計測震度の算出方法
計測震度は、震度計内部で以下のようなディジタル処理によって計算されます。
2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震の米子市(計測震度=5.1)を例に示します。
- ディジタル加速度記録3成分(水平動2成分、上下動1成分)(図1)のそれぞれの フーリエ変換(図2)を求める。
- 地震波の周期による影響を補正するフィルター(図3)を掛ける。
- 逆フーリエ変換を行い、時刻歴の波形(図4)にもどす。
- 得られたフィルター処理済みの3成分の波形をベクトル的に合成をする。
- ベクトル波形(図5)の絶対値がある値 a 以上となる時間の合計を計算したとき、これがちょうど 0.3秒となるような a を求める。この例では a = 127.85 galとなる。
- 5.で求めた a を、I = 2 log a + 0.94 により計測震度 I を計算する。計算された I の小数第3位を四捨五入し、小数第2位を切り捨てたものを計測震度とする。
なお、地震情報などにより発表される震度階級は、観測点における揺れの強さの程度を数値化した計測震度から換算したものです。(表1)
表1 気象庁震度階級表
震度階級 | 計測震度 | 震度階級 | 計測震度 |
---|---|---|---|
0 | 0.5未満 | 5弱 | 4.5以上5.0未満 |
1 | 0.5以上1.5未満 | 5強 | 5.0以上5.5未満 |
2 | 1.5以上2.5未満 | 6弱 | 5.5以上6.0未満 |
3 | 2.5以上3.5未満 | 6強 | 6.0以上6.5未満 |
4 | 3.5以上4.5未満 | 7 | 6.5以上 |
図1 オリジナルの加速度波形
図2 オリジナル加速度波形の周波数スペクトル

図3 震度計算のためのフィルター特性
なお、全体的なフィルター(図中に「総合」と記載)は、以下3種類のフィルターを掛け合わせたものであるが、 それぞれについては、周波数 f [Hz] の関数として以下のように表現できる。
- ローカットフィルター(図中に「Low cut」と記載)
FL = ( 1 - exp( -( f / 0.5 )3 ) )1/2 - ハイカットフィルター(図中に「High cut」と記載)
FH = ( 1 + 0.694 y 2 + 0.241 y 4 + 0.0557 y 6 + 0.009664 y 8 + 0.00134 y 10 + 0.000155 y 12 ) -1/2
ここで、y は f に 10 分の1を乗じた値とする - 周期の効果を表すフィルター(図中に「周期効果」と記載)
FF = ( 1 / f )1/2