飛行場予報は、航空機の運航用に使用され、飛行計画作成のために目的空港等の気象状態の把握、代替空港の選択、積載貨物・燃料の見積もり等に利用されます。この予報は国際航空固定通信網等を通じて国際的に交換されます。(平成25年10月17日より発表形式が変わりました。)
運航用飛行場予報は1日4回、00、06、12、18UTC※1を発表時刻としています。有効期間は発表時刻から30時間後までです。発表時刻に対する有効期間は次のとおりです。
(発表時刻以外で状況が変化した場合には、速やかに修正報を発表します。)
発表時刻 | 有効期間 |
---|---|
00UTC | 当日00UTCから翌日06UTC |
06UTC | 当日06UTCから翌日12UTC |
12UTC | 当日12UTCから翌日18UTC |
18UTC | 当日18UTCから翌日24UTC |
運航用飛行場予報の内容は、
(1)地上の風向、風速
(2)地上視程(卓越視程)
(3)天気(飛行場の標点から約9km以内の現象)
(4)雲又は鉛直視程
以上の事項及びこれに関する重要な変化を予想します。
運航用飛行場予報の電文例の内容と型式について、項目毎に解説します。
(電文中の下線のカタカナ部分をクリックすると、その項目の解説にジャンプします。 なお、上記電文には解説のためにア~ケのカナ文字及び下線を施していますが、実際の文章にはありません。 また、例としての電文ですので実際使われた文章ではなく、他の解説を省略しています。ご承知願います。)
予報の対象となっています飛行場をICAO※2の国際4文字地点略号で表します。
当飛行場は「RJFF」です。
※2:ICAOは「国際民間航空機関」の略語です。
発表する日付時刻を協定世界時(UTC)で表し、時刻の後に「Z」を付します。
(時刻の後の「Z」は、グリニッジ子午線の基点(経度0°0′0″=ZERO)を表しています。)
予報期間の始まりと終わりを、日付と協定世界時(UTC)で表します。予報期間は30時間です。
風向は、最初の3桁(真方位により10度刻み)、次の2桁は風速でKT(ノット)を付して表します。
(1kt=約0.5m/s)
わが国では卓越視程を4桁の数字で表します。5000m未満は100m単位、5km以上10km未満は1km単位、10km以上のときは9999としています。
天気現象は天気略語の組み合わせで、降水現象・視程障害現象・その他の現象ごとに必要に応じて強度・特性を付加して、最大3群まで、1つの群につき最大9文字で表します。天気現象の組み合わせの表し方は卓越順としています。
よく使われる天気現象は次のとおりです。
付帯条件 | 天気現象 | |||
強度 | 特性 | 降水現象 | 視程障害現象 | その他の現象 |
- (弱) |
MI (地(霧)) |
DZ (霧雨) |
BR (もや) (1km以上5km以下) |
PO (じん旋風) |
(表示なし) (並) |
BC (散在(霧)) |
RA (雨) |
FG (霧) (1km未満) |
SQ (スコール) |
+ (強) |
PR (部分(霧)) |
SN (雪) |
FU (煙) (5km以下) |
FC (ろうと雲) |
DR (低い・・・) (地上2m未満) |
SG (霧雪) |
VA (火山灰) |
SS (砂じんあらし) |
|
BL (高い・・・) (地上2m以上) |
IC (氷晶) (1km以上5km以下) |
DU (じん) (5km以下) |
DS (砂じんあらし) |
|
SH (しゅう雨性) |
PL (凍雨) |
SA (砂) (5km以下) |
||
TS (雷電) |
GR (ひょう) |
HZ (煙霧) (5km以下) |
||
|
FZ (着氷性) |
GS (氷あられ/雪あられ) |
※3: この天気略語表は、観測の現在天気略語表と同様の扱いとしますが、TAFにおいては表記のものしか使用しません。
(1)雲量及び雲底の高さは3層まで使用しています。但し、重要な対流雲(積乱雲CB)が予想される場合は4層まで使用しています。
(2)雲量は次のとおり使用しています。
雲量電文表示 | 意味 | 8分雲量(オクタス) | 参考(10分雲量) |
---|---|---|---|
FEW | 少しの | 1 ~ 2 オクタス | 1未満だが0(雲がない)ではない※4 ~ 3 |
SCT | 散在している | 3 ~ 4 オクタス | 4 ~ 5 |
BKN | 隙間あり | 5 ~ 7 オクタス | 6 ~ 9以上だが隙間がある |
OVC | 全天を覆う | 8 オクタス | 10で隙間がない |
※4:1未満だが0(雲がない)ではない・・・地上観測では0+との区分がある。
(1に満たない雲量・・・航空気象では使用しない。)
(3)雲底の高さは100ft単位の3桁の数字で表し、5000ft未満は100ft刻みで、5000ft以上は1000ft刻みで表します。
(4)いくつもの雲層又は雲塊を予想する場合は次の要領で行っています。
ア)雲量に関係なく最も低い雲層又は雲塊をFEW、SCT、BKN、OVCのいずれかで表します。
イ)雲の群は、雲底の高さの低い雲から順に表します。
変化群は基本群で全予報要素を記述した後に用います。
(1)BECMG(becoming)
予報期間の中で天気状態が規則的に或いは不規則に変化することが予想され、その後は変化後の状態が続くと予想される場合に使用します。
(2)TEMPO(temporarily)
変化すると予想した状態が一度もしくは繰り返し発生し、それぞれが1時間以上連続して続かず、全体としてその現象の予想期間が予報有効期間の1/2未満の場合に用います。
天気現象は天気略語の組み合わせで、降水現象・視程障害現象・その他の現象ごとに必要に応じて強度・特性を付加して、最大3群まで、1つの群につき最大9文字で表します。
天気現象の組み合わせの表し方は卓越順としています。
変化群の識別語に続き、変化開始日時と終了日時、その後に変化基準に該当すると予想されるすべての要素を続けて記述します。
記述されない(変化の要素がない)場合は、基本群の状態が持続すると考えて下さい。
上記変化群の識別語の後には、重要な天気現象が予想される期間を表します。
最初の4つの数字が変化開始日時を、後の4つの数字が変化終了日時を表します。
時刻はUTCで表記されます。
電文例の2306/2309(UTC)は、「23日15時から23日18時(JST)にかけて」との表現になります。