2007年 No.18 火山の概況 (平成19年4月27日 〜 平成19年5月3日)

【噴火した火山】

諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
5月2日に御岳火口から小規模な噴火が発生した。

【活発もしくはやや活発な状況の火山】

樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
御嶽山 [やや活発な状況]
火山活動はやや活発な状況が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
硫黄島 [やや活発な状況]
大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら継続している。
福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
火山活動によるとみられる変色水が確認された。
桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震はやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。

【静穏な状況であるがデータに変化があった火山】

倶多楽 [静穏な状況]
5月3日から大正地獄でごく小規模な泥混じりの熱湯の噴出が発生している。
伊豆大島 [静穏な状況(レベル1)
4月29日から30日にかけて、島北部で震度1以上を観測する地震が3回発生した。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。

注2 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 樽前山 [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 4月30日に第一管区海上保安本部が実施した上空からの観測では、山頂溶岩ドーム及びドーム周辺の火口や地熱域の状況に変化は認められなかった。
 樽前山の火山活動はやや活発な状況で経過しており、火口周辺では注意が必要である。
 なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いており、地殻変動に特段の変化はなかった。


◇ 倶多楽 [静穏な状況]

 5月3日朝、大正地獄たいしょうじごくで熱湯が噴出しているとの通報があり、同日午後、札幌管区気象台及び北海道大学が現地調査を行ったところ、灰色で高さ2〜3mの泥混じりの熱湯が連続的に噴出しているのが観測された。湯温は約97℃で、前回観測時(2006年10月、約61℃)に比べ上昇していた。倶多楽では、1984年に大湯沼で同様な泥混じりの熱湯の噴出と湯温の上昇がみられた。大正地獄付近では、今後も熱湯の噴出に注意する必要がある。
 火山性地震の増加や火山性微動は観測されず、大湯沼や奥湯沼等の熱活動の状況に特段の変化はなく、倶多楽の火山活動は静穏な状況が続いている。


● 御嶽山 [やや活発な状況]

 火山性地震は、昨年12月から消長を繰り返しながらやや多い状態が続き、火山性微動も時々観測された。
 今期間、火山性地震は少なく、火山性微動も観測されなかったが、火山活動は現在もやや活発な状態が続いていると考えられ、山頂付近では注意が必要である。
 三岳黒沢みたけくろさわの遠望カメラ(剣ヶ峰けんがみねの南東約14kmに設置)では、ごく少量の噴気が時々観測された。
 気象庁のGPSによる地殻変動観測では、御嶽山の地下の膨張を示すわずかな伸びの変化は、収まりつつあるように見える。


◇ 伊豆大島 [静穏な状況(レベル1)

4月29日〜30日に、島北部で震度1以上を観測した地震が3回発生した。震源はいずれも島北部の浅い所であった。最大の地震は30日05時47分に発生したマグニチュード1)1.4(暫定値)で、震源に近い伊豆大島町岡田で震度2を観測した。これらの地震の前後で地震増加はみられず、その他の観測データにも特段の変化はなく、火山活動は静穏に経過している。

1)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。


● 三宅島 [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
 特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
 なお、火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
 


● 硫黄島 [やや活発な状況]

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、島内の地震活動は落ち着いた状態となっているが、昨年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動は、やや鈍化しながら継続している。
 硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、従来から小規模な水蒸気爆発が見られていた領域では、今後も注意が必要である。

● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]

 4月27日に海上自衛隊が、4月29日に第三管区海上保安本部が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近の海面に、火山活動によるとみられる乳白色の変色水が確認された。


● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口からの噴火は発生しなかった。昭和火口でも、噴火は発生しなかったが、弱い噴気が時々観測された。
 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。
 桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。


● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。


● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳しんだけ火口周辺では注意が必要である。
 なお、遠望カメラ(新岳火口の北西約3kmに設置)による観測では、新岳火口周辺の噴気等は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。


▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)

 十島としま村役場諏訪之瀬島出張所によると、5月2日に御岳おたけ火口で小規模な噴火が発生した。
 諏訪之瀬島の火山活動は活発な状況が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。
 なお、火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。





表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
御 嶽 山 火山観測情報第20号
4月27日
16:00
最近の火山活動評価。4月20日〜4月27日15時までの活動状況。
三 宅 島 火山観測情報第17号
4月27日
16:30
最近の火山活動評価。4月20日〜4月27日16時までの活動状況。20日に行ったガス管sの区の結果。


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