2008年 No.6 火山の概況 (平成20年2月1日 〜 平成20年2月7日)

 桜島は、3日に火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)を発表し、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)からレベル3(入山規制)に引き上げた。

図1  噴火警報の火山
図1  火口周辺警報及び噴火警報発表中の火山


○火口周辺警報

 噴火警戒レベル3、入山規制    :桜島
 噴火警戒レベル2、火口周辺規制  :薩摩硫黄島、諏訪之瀬島
 火口周辺危険           :三宅島、硫黄島

○噴火警報(周辺海域)

 周辺海域警戒           :福徳岡ノ場
 

○噴火予報

 噴火警戒レベル1、平常      :樽前山、北海道駒ケ岳、岩手山、吾妻山、草津白根山、浅間山、富士山、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢、新燃岳)、口永良部島
 平常               :上記以外の火山


※噴火警戒レベルは地域防災計画等でその活用が定められている火山に導入している(現在、噴火警戒レベルが導入されている火山は16火山である)。




【各火山の活動状況及び予報警報事項】


雌阿寒岳 [噴火予報(平常)]

 火山性地震は、依然やや多い状態が続いているが、2006年3月のごく小規模な噴火に先行した活動に比べると、地震の振幅は小さく、火山性微動も観測されていない。また、噴煙の状況や地殻変動にも変化はない。
 現在のところ、雌阿寒岳では、火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)噴火の兆候はみられない。ただし、山頂火口内では引き続き噴気や火山ガスの噴出が見られることから、火口内等(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)では火山灰噴出等に警戒が必要である。
 雌阿寒岳は噴火予報(平常)が継続している。
 


三宅島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 今期間、火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
 三宅島では火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)程度の噴火が発生すると予想されるので、火口周辺では噴火に対する警戒が必要である。また、風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。雨による泥流にも注意が必要である。
 


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、地震活動は落ち着いた状態で経過しているが、島全体が大きく隆起する地殻変動は鈍化したものの現在も継続している。
 硫黄島では火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)程度の噴火が発生すると予想されるので、従来から小規模な噴火がみられていた領域では噴火に対する警戒が必要である。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)]

 海上保安庁、第三管区海上保安本部及び海上自衛隊による上空からの観測では、福徳岡ノ場付近の海面に、火山活動によるとみられる変色水が確認されている。
 福徳岡ノ場では小規模な海底噴火が発生すると予想されるので、周辺海域では噴火に対する警戒が必要である。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]←3日に噴火警戒レベル2(火口周辺規制)から引き上げ

 3日に昭和火口で爆発的噴火が2回発生したことから、3日16時10分に火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。
 昭和火口では3日00時39分に火口付近に噴石を飛散する程度のごく小規模な噴火が発生し、同日10時18分と15時54分には爆発的噴火が発生した。その後、昭和火口ではごく小規模な噴火を繰り返していたが、6日10時33分と11時25分に再び爆発的噴火が発生した。
 3日10時18分の噴火では噴石が4合目(火口から約1km)まで飛散し、同日15時54分の噴火では火砕流が火口から東に約1.0kmまで流下した。6日11時25分の噴火では火砕流が火口から東に約1.3kmまで流下し、噴石が5合目(火口から約500m)まで飛散した。
 南岳山頂火口では、7日にごく小規模な噴火が発生した。
 3日の昭和火口の噴火以降、二酸化硫黄放出量は一日あたり1,000〜5,300トンと、それまでの一日あたり1,000トン前後から増加している。
 火山性地震及び火山性微動は少ない状態が続いており、山体の膨張を示す地殻変動も認められない。
 桜島では、南岳山頂火口及び昭和火口から2km程度の範囲では噴火に伴う噴石及び火砕流に警戒が必要である。風下側では降灰及び火山れき(小さな噴石)に注意する必要がある。降雨時には泥流や土石流に注意が必要である。。


図2 桜島 6日11時25分の爆発的噴火(黒神河原(昭和火口から東約3km)にて撮影)



薩摩硫黄島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 薩摩硫黄島では硫黄岳山頂火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) ]

 7日に御岳火口で爆発的噴火が発生した。
 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 諏訪之瀬島では今後も御岳火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。



 上記以外の火山については、火山活動に特段の変化はなく、火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)噴火の兆候はみられない。

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