2006年 No.37 火山の概況 (平成18年9月8日 〜 平成18年9月14日)

【噴火が観測された火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
南岳山頂火口で噴火が時々発生した。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
12〜14日に噴火が発生した。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いている。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
浅間山 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
13 日に変色水が認められた。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震のやや多い状態が続いている。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
 その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。8日に行った現地観測では、62-2火口の最高温度は約220℃1)で、前回観測時(6月26日)の約250℃1)からやや低下したものの依然として高温の状態が続いていた。
 地震活動は低調な状態が続いている。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

1)赤外熱映像装置による。赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。傾斜計及びGPSによるによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 浅間山  [やや活発な状況 (レベル2)]

 噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。今期間、山麓に設置した高感度カメラ2)では火映は観測されなかった。
 火山性地震の回数は1日あたり5〜10回と少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

2) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
 11日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,800〜3,700トン、(前回5日 2,800〜4,000トン/日)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
 火山性地震の回数は1日あたり12〜40回とやや少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 福徳岡ノ場   [やや活発な状況]

 13日に第三管区海上保安本部が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場を中心として半径約50mの茶褐色、そこから東北東方向幅約50m、長さ100mの乳白色の変色水が確認された。なお、付近に浮遊物等は認められなかった。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口ではごく小規模噴火が時々発生し、12日には噴煙の高さが火口縁上700mに達した。
 昭和火口では、6月下旬頃から噴煙がほとんど観測されない状態が続いていたが、8月下旬頃より噴煙高度が火口上50〜100mの白色の噴煙が観測され始め、10日には噴煙の高さが400mに達した。また、同時期の8月下旬頃から、振幅のやや大きな火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。なお、今期間、昭和火口では噴火は発生しなかった。
 GPSなどによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙の高さは概ね火口縁上500mであった。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。ごく小規模な火山性微動が8日に2回、10日に1回観測された。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 今期間、爆発的噴火は発生しなかったが、12〜14日に小規模な噴火が時々発生した。十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、12〜14日に火山灰を含む噴煙が確認され、噴煙の高さは火口縁上400〜900mであった。11〜12日に火山性地震がやや増加し、12〜13日に火山性連続微動が断続的に発生した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第36号 8日16:00 9月1日〜9月8日15時の活動状況。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報
第251〜257号
(1日1回発表)
8日〜14日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。11日に実施した火山ガス観測の結果。


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