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平成30年 No.23 週間火山概況 (6月1日~6月7日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

いずれの火山についても、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 6月7日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 霧島山(新燃岳)、桜島
入山危険 西之島※
レベル2(火口周辺規制) 草津白根山(白根山(湯釜付近))、草津白根山(本白根山)、浅間山、霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)、口永良部島、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 ベヨネース列岩※、福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) アトサヌプリ、雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、倶多楽、有珠山、北海道駒ヶ岳、恵山、岩木山、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、鳥海山、蔵王山、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、日光白根山、新潟焼山、焼岳、御嶽山、白山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、三宅島、八丈島、青ヶ島、鶴見岳・伽藍岳、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島
活火山であることに留意 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1 噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(6月7日現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


草津白根山(白根山(湯釜付近)) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 4月21日に増加した湯釜付近を震源とする火山性地震は増減を繰り返しており、地震活動は継続しています。湯釜火口付近の傾斜計1)では、4月21日頃よりわずかな変化が継続しています。
 全磁力観測2)によると、2018年4月下旬頃から湯釜付近の地下の温度上昇の可能性を示唆するわずかな変化がみられています。
 以上のことから、白根山(湯釜付近)の火山活動は、引き続き高まった状態と考えられます。
 湯釜火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。噴火時には、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)が風に流されて降るため注意してください。


草津白根山(本白根山) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 1月23日の噴火以降、噴火は発生していません。
 噴火後に多発した火口付近ごく浅部の火山性地震は、徐々に減少しながら継続しています。
 GNSS4)連続観測では、特段の変化は観測されていません。
 本白根山では、引き続き1月23日と同様な噴火が発生する可能性は否定できません。本白根山の火口から概ね1kmの範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。噴火時には、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて降るため注意してください。


浅間山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 山頂火口からの噴煙は白色で、火口縁上概ね100m以下で推移しています。
 山頂直下の火山性地震は、概ねやや少ない状態で経過しました。火山性微動はやや多い状態で経過しました。
 山頂の南南西にある塩野山の傾斜計では、2016年12月頃からみられている山頂の西側の膨張を示す緩やかな変化は、2018年1月頃からほぼ停滞しています。国土地理院のGNSS連続観測によると、顕著な地殻変動は観測されていません。
 火山活動はやや活発な状態で経過しています。今後も火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性があるため、山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。登山者等は地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るため注意してください。


ベヨネース列岩 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 海上保安庁、第三管区海上保安本部によるこれまでの観測では、明神礁付近で火山活動によるとみられる変色水や気泡が時々観測されるなど、活動は活発な状態が続いています。今後、小規模な海底噴火が発生する可能性がありますので、明神礁付近及び周辺海域では海底噴火に警戒してください。また、周辺海域では海底噴火による浮遊物(軽石等)に注意してください。


西之島 [火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]

 海上保安庁、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁によるこれまでの観測では、2017年8月11日以降火口からの火山灰や噴石の噴出は認められず、8月24日には溶岩流の海への流入も止まっていたとみられます。しかし、約1年半の休止期間の後、2017年4月に噴火した経緯を踏まえると、今後も噴火が再開する可能性が考えられますので、火口から概ね1.5kmの範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 火山性地震は少ない状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。
 GNSS連続観測によると、島の隆起が継続しています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。
 火山活動はやや活発な状態で経過しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、以前に小規模な噴火が発生した地点(ミリオンダラーホール(旧噴火口)等)及びその周辺では引き続き噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 海上保安庁、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁によるこれまでの観測では、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されるなど、活動はやや活発な状態で経過しています。今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では海底噴火に警戒してください。また、周辺海域では海底噴火による浮遊物(軽石等)に注意してください。


霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 硫黄山では、4月27日以降、噴火は観測されていません。
 硫黄山の南側の火孔では、引き続き活発な噴気活動が続いており、白色の噴煙が300mまで上がりました。また、硫黄山南監視カメラでは、硫黄山の南側で引き続き湯だまりを確認しました。
 硫黄山の西側500m付近の噴気は、5月下旬頃から低下し、50m以下で推移しました。
 1日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量5)は1日あたり10トン未満でした。赤外熱映像装置6)による観測では、硫黄山の西側及びその周辺で引き続き熱異常域を確認しました。また、硫黄山周辺の沢で、引き続き白濁した泥水が流れていることを確認しました。
 火山性地震は少ない状態で経過しています。浅い所を震源とする低周波地震が時々発生しました。火山性微動は観測されていません。
 GNSS連続観測では、硫黄山近傍の基線で、4月19日の噴火後に山体の収縮を示す変動がみられていましたが、5月上旬からその変動は停滞しています。霧島山を挟む基線では、3月中旬以降、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられていましたが、5月上旬から一部の基線でその伸びは鈍化しています。
 えびの高原の硫黄山から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき7))が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 新燃岳では、活発な火山活動が続いています。
 火山性地震は概ねやや多い状態で経過しています。浅い所を震源とする低周波地震が時々発生しました。火山性微動は観測されていません。
 噴煙は白色で概ね火口縁上100m以下で経過し、最高で500mまで上がりました。
 1日に新湯温泉付近から実施した現地調査では、火口西側斜面の割れ目付近で、引き続き噴気と熱異常域を確認しました。また、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり80トン(前回4月11日、600トン)と減少しました。
 高千穂河原観測点の傾斜計では、5月21日から新燃岳方向がわずかに隆起する変動が観測されていましたが、5月28日以降は停滞しています。
 GNSS連続観測では、霧島山を挟む基線で、3月中旬以降、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられていましたが、5月上旬から一部の基線でその伸びは鈍化しています。
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流8)が概ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範囲では警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。また、地元自治体等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性がありますので留意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 南岳山頂火口では、噴火が7回発生し、このうち3回が爆発的噴火でした。噴煙は最高で火口縁上2,000mまで上がり、弾道を描いて飛散する大きな噴石が最大で9合目(南岳山頂火口より300mから500m)まで達しました。また、同火口では期間を通して、夜間に高感度の監視カメラで火映9)を観測しました。
 昭和火口では、噴火は観測されていません。
 1日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり2,700トン(前回5月25日、2,400トン)と引き続き多い状態でした。赤外熱映像装置による観測では、昭和火口近傍および南岳南東側山腹ではこれまでと同様に熱異常域が観測されましたが、前回(2017年10月25日)と比べて特段の変化は認められませんでした。
 火山性地震は少ない状態で経過しました。また、噴火に伴う火山性微動が断続的に発生しました。
 GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部の膨張を示す基線の伸びは2018年3月頃から鈍化しているものの、地下深部へのマグマの供給は継続していると考えられます。
 桜島では、南岳山頂火口を中心に、引き続き噴火活動が継続すると考えられます。昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき7))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時には土石流が発生する可能性がありますので留意してください。


口永良部島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 新岳火口では、噴煙は白色で火口縁上800mまで上がりました。
 火山性地震は概ねやや多い状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。1日から4日及び6日に東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び気象庁が実施した観測では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり100~400トン(前回5月31日、300トン)でした。
 口永良部島では、2015年6月19日のごく小規模な噴火以降、噴火は発生していません。新岳火口の西側割れ目付近には依然として高温の熱異常域が存在するものの、温度は低下傾向が続いています。また、新岳火口を挟むGNSSの基線では、2016年1月頃から緩やかな縮み傾向がみられています。
 火山性地震は概ね多い状態で経過しており、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も2014年8月の噴火前の水準には低下しておらず、火山活動はやや高まった状態となっています。引き続き小規模な噴火の可能性があります。
 新岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、新岳火口から西側の概ね2kmの範囲では、火砕流に警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 諏訪之瀬島では、噴火活動が続いています。
 御岳(おたけ)火口では、2日03時28分に爆発的噴火が発生しましたが、噴煙の高さは天候不良のため不明です。また、同火口では、概ね期間を通して夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
 火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
 諏訪之瀬島では、長期にわたり噴火を繰り返しています。火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。



【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】

十勝岳 [噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)]

 振幅の小さな火山性微動が5日09時54分頃(継続時間約2分)と7日07時33分頃(継続時間約1分)に発生しました。これらの微動発生前後で噴煙の状況に変化はなく、火山性地震の増加はありませんでした。微動が発生したのは2017年12月11日以来です。
 十勝岳では、2006年以降、山体浅部の膨張が継続する中で、噴煙高の高い状態、地熱域の拡大や温度上昇、地震の一時的な増加等、火山活動の活発化を示唆する現象を観測していますので、今後の火山活動の推移に注意してください。



上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。


全国の常時観測火山の観測データは、気象庁ホームページでもご覧になれます。


1) 傾斜計とは、火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器です。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。1μrad(マイクロラジアン)は1km先が1mm上下するような変化量です。
2) 火山体の南側で全磁力を観測した場合、全磁力値が減少すると火山体内部で温度上昇が、全磁力値が増加すると火山体内部で温度低下が生じていると推定されます。
3) 噴石は、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
4) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
5) 火口から放出される火山ガスには、マグマに溶けていた水蒸気や二酸化硫黄、硫化水素など様々な成分が含まれており、これらのうち、二酸化硫黄はマグマが浅部へ上昇するとその放出量が増加します。気象庁では、二酸化硫黄の放出量を観測し、火山活動の評価に活用しています。
6) 赤外熱映像装置とは、物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器です。熱源から離れた場所から測定することができる利点がありますが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合があります。
7) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
8) 火砕流とは、火山灰や岩塊、火山ガスや空気が一体となって急速に山体を流下する現象です。火砕流の速度は時速数十kmから時速百km以上、温度は数百℃にも達することがあります。
9) 火映とは、赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象です。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。

表2 火山現象に関する警報等の発表履歴 (6月1日~6月7日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
毎日 02時から3時間毎に8回 草津白根山
霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)
霧島山(新燃岳)
桜島
口永良部島
諏訪之瀬島
降灰予報(定時) 噴火した場合に予想される、降灰範囲及び小さな噴石の落下範囲を予想

【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 活火山であることに留意

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:活火山であることに留意)で発表します。
※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。



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