2025年8月の天候
2025年9月1日 掲載
2025年8月の特徴
* 気温は、北・東・西日本でかなり高かった
気温は、偏西風が平年より北に偏って流れやすかったため暖かい空気に覆われ、低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込んだ時期もあった北・東・西日本でかなり高かった。
* 降水量は、東日本日本海側でかなり多かった一方、沖縄・奄美でかなり少なかった
降水量は、上旬後半から中旬はじめにかけて、前線や低気圧の影響を受けやすかった東日本日本海側でかなり多かった一方、太平洋高気圧に覆われやすかった沖縄・奄美ではかなり少なかった。
* 日照時間は、沖縄・奄美でかなり多かった
日照時間は、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった沖縄・奄美でかなり多かった。
概況
日本付近では偏西風が平年より北に偏って流れやすかったため、全国的に暖かい空気に覆われた。また、北・東・西日本では低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込んだ時期もあった。このため、月平均気温は北・東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で高かった。5日は関東甲信地方の各地で日最高気温が40℃を上回り、群馬県伊勢崎では41.8℃と、気象官署等とアメダスを含め、全国での過去最高を更新した。また、地球温暖化等の長期的な気候変動の監視に用いる15地点の観測値による日本の月平均気温(*)の基準値からの偏差は+1.84℃となり、これまで最も高かった2023年に次いで、統計を開始した1898年以降の8月として、2024年の記録と並び、2位タイの高温となった。
沖縄・奄美を中心に、全国的に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、北日本日本海側を中心に低気圧や前線の影響を受けやすく、29日は青森県で線状降水帯が発生した 。また、上旬後半から中旬はじめにかけては前線が本州付近に停滞し、東・西日本日本海側と九州南部を中心に、各地で線状降水帯が発生するなど、記録的な大雨となった所もあった。このため、月降水量は東日本日本海側ではかなり多く、北・西日本日本海側では多かった。一方、沖縄・奄美ではかなり少なく、東日本太平洋側では少なかった。また、月間日照時間は、沖縄・奄美ではかなり多く、北・東・西日本太平洋側と東・西日本日本海側では多かった。
(*)都市化による影響が比較的小さく、長期間の観測が行われている地点から、地域的に偏りなく分布するように選定した15地点(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)の気象台等の観測値を用いた統計。
降水量は、東日本日本海側ではかなり多かった。北日本日本海側、西日本日本海側では多かった。沖縄・奄美ではかなり少なかった。東日本太平洋側では少なかった。北日本太平洋側、西日本太平洋側では平年並だった。
日照時間は、沖縄・奄美ではかなり多かった。北日本太平洋側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側では多かった。北日本日本海側では平年並だった。
気温、降水量、日照時間等の気候統計値
平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布 | 地域平均平年差、地域平均平年比の1位の値の更新状況 |
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* 平均気温の高い記録を更新した地域東海地方 関東甲信地方(タイ) * 平均気温の低い記録を更新した地域なし * 降水量の多い記録を更新した地域なし * 降水量の少ない記録を更新した地域なし * 日照時間の多い記録を更新した地域なし * 日照時間の少ない記録を更新した地域なし |
旬降水量の地域平均平年比、旬間日照時間の地域平均平年比の経過 | 平均気温の地域平均平年差の経過(5日移動平均) |
![]() この図は翌月はじめに作成したものです。数日後により新しいデータを反映して図を作成していますので、引用等する場合は可能な限りこちらに掲載の図をご利用ください。(※1) |
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旬別の天候経過
上旬
期間前半は、北・東・西日本では高気圧に覆われて晴れた所が多かった。気温が高く、特に南高北低の気圧配置となった5日には、関東甲信地方の各地で日最高気温が40℃を上回り、群馬県伊勢崎では41.8℃と、気象官署等とアメダスを含め、全国での過去最高を更新した。このため、旬平均気温は北・東日本でかなり高くなった。一転して、期間後半には、停滞前線や前線上の低気圧の影響で曇りや雨の日が多くなった。東・西日本日本海側と九州南部を中心に、各地で線状降水帯が発生するなど、記録的な大雨となった所もあった。このため、旬降水量は東・西日本日本海側でかなり多く、旬降水量平年比は、東日本日本海側で560%、西日本日本海側で414%となり、1946年の統計開始以降で8月上旬として1位の多雨となった。一方、沖縄・奄美では太平洋高気圧に覆われて、期間を通して晴れた日が多かったため、旬降水量はかなり少なく、旬間日照時間は多かった。
