたり1.2日程度早くなっています。また、かえでの紅葉・黄葉日は、10年あたり3.1日程度遅くなっています(いずれの変化も信頼水準99%で統計的に有意)。
- 詳しくは、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」本編コラム3を参照ください。
お問い合わせ
仙台管区気象台 気象防災部 地域防災推進課
〒983-0842 宮城県仙台市宮城野区五輪1-3-15
TEL:022-290-5778