2008年 No.7 火山の概況 (平成20年2月8日 〜 平成20年2月14日)
いずれの火山も予報警報事項に変更はない。現在の各火山の噴火警報及び噴火予報の発表状況は以下のとおりである。
図1 火口周辺警報及び噴火警報発表中の火山
○火口周辺警報
- 噴火警戒レベル3、入山規制 :桜島
噴火警戒レベル2、火口周辺規制 :薩摩硫黄島、諏訪之瀬島
火口周辺危険 :三宅島、硫黄島
○噴火警報(周辺海域)
- 周辺海域警戒 :福徳岡ノ場
○噴火予報
- 噴火警戒レベル1、平常 :樽前山、北海道駒ケ岳、岩手山、吾妻山、草津白根山、浅間山、富士山、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢、新燃岳)、口永良部島
平常 :上記以外の火山
【各火山の活動状況及び予報警報事項】
三宅島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]
噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
今期間、火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
三宅島では火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)程度の噴火が発生すると予想されるので、火口周辺では噴火に対する警戒が必要である。また、風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。雨による泥流にも注意が必要である。
硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、地震活動は落ち着いた状態で経過しているが、島全体が大きく隆起する地殻変動は鈍化したものの現在も継続している。
硫黄島では火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)程度の噴火が発生すると予想されるので、従来から小規模な噴火がみられていた領域では噴火に対する警戒が必要である。
福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)]
海上保安庁、第三管区海上保安本部及び海上自衛隊による上空からの観測では、福徳岡ノ場付近の海面に、火山活動によるとみられる変色水が確認されている。
福徳岡ノ場では小規模な海底噴火が発生すると予想されるので、周辺海域では噴火に対する警戒が必要である。
桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]
昭和火口では、2月6日11時25分の爆発的噴火以降、噴火は観測されず、ごく少量の白色噴気が時々観測されている状況である。
南岳山頂火口では、噴火は観測されなかった。
13日に行った現地調査では、二酸化硫黄放出量は一日あたり600〜1,200トンと、前期間(一日あたり1,000〜5,300トン)と比べ、減少していた。
火山性地震及び火山性微動は少ない状態が続いており、多量のマグマが桜島直下に移動・上昇したことを示す地殻変動も認められていない。
桜島では、南岳山頂火口及び昭和火口から2km程度の範囲では噴火に伴う噴石及び火砕流に警戒が必要である。風下側では降灰及び火山れき(小さな噴石)に注意する必要がある。降雨時には泥流や土石流に注意が必要である。。
薩摩硫黄島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島では硫黄岳山頂火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。
諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) ]
8日、9日及び13日に火口で爆発的噴火が発生した。村役場諏訪之瀬島出張所によると、9日と10日に集落(御岳の南南西約4km)で少量の降灰が確認された。
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
諏訪之瀬島では今後も御岳火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。
上記以外の火山については、火山活動に特段の変化はなく、火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)噴火の兆候はみられない。