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気候リスク管理技術に関する調査(家電流通分野)
~2週先までの気温予測を活用して、家電の買い物の満足度を高めてみませんか?~

販売員

気象庁では、「気候リスク管理」の有効性を示す実例(成功事例)を示すため、大手家電流通協会の協力を得て、家電流通分野における気候リスク管理技術に関する調査を実施しました。
エアコンや石油機器の家電販売データと気象観測データの関係を分析した結果、これらの販売数と気温の間には関係があり、その特徴は品目や地域によって異なることが分かりました。
この結果を活用すれば、消費者は家電製品を購入するタイミングの適切な見極めができるかもしれません。一方、量販店では、より効果的な販売促進をするための対策ができます。
詳細については、調査報告書をご覧ください。

このページでは、家電流通分野における気候リスクへの対応策として、家電販売数と気温の関係の調査結果を示します。また、2週先までの気温予測を、消費者は家電の購入に、量販店は販売促進策に活かす方法について紹介します。


気候リスク管理の方法

気候による影響を利用するためには、①気候リスクを認識し、②それらを定量的に評価し、③気候情報を用いて対応すること、の3つのプロセスが重要で、これら一連のプロセスを「気候リスク管理」といいます。

エアコンや石油暖房機器などのいわゆる季節商品は、家電量販店などでは特定の季節を中心に販売されます。こうした家電がどういう気象のときにどの程度の影響を受けているのかを知ることで、需要時期の的確な見通しが可能になります。

気候リスクの評価(販売数と気温の関係を調べる)

神奈川県におけるエアコンと大阪府における石油ファンヒーターの販売数(7日間平均)と7日平均気温の関係を例にとって説明します。7日間で平均することにより、曜日による販売数の変動の影響を取り除くことができます。以下、気温は7日間の平均値を使います。
まず、時系列図や散布図を作成して分析しました。 評価方法の具体例については、気候リスクの評価ページをご覧ください。

①エアコン

エアコン

図1は、神奈川県における2013年4~8月のエアコン販売数と平均気温と平年値の推移を表したものです。
6~8月は、エアコン販売数と平均気温の変化は連動しています。7月は、平均気温が平年より2℃高くなると販売数が約1.5倍に増加するという関係がありますが、8月は7月よりも気温が高い状態が続きますが販売数は減少します。


図1 神奈川県における2013年4~8月のエアコン販売数と平均気温観測値・平年値の推移


②石油ファンヒーター


ファンヒーター

図2 10~2月の大阪府内の平均気温(横軸)と石油ファンヒーター販売数(縦軸)の散布図。


10~12月の石油ファンヒーター販売数と平均気温には相関があります。図2は、2011~2016年度の10~2月の大阪府における平均気温と石油ファンヒーター販売数をプロットしたものです。10~12月は気温が下がるほど石油ファンヒーターの販売数が増える、という相関があることがわかります。1~2月は気温が最も低い時期ですが、12月よりも販売数は減少することが示されています。


図3 大阪府における2016年と2017年の10~12月の石油ファンヒーターの販売数と平均気温の推移。横軸は7日間の初日、左縦軸は平均気温を表す。


図3に大阪府における2016年と2017年の10~12月の石油ファンヒーター販売数と平均気温の推移を示しました。グラフの黄色の四角で示した週に注目します。2017年は11月18日から始まる7日間は、その前と比べて急激に気温が下がっており(赤い折れ線)、販売数は急激に増えている(赤い棒グラフ)ことがわかります。前年(2016年)の11月18日は逆に気温は少し上がり(青い折れ線)、販売数は少し減っています(青い棒グラフ)。このような気温と販売数の関係は、図2で示したとおりです。このように、販売数は毎年同じような経過をたどるのではなく、気温変化が年によって違うのに対応して、毎年増減の様子が違ってきます。

これらの結果を参考に、気温予測を用いて対策を試してみます。


気候リスクへの対応

①寒くなる前に石油ファンヒーターを購入する

急に暑くなったり、寒くなったことで、冷房や暖房器具の事前準備が間に合わなかった経験はないでしょうか。ここでは、石油ファンヒーターを購入する時期を判断するのに、2週先の気温予測を利用する方法を紹介しましょう。


図4 2017年11月13日当時の大阪の気温予測


図4は、2017年11月13日当時の大阪における2週先までの気温予測で、気象庁ホームページで見ることができます。2週目(11月18日から24日)の予想気温は11.1℃(①)で、平年の12.3℃(②)より1.2℃、前年の14.5℃(③)よりも3.4℃低くなると予測されています。また、11月5日~11日までの気温(おとといまでの1週間)は15.0℃(④)ですので、急激に冷え込むことが読み取れます。これらのデータから、石油ファンヒーターの販売数が増える可能性が高いと推定できますので、この時期が商品を購入する時期だと判断できます。
初動が早いことで、量販店では多くの商品を陳列しており、選択の幅も広がります。量販店からの、会員向けメールやWEBチラシ、売り場での販促資材(POPなど)の掲示の内容にも注目すれば、より満足度の高い買い物ができるでしょう。
寒くなることを見越して販売促進のための掲示を行った店への来店客からは、寒くなる前に掲示に気づき、暖房器具を購入して良かったとの意見もありました。


②販売店舗でできる事前対応

販売店舗では、客観的な気温データに基づくことで、以下の内容における店舗や関係部署への指示に的確さと説得力を増すことができます。

  • 発注仕入量の決定、変更
  • 商品調達による在庫増減
  • 商品の地域間移動による在庫増減
  • 会員向けメールやWEBチラシの内容変更・追加に係わる早期準備
  • 売り場での販促資材(POPなど)の掲示
  • 売り場での商品の展示規模の拡大、展示位置の変更
  • 店頭における在庫量の確認
  • 接客時のトーク等での情報引用といった店頭販売員による積極訴求
  • 人員配置の調整

③家電流通分野関係者のコメント

  • これまで、暖房商戦の準備対策として前年の気温をベースに今年度の売上計画を立てていたが、直近の気温予測を取得できることによって、今まで以上に売上げシミュレーションが正確になり、消費者の需要にタイムリーに応えることができる。
  • 2週先までの気温予測は、現場に対する指示の根拠や接客における一押しとして有効である。
  • 業務にもっと気象情報を活用したほうが良いと(大いに)思う。
  • 気温予測に基づく販売数の動向を前週比・昨年同週比で具体的な数値で示すことは販売現場にとって有効である。
  • 気温と販売数には高い相関関係があることが分かった。経験上では漠然と理解している事柄を具体的な数値を出して知覚化することができ、店舗での販売増加のみならず、より有効な情報発信にも活かせることができると思う。
  • 気温予測データに基づく販売数予測により季節商品の準備を行うことで、同データが販売ピークへの対応や機会ロス・過剰在庫の削減に活用可能であることが実感できた。


調査結果の活用

家電量販店で扱っている商品を対象として分析を行った結果、気温の変動と販売数の増減に関係がある品目・季節があることが分かりました。また、気温と関係のある品目については、2週先までの気温予測を活用することで、消費者は、寒く(または暑く)なる前に商品を買えることを、販売店舗では、在庫管理やPOP掲示等の販売促進策を実施できることが示せました。
本調査を参考に気温との関係を調査することで、家電流通分野だけでなく、その他の産業分野においても2週先までの気温予測を活用した様々な対策を実施することが期待できます。

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