2007年 No.2 火山の概況 (平成19年1月5日 〜 平成19年1月11日)

【噴火した火山】

諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
9日及び10日に爆発的噴火が発生した。

【活発もしくはやや活発な状況の火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の熱活動はやや活発な状態が続いている。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
硫黄島 [やや活発な状況]←9日に静穏な状況から引き上げ
大きな隆起や地震活動のやや活発な状態が続いている。
桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。

【その他の記事を掲載した火山】

霧島山(新燃岳) [静穏な状況(レベル1)]←9日にやや活発な状況(レベル2)から引き下げ
新燃岳の火山活動は静穏な状況になった。

【静穏な状況であるが観測データ等に変化のあった火山】

御嶽山 [静穏な状況]
昨年(2006年)12月29日(前期間)以降火山性地震が一時的に多発したが、その後減少する傾向がみられた。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。

注2 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ??????等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では、昨年(2006年)1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態にあり、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
 火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。


◇ 御嶽山  [静穏な状況]

 昨年(2006年)12月29日(前期間)以降、山頂付近を震源とする火山性地震が一時的に多発していたが、その後は減少する傾向が見られている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。遠望カメラ(山頂の南東約14kmに設置)による観測では噴気は認められなかった。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
 今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
 10日に行った上空からの観測(東京消防庁の協力による)では、山頂火口内の噴気や地形の状況に大きな変化は見られず、依然として高温状態1)が続いていた。

1)赤外線熱映像装置による。赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


● 硫黄島 [やや活発な状況]←9日に静穏な状況から引き上げ

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、昨年8月頃から島の南東部で大きな隆起の地殻変動が続いており、これにほぼ同期して島内の地震活動が消長を繰り返しながらやや活発な状態となっていた。
今期間も同様な状況が続いているが、地震活動はやや低下する傾向にある。
昨年8月以降の活動状況は、最近繰り返されてきた火山活動の一環と考えられ、従来から小規模な水蒸気爆発が繰り返されてきた島の中心部(元山もとやま)を取り囲む円周上の領域(東部や北部の海岸部から阿蘇台陥没孔あそだいかんぼつこうから千鳥ヶ原ちどりがはらにかけて)では、今後も注意が必要である。


● 霧島山(新燃岳)  [静穏な状況(レベル1)]←9日にやや活発な状況(レベル2)から引き下げ

 新燃岳では、昨年(2006年)12月3日に火山性地震が多発した。その後、火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いていたが、12月14日以降は日回数5回程度と少なくなった。また、火山性微動や、火口縁を超える噴気は観測されず、地殻変動にも特段の変化はなかった。
 以上のとおり、新燃岳の火山活動は静穏な状態になっているため、新燃岳の火山活動度レベルを2から1に引き下げた。


● 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。
 南岳山頂火口及び昭和火口からの噴火は発生しなかった。
 地殻変動に特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動が時々観測された。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 遠望カメラ(新岳しんだけ火口の北西約3kmに設置)による観測では、10日に新岳火口付近で弱い噴気が認められた。地殻変動に特段の変化はなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 9日と10日に爆発的噴火があった。また、十島村としまむら役場諏訪之瀬島出張所によると8日にも小規模な噴火が発生した。噴火に伴い、火山性連続微動が発生し、火山性地震はやや多い状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
霧 島 山 火山観測情報第1号
1月9日
15:00
火山性地震は少ない状態で、火山活動は静穏な状況になった。レベルは1


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