2006年 No.9 火山の概況 (平成18年2月24日 〜 平成18年3月2日)
【噴火が観測された火山】
【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】
- ● 雌阿寒岳 [やや活発な状況]
- 火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
- ● 浅間山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動は引き続きやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 霧島山(新燃岳) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
【静穏な状態であるが、観測データに変化のあった火山】
- ◇ 伊豆東部火山群 [静穏な状況]
- 伊東市周辺で地震がやや増加しているが、火山性微動及び低周波地震は観測されず、火山活動は静穏な状態が続いている。
図1 各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。
注2 記号の意味
▲:噴火が観測された火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状態にある火山
◇:静穏な状態にあるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。
【各火山の活動解説】
● 雌阿寒岳 [やや活発な状況]
18〜19日(前期間)に多発した火山性地震は、その後回数は減少したものの、27日に18回観測されるなど引き続きやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。監視カメラ(火口の南南東約16kmに設置)による観測では、噴煙の高さは火口縁上概ね100mで推移し特段の変化はなかった。
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
● 樽前山 [やや活発な状況]
今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱活動に大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
● 浅間山 [やや活発な状況 (レベル2)]
山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。また、今期間は天候不良の日が多かったこともあり、火映は観測されなかった。
火山性地震はやや多い状態が続き、1日あたり32〜82回で経過した。火山性微動は24日に1回、25日に3回観測された。
傾斜計およびGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。
◇ 伊豆東部火山群 [静穏な状況]<期間外の記述を含む>
前期間の2月21日昼頃から発生し始めた伊東市街の北東沖、深さ7〜10km付近を震源とする微小な地震の活動は、発生回数は減少しているものの、3月3日未明現在も続いている(これまでの最大地震は2月23日05時35分(前期間)に発生したM(マグニチュード)2.2(暫定))。この活動に伴って、東伊豆町に設置している体積歪(ひずみ)計や伊東市に設置されている防災科学技術研究所の傾斜計にわずかな変化がみられていたが、今期間は降雨の影響もあり、顕著な変化はみられなかった。
また、2月25日から伊東市大崎の北、深さ5〜8km付近を震源とする地震が発生し始め、25日10時22分に発生したM2.8(暫定)の地震により、熱海市網代で震度2を観測した。この付近の地震活動も、発生回数は少ないものの3月3日未明現在も続いている。
さらに、伊東市宇佐美付近を震源とする地震が28日6時〜8時にかけて、一時的に増加した。最大地震は28日06時48分に発生したM2.7(暫定)で、この地震により熱海市網代で震度2を観測した。主な地震の震源は2〜5kmと浅いものであったが、火山性微動及び低周波地震は観測されなかった。
● 三宅島 [やや活発な状況]
今期間、噴火は観測されなかった(前期間は17日にごく小規模な噴火が発生し、山麓でごく微量の降灰があった)。
山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
2日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,100〜2,100トンと、依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回2月13日1,300〜2,400トン)。
火山性地震は少ない状態で経過し、1日あたり0〜11回であった。火山性微動は観測されなかった。
● 霧島山(新燃岳) [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている(今期間49回、前期間53回)。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況 (レベル2)]
御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。28日に火口縁上200mの高さの噴気が観測された。
期間中、火山性地震及び火山性微動は観測されず、傾斜計及びGPSによる地殻変動観測でも特段の変化はなかった。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]
期間中、爆発的噴火が1回観測された(前期間も爆発的噴火を1回観測)。28日20時31分に爆発的噴火が発生したが、天候不良のため噴煙等の状況は不明であった。この他、27日に火口縁上300mまで上がる灰白色の噴煙が観測されるなど、ごく小規模な噴火も発生したが、期間中、鹿児島地方気象台(南だけの西南西約11km)で降灰は観測されなかった。
火山性地震及び火山性微動の発生状況に特段の変化はなく、傾斜計及びGPSによる地殻変動でも特段の変化はなかった。