強震観測について

強震観測とは

 地面で観測される地震波は、図のように地盤によってその地震波の振幅や周期が変化します。 また、同じ地震波であっても、建物によってもその揺れ方は異なります。 強震観測とは強い地震動でも振り切れない地震計を用い、構造物や地盤の震動に対する応答特性と被害との関係の調査を行ったり、地震の詳細な震源過程の調査などを行うための観測です。 強震観測には、おもに地面の加速度を測る加速度計が用いられています。

地面で観測される地震波

気象庁の強震観測の概要

 気象庁では、機械式1倍強震計(変位計)を津波の予測や地震のマグニチュードを求めるために用いてきましたが、 この地震計は強い地震動では振り切れるため、1988年から大地震でも振り切れない地震計として、 加速度計を用いたデジタル収録式の87型電磁式強震計を用いた観測を開始しました。 87型電磁式強震計は全国の気象官署のうち約80箇所に整備しました。 87型電磁式強震計はその後に整備・強化された震度計との比較・評価を経て、1997年3月末に運用終了となりました。
 従来、体感で行われていた震度観測を器械観測とするために、震度計が開発されました。 90型震度計は波形収録機能を有していませんでしたが、1994年に展開を開始した93型震度計はデジタル波形収録機能を持っており、 87型電磁式強震計と同等の性能でICメモリカードにデータ収録を行いました。 その後、「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」を契機として、平成7年度に気象官署及び津波地震早期検知網の既設震度計の機能強化を図ったほか、 新規観測点を新設したことで、震度観測点数のうえではほぼ倍増し、現在とほぼ同じ観測点密度となりました。 これらの震度計は、強震波形観測および収録機能に関しては93型震度形と同等の性能を有しており、95型震度計と呼んでいます。 その後、平成19年(2007年)からは、95型震度計を順次07型震度計に更新しました。 現在、気象庁におけるデジタル強震波形観測業務は、全国の約670ヶ所に設置している計測震度計と多機能型地震観測装置によって行なっています。
 下の図は気象庁計測震度計と震度や強震波形の流れを示しています。 計測震度は計測震度計で計算し、地上回線などで気象庁に送信しています。 また、計測震度は地震による被害を推定するために重要ですので、地上回線が被害を受けたときを考慮して気象衛星を通じて気象庁に送られます。 地震直後に震度情報として発表されます。 地盤の違いなどによる揺れ方の違いなどの詳細な調査を行うため、強震波形も収集しています。 収集された強震波形は一般にも公開しています。

気象庁計測震度計と震度や強震波形の流れ