平成26年 No.06 週間火山概況 (平成26年1月31日〜2月6日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

 いずれの火山についても、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 火山現象に関する警報等の発表履歴(平成26年1月31日〜2月6日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
2日 16時02分 桜島 降灰予報 噴火に伴う降灰地域予想
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

表2 2月6日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 桜島
レベル2(火口周辺規制) 三宅島、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 西之島※、硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(平常) 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、草津白根山、浅間山、新潟焼山、焼岳、御嶽山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島、口永良部島
平常 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1  噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(2月6日)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 今期間、噴煙の高さは、火口縁上100〜200mで経過しました。
 火山性地震は、少ない状態で経過しました。
 三宅村によると、山麓ではまれにやや高濃度の二酸化硫黄が観測されています。
 山頂火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、山頂火口周辺(雄山環状線内側)では噴火に警戒してください。また、火山ガス予報で火山ガスの濃度が高くなる可能性があると予想される地域では、火山ガスに警戒してください。


西之島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 西之島では活発な噴火活動が続いています。
 第三管区海上保安本部が2日に、海上保安庁が3日に、宇宙航空研究開発機構と共に気象庁が4日に上空からの観測を実施しました。これらの観測によると、2ヶ所の火口で活発な噴火活動が継続しており、薄褐色の噴煙が高さ200〜1,000mまで上がっているのが観測されました。また、火口内には赤熱が確認されました。溶岩流は新しい陸地の北西・北東・南東・南西に拡大しており、旧島との接続部分が拡大したのが確認されました。新しい陸地の東側に形成された湾状の地形から褐色や黄土色の変色水が幅200〜300m、長さ1,000〜5,000mの帯状に分布しているのを確認しました。
 西之島では、今後も噴火が続くおそれがありますので、西之島付近では噴火に警戒してください。また、周辺海域では浮遊物に注意してください。


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 今期間、火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されませんでした。
 国土地理院の観測によると、地殻変動は2013年11月頃から沈降していましたが、最近は停滞気味となっています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生している地点(旧噴火口等)及びその周辺では噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 1月29日(期間外)に海上自衛隊の協力により気象庁が上空から行った観測では、緑色の薄い変色水が湧出点から西に約2kmの長さで帯状に広がっていました。付近の海域には浮遊物は認められませんでした。
 2日に第三管区海上保安本部が実施した上空からの観測によると、変色水域は確認されませんでした。
 これまでの海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁による観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制規制)]

 阿蘇山では、やや活発な火山活動が続いています。
 31日には、中岳第一火口でごく小規模な噴火が発生し、灰白色の噴煙が最大で火口縁上200mまで上がりました。
 火山性地震の回数は多い状態でしたが、次第に減少しています。孤立型微動1)は少ない状態で経過しています。
 5日に実施した現地観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり2,300トン(前回1月29日1,300トン)と引き続き多い状態です。
 阿蘇山では、中岳第一火口から概ね1kmの範囲で、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石2)に注意してください。

図1 阿蘇山 火山活動経過図(2013年9月1日〜2014年2月6日)

図2 阿蘇山 火山活動経過図(2013年9月1日〜2014年2月6日)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制規制)]

 新燃岳では今期間、噴火は発生しませんでした。
 火山性地震及び火山性微動は観測されませんでした。
 傾斜計3)では、火山活動に伴う特段の変化は認められませんでした。
 国土地理院の広域的な地殻変動観測によると、新燃岳の北西地下深くのマグマだまりへのマグマの供給に伴う地盤の伸びの傾向は2011年12月以降鈍化・停滞しています。一部の基線で、2012年5月頃からわずかな縮みの傾向がみられ、同年9月頃から停滞しています。
 新燃岳の火山活動は落ち着いた状態が続いています。しかし、火口内に溜まった溶岩は依然高温状態にあり、火口周辺に影響のある小規模な噴火が発生する可能性は残っています。火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石2)(火山れき4))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 昭和火口では、爆発的噴火が7回発生し、大きな噴石2)が最大で4合目(昭和火口より800〜1,300m)まで達しました。2日15時47分の爆発的噴火では、やや多量の噴煙が火口縁上2,600mまで上がりました。
 南岳山頂火口では、噴火は発生しませんでした。
 GPS連続観測では桜島島内の基線で、2013年2月頃からわずかな伸びの傾向がみられましたが、同年7月頃から停滞またはわずかな縮みの傾向がみられます。国土地理院の地殻変動観測結果によると、鹿児島(錦江)湾を挟む一部の基線では、長期的な伸びの傾向が続いていましたが、6月頃から停滞気味です。
 昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 諏訪之瀬島の御岳(おたけ)では、やや活発な噴火活動が続いています。
 御岳火口では、2日16時25分に小規模な噴火が発生し、灰白色の噴煙が最大で火口縁上1,000mまで上がりました。
 同火口では、夜間には高感度カメラで火映を時々観測しました。
 火山性地震は少ない状態で経過し、1日から4日にかけて火山性微動を時々観測しました。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石2)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】


十和田 [噴火予報(平常)]

 1月27日(前期間)10時頃から、十和田湖の中湖(なかのうみ)付近を震源とする地震が増加しました。この地震活動は17時から19時頃をピークに、非常に多い状況となりましたがその後は減少しました。
 今期間は微小な地震が一日あたり0〜6回と更に減少し、概ね平常の状況となりました。
 火山活動に特段の変化はなく、噴火の兆候は認められません。

図3 十和田 十和田付近を震源とする時間別地震回数(2014年1月27日〜2014年2月6日)

図3 十和田 十和田付近を震源とする時間別地震回数(2014年1月27日〜2014年2月6日)

(計数基準:防災科学技術研究所の小坂観測点で上下動振幅1.0μm/s以上、S-P時間2秒以内)




1)阿蘇山特有の微動で、火口直下のごく浅い場所で発生しており、周期0.5〜1.0秒、継続時間10秒程度で振幅が5μm/s以上のものを孤立型微動としています。
2)噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは、「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とは、それより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
3)火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。
4)霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。
  


【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(平常) 平常

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:平常)で発表します。

※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。


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