2005年 No.19 火山の概況 (平成17年5月5日〜平成17年5月11日)

雌阿寒岳十勝岳及び樽前山では、噴煙の状況に変化はなく、火口の高温状態が続いていると推定される。
草津白根山では地震がやや多く発生した。火山活動度レベル(以下レベルと記載)は1。
浅間山では噴煙活動が継続し、微弱な火映がほぼ連日観測された。レベルは3。
三宅島では多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
阿蘇山では、微動の振幅が小さくなるなど活動にやや低下が見られた。13日(期間外)にレベルを3から2に変更した。
霧島山では御鉢の噴気活動がやや活発であった。御鉢のレベルは2、新燃岳のレベルは1。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)


表1 最近1か月に記事を掲載した火山(上)及び各火山のレベル(下)
表1(上) 最近1か月に記事を掲載した火山

表1(下) 最近1か月の各火山のレベル


注1 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発な状態にあるか、もしくは観測データ等に変化があった火山
 ◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
 ◇:その他記事を掲載した火山
 □:記事を掲載していないレベル対象火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注2 記事は、▲、●及び◆(注1参照)に該当する火山及びレベル2以上の火山について掲載する。
   その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

注3 本文の火山名の後ろの[噴煙・噴気・地震・微動・空振・地殻変動・熱・火山ガス等]は、
   変化があった観測データ項目を、数字は火山活動度レベルを示す。


雌阿寒岳 [熱]

 ポンマチネシリ96-1火口の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。


十勝岳 [噴煙・熱]

 62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、高温の状態が続いていると推定される。遠望カメラによる噴煙の高さは火口縁上おおむね200mで推移した。


樽前山 [熱]

 A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。


草津白根山 [地震] レベル:1 (静穏な火山活動) (期間外の記述を含む)

 11日20時台から12日(期間外)08時台まで、湯釜直下が震源と推定される、規模の小さい地震がやや多く発生し、11日は15回、12日は08時までに6回が観測された。この間、噴煙活動等その他の観測データに変化はみられなかった。


浅間山 [噴煙・火映・微動・地震] レベル:3 (山頂火口で小〜中噴火の可能性)

 期間中、噴火は観測されなかった。
 白色噴煙は山頂火口より連続して噴出しており、最高で火口縁上約400mまで上がった。また、微弱な火映が連日山麓の高感度カメラ1)で観測された。
 火山性微動は8日に14回と増加したが、その他の観測データに変化はみられなかった。8日以外では1〜3回と引き続きやや多い状態であった。火山性地震も今期間を通じて1日当たり35〜62回と、やや多く観測された。
 10日に行った上空からの観測2)では、多量の白色噴煙が火口から噴出しており、火口内の状況は確認できなかった。火口周辺の地形に変化は見られず、火口外への新たな噴出物も確認されなかった。赤外熱映像装置による観測では、火口中央の高温部は確認できたが、最高温度は噴煙に遮られ観測できなかった。
1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が山麓に設置。
2) 群馬県防災ヘリコプターにより、気象庁と東京大学が共同で実施。


三宅島 [噴煙・地震・火山ガス]

 白色噴煙は山頂火口から連続して噴出しており、最高で火口縁上約500mまで上がった。
 火山性地震は5日に1日当たり23回観測された他は0〜8回と少ない状態が続いた。
 今期間は火山ガス放出量の観測は行わなかったが、三宅村の火山ガス濃度観測によると山麓ではたびたび高濃度の二酸化硫黄が観測されており、また、噴煙活動に特に変化が見られないことから、依然として火口からの多量の火山ガス放出が継続していると推定される。


阿蘇山 [熱・土砂噴出・微動・地震] レベル:3 (小規模噴火の可能性)→2 (やや活発な火山活動) (期間外の記述を含む)

 期間中、噴火は観測されなかった。
 福岡管区気象台及び阿蘇山測候所が5日、7日及び8日に実施した現地観測によると、中岳第一火口内の状況は、前期間と比べ大きな変化はなかった。湯だまりは、5〜8日の降水により多少増加したが量は引き続き約2割で、表面温度も75〜77℃と依然高い状態であった。湯だまりの色は降水の流れ込みにより黒灰色から灰色に変化していた。湯だまり内では土砂噴出が数ヶ所で発生し高さは2〜3mであった。赤熱現象は観測されなかった。
 火山性連続微動は期間を通して継続し、7日頃までは振幅のやや大きい状態が続いた。孤立型微動の発生回数は819回であった(前期間は643回)。火山性地震の発生回数は61回で前期間(21回)よりやや増加した。
 地殻変動等その他の観測データには特段の変化はなかった。
 4月15日以降噴火がなく、火山性連続微動の振幅が小さくなるなど活動にやや低下が見られ、ほぼ4月14日の噴火以前の状況に戻ったと判断されたことから、5月13日(期間外)に火山活動度レベルを3(小規模噴火の可能性)から2(やや活発な火山活動)に変更した。


霧島山 [噴気] レベル:御鉢:2 (やや活発な火山活動)新燃岳:1 (静穏な火山活動)

 御鉢火口の噴気活動はやや活発で、監視カメラによる観測で、7日に火口縁上約200mの高さの噴気が観測された。地震活動等その他の観測データに特に変化はなかった。


桜島 レベル:2 (比較的静穏な噴火活動)

 期間中、噴火は観測されなかった。地震活動等その他の観測データにも特に変化はなかった。


薩摩硫黄島 レベル:2 (やや活発な火山活動)

 地震活動、噴煙活動等の観測データには特段の変化はなかった。


口永良部島 レベル:2 (やや活発な火山活動)

 火山性地震及び微動ともに少ない状態で経過した。噴気活動も低調で、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気は観測されなかった。


諏訪之瀬島 レベル:3 (小規模な噴火の可能性)

 期間中、噴火は観測されなかった。地震活動、噴煙活動等の観測データにも特段の変化はなかった。



表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第128号
↓(1日1回発表)
火山観測情報第134号
5日16:00

11日16:00
前日及び当日00時〜15時の活動状況(噴火はなし、噴煙・火映・地震・微動・地殻変動の状況、上空からの観測結果(133号)及び上空の風の予想)。レベルは3。
三 宅 島 火山観測情報第247号
↓(1日2回発表)
火山観測情報第260号
5日09:30

11日16:30
前日15時〜当日09時もしくは当日09〜15時の活動状況、及び上空の風の予想。
阿 蘇 山 火山観測情報第23号 6日11:00 火山活動は活発な状態が継続(15日以降噴火はなし、連続微動継続し振幅やや大きい)。レベルは3。
火山観測情報第24号 9日11:15
口永良部島 火山観測情報第19号 6日14:00 火山活動はやや活発な状態が継続。レベルは2。


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