旬降水量は、東日本日本海側、西日本日本海側ではかなり多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本太平洋側、西日本太平洋側では多かった。沖縄・奄美ではかなり少なかった。
旬間日照時間は、沖縄・奄美では多かった。西日本日本海側、西日本太平洋側では少なかった。北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、東日本太平洋側では平年並だった。
中旬
期間のはじめに前線が東・西日本付近に停滞した影響で、九州北部地方で線状降水帯が発生するなど、東・西日本日本海側では大雨となった所があった。期間の半ば以降は、太平洋高気圧が強まり、東・西日本を覆った。北日本は高気圧に覆われやすかったが、期間の終わりには前線の影響で日本海側を中心に大雨となった所があった。沖縄・奄美は、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった一方、台風第11号や熱帯低気圧の影響も受けた。これらのことから、旬降水量は北・東・西日本日本海側で多い一方、東日本太平洋側では少なかった。旬間日照時間は全国的に多く、北日本太平洋側ではかなり多かった。気温は全国的に高く、暖かい空気が流れ込みやすく、また、高気圧に覆われて晴れの日が多かった北日本でかなり高かった。
旬降水量は、北日本日本海側、東日本日本海側、西日本日本海側では多かった。東日本太平洋側では少なかった。北日本太平洋側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
旬間日照時間は、北日本太平洋側ではかなり多かった。北日本日本海側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では多かった。
下旬
高気圧に覆われて全国的に晴れた所が多く、旬降水量は東日本太平洋側でかなり少なく、旬間日照時間は東日本日本海側と東日本太平洋側でかなり多かった。東日本太平洋側の旬降水量平年比は11%で、1946年の統計開始以降、8月下旬として1位の少雨となった。一方、低気圧や前線が数日の周期で北日本付近を通過し、北海道では大雨となった所があり、29日は青森県で線状降水帯が発生した。また、鹿児島県では台風第12号が21日に上陸し、大雨となった。旬平均気温は、暖かい空気に覆われやすく、低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込んだ日もあったため、北・東・西日本でかなり高かった。30日と31日は、関東甲信地方と東海地方で日最高気温が40℃以上となる地点があった。旬平均気温平年差は、東日本で+3.1℃、西日本で+2.1℃となり、1946年の統計開始以降、8月下旬として1位の高温となった。
旬降水量は、北日本日本海側では多かった。東日本太平洋側ではかなり少なかった。東日本日本海側、西日本日本海側、沖縄・奄美では少なかった。北日本太平洋側、西日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間は、東日本日本海側、東日本太平洋側ではかなり多かった。北日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では多かった。北日本日本海側では平年並だった。
循環場
500hPa高度場等の特徴
亜熱帯ジェット気流がユーラシア大陸から日本付近にかけて平年より北に偏って流れやすかった。このため、500hPa高度は日本付近で高く、全国的に暖かい空気に覆われやすかった。海面気圧では、日本の南で太平洋高気圧が強く、沖縄・奄美を中心に、全国的に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。一方、オホーツク海付近は低圧部となっており、北日本日本海側を中心に低気圧や前線の影響を受けやすかった。また、北・東・西日本には暖かく湿った空気が流れ込みやすく、停滞前線の影響を受けた時期もあった。
月別値で作成した図を表示しています。 (※2、翌月はじめに暫定版として作成・掲載している日別値の図はこちら) 翌月はじめに暫定的に日別値で作成した図で、月末までのデータを含まない事があります。6日頃に月別値で作成した図を掲載します。(月別値の図は掲載後にこちらで確認できます) | |
2025年8月平均500hPa高度・偏差の分布(単位:m) | 2025年8月平均850hPa気温・偏差の分布(単位:℃) |
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2025年8月平均海面気圧・偏差の分布(単位:hPa) | 2025年8月平均外向き長波放射量の偏差の分布(単位:W/m2) |
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外向き長波放射量(OLR)の図は翌月数日経ってから作成しています。 |
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※ 米国海洋大気庁(NOAA)が作成する外向き長波放射量(OLR)のデータが欠損により利用できない場合には、OLR偏差図は描画されません。 |
資料
※ : 特に作成日の言及がない図は、本資料を掲載した月初時点に作成したものです。
※1 : リンク先の図表類は、平年値更新時などに再作成されることがあります。リンク先にある平年値期間などの記述をご確認ください。
※2 : こちらに掲載しているものと同じ図を表示しています。平年値が変わった場合などには図を再作成することがあるため、解説内容と齟齬が生じることもあります。