2006年 No.42 火山の概況 (平成18年10月13日 〜 平成18年10月19日)

【噴火が観測された火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
ごく小規模な噴火が時々発生した。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
16日〜18日に爆発的噴火が発生した。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震はやや多い状態が続いている。

【静穏な状況だが観測データに変化があった火山】

箱根山 [静穏な状況]
7日(前期間)から地震がややまとまって発生している。
阿蘇山 [静穏な状況(レベル1)
南阿蘇村吉岡の噴気孔からごく小規模な泥噴出が発生した。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では依然として高温の状態が続いていると推定される。同火口からの噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100mで推移した。
 火山性地震は少ない状態が続いており、火山性微動は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 産業技術総合研究所が13日に実施した観測では、A火口の最高温度は約530℃1)(10月10日の気象庁の観測では約520℃2))、B噴気孔群の最高温度は約390℃1)(7月9日の産業技術総合研究所の観測では約410℃1))で、火口内の熱的な状態に変化はなく依然として高温の状態が続いていた。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。

1)熱電対温度計による。熱電対温度計はセンサーを直接熱源に当てて温度を測定する測器である。
2)赤外熱映像装置による。赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


◇ 箱根山  [静穏な状況]

 7日(前期間)〜19日にかけて大涌谷付近の浅いところを震源とする地震がややまとまって発生した。
 19日に行った現地調査では、噴気などの表面現象に特段の異常は認められなかった。気象庁が湯河原に設置している体積歪(ひずみ)計3)に及び神奈川県温泉地学研究所の傾斜計4)等による地殻変動観測では特段の変化はなかった。
 箱根山では、9月27〜28日と10月2日〜3日にも駒ケ岳付近の浅い所を震源とする地震がややまとまって発生した。

3)センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等で変化が観測されることがある。
4)火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により、山体が膨張・収縮した場合に変化が観測されることがある。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜300mで推移した。
 16日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,700〜2,200トン(前回11日2,800〜3,700トン/日)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
 火山性地震はやや多い状態でが続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


◇ 阿蘇山  [静穏な状況(レベル1)]

 16日朝、中岳第一火口から西南西に約6km離れた南阿蘇村吉岡で、噴気異常の通報があった。同日阿蘇山測候所および京都大学火山研究センターが行った現地調査で、噴気孔から西側約300mの範囲に主に泥からなる少量の噴出物が確認された。付近住民への聞き取り調査の結果、ごく小規模な噴出があったのは15日深夜から16日早朝にかけてと推定される。
 この地域は従来から噴気活動がみられており、本年3月頃から噴気がやや強まる傾向が認められていた。一般的に噴気地帯では今回のような現象が時々起こりえると考えられ、今後も引き続き噴気活動に注意が必要である。
 なお、中岳第一火口の熱活動および地震活動は低調な状態で、地殻変動にも特段の変化はない。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口ではごく小規模な噴火が時々発生した。
 昭和火口では噴火は発生しなかったが、弱い噴気が観測された。
 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は最高で火口縁上600mであった。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。15日、16日にごく小規模な火山性微動が発生した。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震はやや多い状態が続いている。15日にごく小規模な火山性微動が発生した。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 16日〜18日に爆発的噴火が3回あったほか、十島村役場諏訪之瀬島出張所によると小規模な噴火が時々発生した。
 15日〜16日に、噴火活動に伴い火山性連続微動が断続的に観測された。火山性地震は少ない状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
三 宅 島 火山観測情報
第286〜292号
(1日1回発表)
13日〜19日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。16日に実施した火山ガス観測の結果


このページのトップへ