2005年 No.18 火山の概況 (平成17年4月28日〜平成17年5月4日)

雌阿寒岳十勝岳及び樽前山では、噴煙の状況に変化はなく、火口の高温状態が続いていると推定される。
浅間山では噴煙活動が継続し、微弱な火映がほぼ連日観測された。火山活動度レベル(以下レベルと記載)は3。
三宅島では、多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
阿蘇山では、振幅のやや大きな微動が観測される等活動の活発な状態が続いている。レベルは3。
霧島山では御鉢の噴気活動がやや活発であった。御鉢のレベルは2、新燃岳のレベルは1。
口永良部島では火山性微動がやや多く観測された。レベルは2。
諏訪之瀬島では噴火があった。レベルは3。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)


表1 最近1か月に記事を掲載した火山(上)及び各火山のレベル(下)
表1(上) 最近1か月に記事を掲載した火山

表1(下) 最近1か月の各火山のレベル


注1 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発な状態にあるか、もしくは観測データ等に変化があった火山
 ◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
 ◇:その他記事を掲載した火山
 □:記事を掲載していないレベル対象火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注2 記事は、▲、●及び◆(注1参照)に該当する火山及びレベル2以上の火山について掲載する。
   その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

注3 本文の火山名の後ろの[噴煙・噴気・地震・微動・空振・地殻変動・熱・火山ガス等]は、
   変化があった観測データ項目を、数字は火山活動度レベルを示す。


雌阿寒岳 [熱]

 ポンマチネシリ96-1火口の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。


十勝岳 [噴煙・熱]

 62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、高温の状態が続いていると推定される。遠望カメラによる噴煙の高さは火口縁上おおむね100mで推移した。


樽前山 [熱]

 A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。


浅間山 [噴煙・火映・地震・微動] レベル:3 (山頂火口で小〜中噴火の可能性)

 今期間、噴火は観測されなかった。
 白色噴煙は山頂火口より連続して噴出しており、最高で火口縁上約1,000mまで上がった。また、微弱な火映が連日山麓の高感度カメラ1)で観測された。
 火山性地震及び微動は依然としてやや多い状態が続いており、それぞれ1日当たり52〜70回、0〜3回観測された。
1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が山麓に設置。


三宅島 [噴煙・火山ガス]

 白色噴煙は山頂火口から連続して噴出しており、最高で火口縁上約600mまで上がった。
 火山性地震は1日当たり4〜13回と少ない状態が続いた。
 今期間は火山ガス放出量の観測は行わなかったが、三宅村の火山ガス濃度観測によると山麓ではたびたび高濃度の二酸化硫黄が観測されており、また、噴煙活動に特に変化が見られないことから、依然として火口からの多量の火山ガス放出が継続していると推定される。


阿蘇山 [熱・土砂噴出・微動・地震] レベル:3 (小規模な噴火の可能性)

 期間中、噴火は観測されなかった。
 阿蘇山測候所が4月28日及び5月2日に実施した現地観測によると、中岳第一火口内の状況は、前期間と比べ大きな変化はなかった。湯だまりの色は黒灰色、量は約2割、表面温度は72〜75℃と高い状態であった。湯だまり内では土砂噴出が数ヶ所で発生し、高さは中央部で約5m、その他では2〜3mであった。湯だまり南西側の孤立した部分は、噴気孔の内壁が褐色になっており、周囲は硫黄が付着し黄色くなっていた。赤熱現象は観測されなかった。
 火山性連続微動は期間を通して継続し、振幅のやや大きい状態が続いている。孤立型微動の発生回数は643回で前期間(1155回)より減少した。火山性地震の発生回数も21回で前期間(94回)より減少した。
 地殻変動等その他の観測データには特段の変化はなかった。


霧島山 [噴気] レベル:御鉢:2 (やや活発な火山活動)新燃岳:1 (静穏な火山活動)

 御鉢火口の噴気活動はやや活発で、4月29、30日及び5月4日に、監視カメラによる観測で時々噴気が観測され、高さの最高は火口縁上約200mであった。地震活動等その他の観測データに特に変化はなかった。


桜島 レベル:2 (比較的静穏な噴火活動)

 期間中、噴火は観測されなかった。
 A型地震がやや多く観測されたが(8回)、地震の発生は総じて少なく、地殻変動等その他の観測データに特に変化はなかった。


薩摩硫黄島 レベル:2 (やや活発な火山活動)

 地震活動、噴煙活動等の観測データには特段の変化はなかった。


口永良部島 [微動] レベル:2 (やや活発な火山活動)

 今期間、継続時間の短い微動がやや多く観測された(17回、前期間は8回)。連続微動は観測されなかった。
 火山性地震は少ない状態が続いている。噴気活動も低調で、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気は観測されなかった。


諏訪之瀬島 [噴火] レベル:3 (小規模な噴火が発生)

 十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、29日に火山灰を含む噴煙が高さ火口縁上約1000mまで上がっているのが確認された。火山性地震及び微動の回数は前期間より減少し、これらの活動は低調であった。



表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第121号
↓(1日1回発表)
火山観測情報第127号
28日16:00

4日16:00
前日及び当日00時〜15時の活動状況(噴火はなし、噴煙・火映・地震・微動・地殻変動の状況、火山ガスの観測結果(121号)及び上空の風の予想)。レベルは3。
三 宅 島 火山観測情報第233号
↓(1日2回発表)
火山観測情報第246号
28日09:30

4日16:30
前日15時〜当日09時もしくは当日09〜15時の活動状況、及び上空の風の予想。
阿 蘇 山 火山観測情報第21号 28日11:00 火山活動は活発な状態が継続(15日以降噴火はなし、連続微動継続し振幅やや大きい)。レベルは3。
火山観測情報第22号 2日11:30


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