高知県の気候変動

 大気中の温室効果ガスは、地表面から上向きに放出される赤外線(長波放射)を吸収し、地表面に向かって再放出する働き(温室効果)があります。18 世紀中頃の工業化以降、人間活動に伴い大気中の温室効果ガス濃度は増加し続けているため、地球上のほぼ全域で気温と海水温が上昇しています。この現象が地球温暖化であり、高知県の気候も地球温暖化の影響を受けていると考えられます。

 ここでは、高知県の気候変動について記述しています。

※本ページの図は、クリックすると拡大して表示されます。

これまでの気候変動

統計開始から2023年までの観測データに基づき、高知県(高知は高知市を指す)のこれまでの気候の長期変化傾向について記述します。

長期変化傾向(トレンド)の評価については気象庁ホームページの「長期変化傾向(トレンド)の解説」で詳しく解説しています。

〇気温のこれまでの変化

年平均気温

  •  世界と日本の年平均気温は、様々な時間スケールの変動を伴いながら上昇しています。
  •  気温の上昇は一様ではなく、日本の年平均気温の上昇は世界平均よりも速く進んでいます。(日本の気候変動2025本編第2章より)

 高知、室戸岬、清水、宿毛における日最高気温・平均気温・日最低気温の年平均値は、様々な周期の変動を繰り返しながら上昇しています。

 気温の上昇は、地球温暖化による長期的な上昇傾向や都市化の影響などによるものと考えられます。


高知の年平均気温変化のグラフ
高知の年平均気温の変化
(1886~2023年)
室戸岬の年平均気温変化のグラフ
室戸岬の年平均気温の変化
(1921~2023年)
清水の年平均気温変化のグラフ
清水の年平均気温の変化
(1941~2023年)
宿毛の年平均気温変化のグラフ
宿毛の年平均気温の変化
(1943~2023年)

図中の細い折れ線グラフは毎年の値、太い黒線の折れ線グラフは5年移動平均値、赤・緑・青の直線は長期変化傾向、は観測所の移転を示しています。移転の前後で観測環境が異なるため、移転以前の平均気温は移転後と均質になるように補正しています。

気温階級別日数(猛暑日・真夏日・熱帯夜)

気温階級別日数は、観測所の移転により統計を切断しているためその前後の比較はできませんが、統計を切断していない期間では増加傾向を示しているものが多くあります。

猛暑日:日最高気温が35℃以上の日

高知の年間猛暑日のグラフ
高知の猛暑日の変化
(1886~2023年)

室戸岬・清水・宿毛では有意な変化傾向が見られないため図を表示していません。青い折れ線グラフは5年移動平均値を示しています。

真夏日:日最高気温が30℃以上の日

高知の年間真夏日のグラフ
高知の真夏日の変化
(1886~2023年)
清水の年間真夏日日数変化のグラフ
清水の真夏日の変化
(1941~2023年)

室戸岬・宿毛では有意な変化傾向が見られないため図を表示をしていません。図中の緑の棒グラフは毎年の値、青い折れ線グラフは5年移動平均値、は観測所の移転を示しています。移転の前後で観測環境が異なるため、移転の前後は比較できません。

熱帯夜:夜間の最低気温が25℃以上の日

※ 熱帯夜とは、夜間の最低気温が25℃以上のことを指しますが、ここでは日最低気温25℃以上の日数を熱帯夜日数として扱います。

高知の年間熱帯夜日数変化のグラフ
高知の熱帯夜日数の変化
(1886~2023年)
室戸岬の年間熱帯夜日数変化のグラフ
室戸岬の熱帯夜日数の変化
(1921~2023年)
清水の年間熱帯夜日数変化のグラフ
清水の熱帯夜日数の変化
(1941~2023年)

宿毛では有意な変化傾向が見られないため図を表示していません。図中の緑の棒グラフは毎年の値、青い折れ線グラフは5年移動平均値、は観測所の移転を示しています。移転の前後で観測環境が異なるため、移転の前後は比較できません。

降水量の変化

年間降水量

高知の年間降水量は統計的に有意な変化傾向がみられません。

雨の強さの階級については気象庁ホームページの「雨の強さと降り方」をご覧ください。

1時間降水量30ミリ以上の年間発生回数
高知の年間降水量(1886~2023年)

無降水日数

無降水(日降水量1ミリ未満)の年間日数は、高知、室戸岬、清水、宿毛の全地点において増加傾向が現れています。

高知の無降水日数変化のグラフ
高知の年間無降水日数
(1886~2023年)
室戸岬の年間熱帯夜日数変化のグラフ
室戸岬の年間無降水日数
(1921~2023年)
清水の年間熱帯夜日数変化のグラフ
清水の年間無降水日数
(1941~2023年)
宿毛の年間熱帯夜日数変化のグラフ
宿毛の年間無降水日数
(1943~2023年)

図中の緑の棒グラフは毎年の値、青い折れ線グラフは5年移動平均値、赤い直線は長期変化傾向を示しています。

生態系への影響(さくらの開花日の変化)

高知のさくらの開花は1950年以降の期間では50年あたり約4.5日早くなっています。 さくらの開花は開花前の平均気温との相関が高いことから、要因の一つとして長期的な気温上昇の影響が考えられます。

高知のさくらの開花日グラフ
高知のさくらの開花日(1954~2024年)

リーフレット

日本の気候変動2025」に基づいて、高知県のこれまでの変化(観測)と将来変化(予測)に関する情報をまとめたリーフレットです。

参考資料

  • 日本の気候変動2025:これまでに観測された事実や将来予測を文部科学省ととりまとめ、2025年3月に公表しました。
  • 地球温暖化予測情報:温室効果ガスの増加に伴う日本付近の詳細な気候の変化の予測結果をとりまとめ、公表しています。
  • 気候変動監視レポート:世界や日本の気候変動や温室効果ガス、オゾン層の状況について最新の情報として、毎年とりまとめ、公表しています。

関連ウェブサイト