異常気象リスクマップ

確率降水量に関するQ&A

Q1.確率降水量とは何ですか?

A1.大雨の対策を立てるために、過去の降水量の観測データから50年・100年といった長い期間に1回といった稀な大雨はどれくらいかを統計的に推定した値です。また、その現象(例えば、1日で100mm降ること)が1回起こりうる「50年」「100年」という期間を「再現期間」と言います。

Q2.確率降水量のリスクマップはどのように利用したらいいのですか?

A2.どの地域でどの程度の大雨がどれくらいの頻度で降るかという気候情報は、様々な計画や対策の基礎資料として利用できます。また、大雨に関する地域特性を知るといった防災知識の普及にも役立つと考えられます。

Q3.確率降水量が大きい地点ほど、大雨災害が発生しやすいのでしょうか?

A3.そうではありません。大雨に伴う土砂災害や浸水被害の起こりやすさは、その地域の地形や地質などによって異なります。比較的少ない雨量で災害が発生する場合もあります。確率降水量のリスクマップは稀にしか起こらない極端な大雨の強度や頻度を示したもので、災害の強度や頻度を直接示すものではありません。

Q4.100年に1回の大雨は100年に1回ずつ起こるのですか?

A4.必ずしもそうではありません。「再現期間100年の確率降水量」とは、「長い期間を平均した場合に100年に1回起こる大雨」という意味で、実際にはある100年の間に2回起こることもあれば1回も起こらないこともあり得ます。サイコロに例えると、サイコロを6回振った場合に「六」の目が1回も出ないこともあれば6回続けて出ることもあります。しかし、何百回とたくさん振れば「六」の目は平均して6回に1回の頻度で出ます。

Q5.50年に1回の24時間降水量は東京(大手町)では317mm、隣接する千葉県の船橋では240mmと、大きく異なっています。なぜこのような違いが出るのですか?

A5.雨の降り方は地形などの影響を受けやすく、隣接した地域でも大きく異なることがあります。アメダス地点の確率降水量は1976~2007年の観測データに基づいていますので、少なくともこの期間においては、東京と船橋で雨の降り方がそれだけ異なっていたということになります。

Q6.東京における50年に1回の大雨の資料が「51地点の日降水量」では260mm、「アメダス地点の24時間降水量」では317mmとなっていて、大きく異なっています。なぜこのような違いがあるのですか?

A6.「日降水量」は観測期間を日界で固定した0時~24時の合計降水量ですが、「24時間降水量」は0時~24時のほか、1時~翌日1時など任意の24時間の合計降水量です。「任意の24時間降水量」の方が「日降水量」より値が大きくなるので、確率降水量も24時間降水量データによるものの方が大きくなります。なお、「日降水量の確率降水量」は、51地点だけについて100年以上のデータを用いて再現期間200年までの値が計算されており、一方、「24時間降水量の確率降水量」は、約1300地点のアメダス地点について20~30年のデータで再現期間50年までの値が計算されている、という違いがあります。

Q7.確率降水量だけでなく、実際に降った大雨の量も知りたいのですが?

A7.気象庁ホームページの過去の気象データ検索で、全国の気象台やアメダス地点における日降水量や1時間降水量の極値や順位値を検索することができ、その地点で過去に実際どれだけの大雨が降ったかを知ることができます。

Q8.昨日降った大雨について「何年に1回の大雨だった」と言うことはできますか?

A8.条件付で可能です。例えば、東京(千代田区大手町)で24時間に300mm降った場合、確率降水量に基づいて「30年から50年に1回の大雨」と推定できます。 しかし、ここに掲載されているアメダス地点の確率降水量は毎正時の観測による24時間降水量によって算出されていますので、比較対象となる実況値も毎正時の1時間降水量を積算した24時間降水量であることが必要です。現在、アメダス地点の観測値は10分毎の観測による値で、気象庁HPなどに掲載される日最大24時間降水量等も10分毎の観測値に基づいており、異常気象リスクマップの確率降水量と直接比較することはできません(毎正時の観測による24時間降水量と10分毎の観測による24時間降水量の差については、「気象観測指針(第3章 p33)」の「(3)降水量 ア 日最大1 時間降水量のサンプリング間隔の変更」の項を参照。)

Q9.1千年に1回の確率降水量は算出しないのですか?

A9.算出しません。確率降水量は統計的な推定値であり、用いたデータの年数を大きく超える再現期間では、安定した計算結果が得られにくくなるため、「異常気象リスクマップ」では用いたデータ期間の2倍程度まで算出することとし、20~30年間のデータを用いたアメダス地点の確率降水量は再現期間50年まで、106年間のデータを用いた51地点の確率降水量は再現期間200年までを算出しています。

Q10.確率降水量の計算に地球温暖化の影響は考慮されていますか?

A10.考慮されていません。確率降水量は、計算に使ったデータの期間は気候(雨の降り方)が変わらないという前提で計算しています。しかし、51地点の日降水量の確率降水量を106年間の前半と後半で分けて計算すると、全体としては後半の方が大雨の頻度・強度が増えていますし、他の資料(日100mm以上の日数)などでも長期的に大雨が増えている傾向が見られます(参照:大雨が増えている)。こうした大雨の長期的な増加の背景として、地球温暖化が関係している可能性があります。

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