2006年 No.35 火山の概況 (平成18年8月25日 〜 平成18年8月31日)

【噴火が観測された火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
26日に南岳山頂火口で小規模な噴火が発生した。
諏訪ノ瀬島 [活発な状況(レベル3)
28日に爆発的噴火が発生した。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
浅間山 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
25日に変色水が認められた。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震のやや多い状態が続いている。

【その他の記事を掲載した火山】

雌阿寒岳 [静穏な状況]←25日にやや活発な状況から引き下げ
雌阿寒岳の火山活動は静穏な状態になっている。(前号でも速報として掲載)

図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
 その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。

◇ 雌阿寒岳[静穏な状況]←25日にやや活発な状況から引き下げ

 3月21日にごく小規模な噴火が発生した雌阿寒岳の火山活動はやや活発な状態で推移していたが、最近はポンマチネシリ山頂の赤沼06火口群や北西斜面06噴気孔列の噴煙活動は静穏に経過している。
 地震活動も低調な状態が続いている。GPSによる地殻変動観測では5月下旬に増設した観測点を含めて、特段の変化は認められていない。
(活動がやや活発な状況から静穏な状況になったことについては、25日に火山観測情報第34号で発表したほか、前号でも速報として掲載している。)


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上50〜100mで推移した。噴煙の活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
 地震活動は低調な状態が続いている。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
 地震活動は低調な状態が続いている。傾斜計及びGPSによるによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 浅間山  [やや活発な状況 (レベル2)]

 噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。今期間、山麓に設置した高感度カメラ1)では火映は観測されなかった。
 29日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり100〜200トンと、前回7月13日の観測(300〜600トン/日)と比べてやや減少していた。
 31日に群馬県の協力により行った上空からの観測では、火口内の様子は噴煙のため確認できなかった。赤外熱映像装置2)による観測では、火口内の最高温度は約280℃と、前回4月26日の上空からの観測(約450℃)と比較してやや低下し、熱活動に低下傾向が認められた。
 火山性地震の回数は1日あたり2〜13回と少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。
2) 赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 今期間、噴火は観測されなかった(前期間は23日にごく小規模な噴火が発生し、山麓で微量の降灰があった)。
 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
 25日および29日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたりそれぞれ2,600〜4,000トン、2,400〜3,900トン(前回3日 900〜1,400トン/日)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
 火山性地震の回数は1日あたり2〜15回とやや少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 福徳岡ノ場   [やや活発な状況]

 25日に第三管区海上保安本部が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場を中心として、半径約50mの海域に中心付近が黄褐色、周辺が乳白色の変色水が確認された。なお、付近に浮遊物等は認められなかった。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口では26日に噴煙高度が火口縁上1,300mに達する噴火が発生したほか、ごく小規模な噴火も時々発生した。昭和火口では噴火は発生しなかった。
 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。GPSなどによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は最高で火口縁上400mであった。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 28日に爆発的噴火が発生した。十島村役場諏訪之瀬島出張所によれば、集落(御岳の南南西約4km)で降灰はなかったが、噴煙が御岳の北北東に流れているのが確認された。26日〜30日にも小規模な噴火があった。
 27日〜30日にかけて時々火山性連続微動が発生した。火山性地震はやや多い状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
雌阿寒岳 火山観測情報第34号 25日14:00
火山活動の評価をやや活発な状況から静穏な状況に引き下げた。
浅 間 山 火山観測情報第34号 25日16:00 18日〜25日15時の活動状況。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報
第237〜243号
(1日1回発表)
25日〜31日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。25日及び29日に実施した火山ガス観測の結果。


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