2005年 No.45　火山の概況　(平成17年11月4日 〜 平成17年11月10日)

▲ 桜　島 ［比較的静穏な噴火活動（レベル２）］

５日に爆発的噴火が１回観測された。

▲ 諏訪之瀬島 ［活発な状況（レベル３）］

４〜５日及び７〜９日に噴火が観測された。

● 十勝岳 ［やや活発な状況］

噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。

● 樽前山 ［やや活発な状況］

Ａ火口及びＢ噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。

● 浅間山 ［やや活発な状況（レベル２）］

山頂火口内の高温状態、火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。

● 伊豆大島 ［静穏な状況（レベル１）］

７日に島の西方沖で地震がやや増加した。

● 三宅島 ［やや活発な状況］

多量の火山ガスの放出が続いている。

● 阿蘇山 ［やや活発な状況（レベル２）］

中岳第一火口内では、熱的活動のやや活発な状態が続いている。

● 霧島山（御鉢） ［やや活発な状況（レベル２）］

火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。

● 薩摩硫黄島 ［やや活発な状況（レベル２）］

噴煙活動のやや活発な状態が続いている。

● 口永良部島 ［やや活発な状況（レベル２）］

火山性地震は活動に消長はみられるものの、やや多い状態が続いている。

図１ 　各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山（火山名に下線）

注１　本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。

注２　記号の意味
　▲：噴火が観測された火山
　●：活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山
　◆：前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
　◇：その他記事を掲載した火山
　□：記事を掲載していないレベル対象火山
　①②等の丸付き数字：火山活動度レベル

注３　記事は、▲、●及び◆（注２参照）に該当する火山について掲載する。
　　　その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

　62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200ｍで推移した。噴煙活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。

　今期間、Ａ火口及びＢ噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。

　山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200ｍで推移した。また、山麓の高感度カメラ¹⁾で捉えられる程度の微弱な火映が４日と10日に観測されており、火口内は依然として高温状態が続いていると推定される。
　８日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は１日あたり500〜1,000トン（前回10月20日1,000〜1,500トン）とやや多い状態が続いている。
　火山性地震及び火山性微動の回数はやや多い状態が続いており、それぞれ１日あたり18〜35回、０〜４回であった。

1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。

　７日02時から07時にかけて、島の西方海域の深さ約5kmを震源とする地震が一時的にややまとまって発生した。最大地震は04時56分に発生したＭ（マグニチュード）2.3（暫定）で、島内に設置した震度計では震度１以上は観測されなかった。その後、地震活動は落ち着いた状態に戻っている。その他の観測データには特段の変化はなかった。
　伊豆大島西方海域では、これまでにもしばしば地震の一時的な多発がみられており、最近では今年７月上旬にも発生している。

　山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね300ｍで推移した。
　８日に上空から行った観測²⁾では、火口内の最高温度は約160℃（赤外熱映像装置³⁾による）と依然として高温状態が続いていた（前回10月25日約190℃）。二酸化硫黄の放出量は１日あたり1,400〜3,000トンと依然として多量の火山ガスの放出が続いている（前回10月25日3,300〜4,300トン）。また、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
　期間中の火山性地震は１日あたり１〜4回と少ない状態であった。火山性微動は観測されなかった。

2) 警視庁の協力による。

3) 赤外放射温度計及び赤外熱映像装置は、物体が放射する赤外線を感知して温度もしくは温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。

　中岳第一火口（以下、火口）内では熱的活動のやや活発な状態が続いている。
　８日に行った現地観測では、火口内の湯だまり⁴⁾量は５〜６日の降水により約８割に増加した（前回11月１日は約６割）。湯だまりの色は乳緑色で変化はなかった。湯だまり内では土砂噴出は観測されず、引き続き噴湯現象が観測されている。
　火山性連続微動の振幅はやや大きい状態が続いていたが、８日12時30分頃からやや小さくなっている。
　孤立型微動は発生状況に大きな変化はなく、火山性地震は少ない状態で経過した。噴煙活動、地殻変動等その他の観測データにも特段の変化はなかった。

4) 湯だまり：活動静穏期の中岳第一火口内には、地下水などを起源とする約50〜60℃の緑色のお湯がたまっており、これを湯だまりと呼んでいる。火山活動が活発化するにつれ、湯だまり温度が上昇・噴湯して湯量の減少がみられ、その過程で土砂を噴き上げる土砂噴出現象等が起こり始めることが知られている。

　今期間の活動は低調であったが、他の期間では火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。

　５日に爆発的噴火（以下、爆発）が１回観測された。爆発に伴う噴煙等は雲のため不明であった。爆発が観測されたのは７月22日以来であった。ごく小規模な噴火が時折観測され、噴火に伴う噴煙の最高は８日及び10日の火口縁上300ｍであった。期間中、鹿児島地方気象台（南岳の西南西約11km）で降灰は観測されなかった（前期間は11月１日に１日あたり１g／㎡の降灰を観測⁵⁾）。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。

5) 前日09時〜当日09時に降った１㎡あたりの総降灰量を観測。

　噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200ｍで推移した（最高は４日の600ｍ）。火山性地震及び火山性微動の発生状況には特に変化はなかった。

　火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている（今期間53回、前期間33回）。火山性微動は少ない状態が続いている。期間中、監視カメラ（新岳の北西約４kmに設置）による観測では噴気等は認められなかった（前期間もなし）。

　４〜５日及び７〜９日に噴火が観測された。爆発的噴火はなかった。
　十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、４〜５日及び７〜９日に、火山灰を含む噴煙が火口縁上400〜600ｍまで上がっているのが確認された。５日には、監視カメラ（御岳の北北東約25kmの中之島に設置）による観測でも火口縁上500ｍまで上がる灰白色の噴煙が確認された。同出張所によると４日に集落（御岳の南南西約４km）で降灰があった。
　火山性微動は、３日（前期間）から断続的に発生しており、４日から７日朝にかけて振幅のやや大きなものが観測された。火山性地震は少ない状態が続いている。

表１ 最近１か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル