2005年 No.50 火山の概況 (平成17年12月9日 〜 平成17年12月15日)
【噴火が観測された火山】
【活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山】
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
- ● 浅間山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動が活発で火山性微動のやや多い状態が続いている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
- 12日に変色水が確認された。
- ● 阿蘇山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
図1 各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。
注2 記号の意味
▲:噴火が観測された火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山
◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
◇:その他記事を掲載した火山
□:記事を掲載していないレベル対象火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
注3 記事は、▲、●及び◆(注2参照)に該当する火山について掲載する。
その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね300mで推移した。噴煙活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
● 樽前山 [やや活発な状況]
今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
● 浅間山 [やや活発な状況 (レベル2)]
山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。今期間は天候不良の日が多かったこともあり、山麓の高感度カメラ1)で火映は観測されなかった。
15日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり300〜400トン(前回11月25日300〜500トン)とやや少ない状態であった。
火山性地震は1日あたり6〜18回とやや少ない状態であった。火山性微動は時々観測されている。
1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。
● 三宅島 [やや活発な状況]
山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。
12日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり2,100〜3,900トンと依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回8日2,700〜3,800トン)。
15日に上空から行った観測2)では、火口内の最高温度は約110℃(赤外熱映像装置3)による)と依然として高温状態が続いていた(前回11月30日約140℃)。
火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されなかった。
2) 陸上自衛隊の協力による。
3) 赤外熱映像装置は、物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。
● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
12日に海上保安庁が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近で火山活動によると考えられる変色水が確認された。噴煙や浮遊物は認められなかった。変色水は福徳岡ノ場から西南西に長さ約3.5㎞、幅約100mで延びる淡い水色のものであった。
● 阿蘇山 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
今期間、火山性連続微動の振幅はやや小さい状態で経過した。
孤立型微動は減少しやや少ない状態で経過した。火山性地震の発生状況には大きな変化はなく、噴煙活動、地殻変動等その他の観測データにも特段の変化はなかった。
今期間は天候不良により現地観測を行っていないため、中岳第一火口内の状況は不明であった。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況 (レベル2)]
御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。今期間は、火口縁を超える噴気は観測されず、その他の観測データも特段の変化はなかった。今期間は、火口縁を超える噴気は観測されず、その他の観測データも特段の変化はなかった。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]
9日と10日に噴火4)が各1回観測された。9日は爆発的噴火であった。
9日22時46分に発生した爆発的噴火では、噴煙が火口縁上1,500mまで上がり、噴石が7合目まで飛散するのが観測された。噴石の飛散が観測されたのは昨年5月15日以来であった。期間中、鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)では降灰は観測されなかった。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。
4) 桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発的噴火もしくは一定の規模以上の噴火を桜島の噴火の回数として計数している。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した(最高は9日及び10日の300m)。火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されなかった。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている(今期間57回、前期間58回)。火山性微動は観測されなかった。期間中、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
9〜12日に噴火が観測された。爆発的噴火はなかった。
十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、9〜12日にかけて火山灰を含む噴煙が火口縁上300〜800mまで上がっているのが確認された。9〜10日には集落(御岳の南南西約4km)で降灰があった。
火山性微動も、9〜10日に連続的なものを含めやや多く観測された。
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル
火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
浅 間 山 | 火山観測情報第200号 | 9日16:00 | 12月2日〜12月9日15時までの活動状況。レベルは2。 |
三 宅 島 | 火山観測情報 第588〜594号 (1日1回発表) |
9日〜15日 16:30 |
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。 |
阿 蘇 山 | 火山観測情報第56号 | 9日11:00 | やや活発な火山活動が継続(連続微動は振幅のやや大きくなる状態を繰り返している)。レベルは2。 |