伊豆大島[いずおおしま] Izu-Oshima【常時観測火山】
北緯 34°43′28″ 東経 139°23′40″ 標高 758m (三原新山)(標高点) |
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![]() 三原山 山頂口から 2011年 5月16日 大島町役場撮影 |
概要
北北西-南南東15㎞、東北東-西南西9㎞の火山島で、主に玄武岩の成層火山である。頂上部にカルデラと中央火口丘三原山がある。カルデラの直径は3~4.5㎞で東方に開いている。大島火山は、数万年前から活動を始め、緩傾斜の主成層火山体と北北西-南南東方向の割れ目噴火により形成された多数の側火山から成る。約1700年前に山頂部で大規模な水蒸気爆発が発生し、陥没してカルデラを形成した。約1500年前にも大規模な噴火が起こり、山頂部に相接して複数のカルデラが生じたと考えられている。その後の噴火による溶岩は、カルデラ底を埋積しながら北東方向に流下し、海岸に達した。カルデラ形成後、1回の噴出量が数億トンである大規模噴火が10回発生し、最後の大規模噴火は1777年の噴火であった。噴出量数千万トン程度の中規模噴火は、近年では1912、1950年、1986年に発生しており、間隔は36~38年である。またそれらの間に20回以上の小規模噴火があった。大規模噴火の時には初期にスコリア放出、溶岩流出、その後火山灰の放出が長期間(10 年程度)続いたと考えられている。中規模噴火はスコリア放出、溶岩流出、小規模噴火は噴石、火山灰を放出する。ストロンボリ式噴火が特徴であるが、マグマ水蒸気爆発も起きている。1552~1974 年の噴火は三原山火口か、その周辺のカルデラ底で発生したが、1986年噴火は三原山火口内(A 火口)と割れ目火口(カルデラ底:B 火口、カルデラ縁外側の北山腹斜面:C 火口)で起こった。噴火前兆あるいは活動と関係する地殻変動、地震・微動、地磁気、比抵抗、重力等の変化が観測されている。玄武岩を主とするSiO2 量は49.5~58.0 wt.% である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1 万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 伊豆大島 過去1万年間の噴火活動
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参照。
- 伊豆大島 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、光波距離計、監視カメラを設置し、関係機関の協力の下、伊豆大島の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 伊豆大島の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 伊豆大島の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。
火山防災連絡事務所、火山防災協議会など
- 伊豆大島火山防災連絡事務所
伊豆大島における火山業務を地元自治体と連携して行うことを目的として、地元自治体庁舎内に「火山防災連絡事務所」を設置しています。
- 伊豆大島の火山防災協議会など