2005年 No.51 火山の概況 (平成17年12月16日 〜 平成17年12月22日)
【噴火が観測された火山】
【活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山】
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
- ● 浅間山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動の活発な状態が続いている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
- 22日に変色水が確認された。
- ● 阿蘇山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
- 比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
図1 各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。
注2 記号の意味
▲:噴火が観測された火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山
◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
◇:その他記事を掲載した火山
□:記事を掲載していないレベル対象火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
注3 記事は、▲、●及び◆(注2参照)に該当する火山について掲載する。
その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
● 樽前山 [やや活発な状況]
今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
● 浅間山 [やや活発な状況 (レベル2)]
山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。今期間は天候不良の日が多かったこともあり、山麓の高感度カメラ1)で火映は観測されなかった。
火山性地震は1日あたり4〜25回とやや少ない状態であった。火山性微動は観測されなかった。
1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。
● 三宅島 [やや活発な状況]
山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
19日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり3,800〜6,200トンと依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回12日2,100〜3,900トン)。
火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されなかった。
● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
22日に海上自衛隊が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近で火山活動によると考えられる変色水が確認された。噴煙や浮遊物は認められなかった。変色水は福徳岡ノ場から東南東に長さ約5㎞、幅約100mで延びる青緑色のものであった。
● 阿蘇山 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
火山性連続微動の振幅はやや小さい状態が続いているが、19日から数分間程度、振幅がやや大きくなる状態が時々観測されている。
20日に行った現地観測では、火口内の湯だまり2)は、量が約8割、色が乳緑色で変化なく、表面温度は60℃(赤外放射温度計3)による)とやや低い値が続いている(前回12月1日59℃)。湯だまり内では土砂噴出は観測されず、引き続き噴湯現象が観測されている。
孤立型微動及び火山性地震の発生状況には大きな変化はなく、噴煙活動、地殻変動等その他の観測データにも特段の変化はなかった。
2) 湯だまり:活動静穏期の中岳第一火口内には、地下水などを起源とする約50〜60℃の緑色のお湯がたまっており、これを湯だまりと呼んでいる。火山活動が活発化するにつれ、湯だまり温度が上昇・噴湯して湯量の減少がみられ、その過程で土砂を噴き上げる土砂噴出現象等が起こり始めることが知られている。
3) 赤外放射温度計は、物体が放射する赤外線を感知して温度を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況 (レベル2)]
御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。今期間は、火口縁を超える噴気は観測されず、その他の観測データも特段の変化はなかった。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]
比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった(前期間は噴火4)を2回、その内爆発的噴火を1回観測)。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。
4) 桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発的噴火もしくは一定の規模以上の噴火を桜島の噴火の回数として計数している。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した(最高は18日の600m)。火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
京都大学防災研究所の観測によると、期間中、地震活動に特段の変化はみられなかった。
また、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
20日及び22日に噴火が各1回観測された。22日は爆発的噴火であった。
十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、20日に火山灰を含む噴煙が火口縁上700mまで上がっているのが確認された。22日の爆発的噴火の際は噴煙の状況は不明であった。同出張所によると、期間中、集落(御岳の南南西約4km)で降灰はなかったが、20日に切石港(御岳の南約3.5km)で少量の降灰があった。
火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル
火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
浅 間 山 | 火山観測情報第201号 | 16日16:00 | 9日〜16日15時までの活動状況。15日の火山ガス観測結果。レベルは2。 |
火山観測情報第202号 | 22日16:00 | 16日〜22日15時までの活動状況。レベルは2。 | |
三 宅 島 | 火山観測情報 第595〜601号 (1日1回発表) |
16日〜22日 16:30 |
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。 |
阿 蘇 山 | 火山観測情報第57号 | 16日11:00 | やや活発な火山活動が継続(連続微動は振幅のやや大きくなる状態を繰り返している)。レベルは2。 |
火山観測情報第58号 | 22日11:00 |