オゾンホールの状況(2019年)

令和2年1月20日更新

診断

  (注意)オゾンホールの実況を9月~翌年1月頃まで毎月更新して報告しています。掲載したデータは速報値ですので、今後値が見直される場合があります。

オゾンホール

  オゾンホールは、南極上空のオゾン量が極端に少なくなる現象で、オゾン層に穴の空いたような状態であることからその名が付けられました。 南半球の冬季から春季にあたる8~9月ごろ発生、急速に発達し、11~12月ごろに消滅するという季節変化をしています。1980年代初めからこのような現象が観測されています。

2019年の南極域上空のオゾン層・オゾンホール

   衛星観測によると、2019年の南極オゾンホールは8月中旬に現れ、その面積は8月中は拡大し、9月7日に面積が最大(1,100万km2:南極大陸の約0.8倍)となった後、最近10年間の平均値と比べると最も小さい状態で推移しながらその規模を保っていましたが、10月下旬から急速に縮小し、11月10日に消滅しました(図1、図2)。 大規模なオゾンホールが継続してみられるようになった1990年以降で、最大面積は最も小さく、消滅は最も早くなりました。
   8月末に南極上空で成層圏突然昇温が発生し、極渦内部の高度約20km付近の気温が高い状態が続いたため(図3)、オゾン層破壊を促進させる極域成層圏雲が例年より発達せずオゾン層破壊の進行が抑制されたことに加え、極渦の縮小によりオゾンホールの外側から高濃度オゾンが流入したことなどの気象状況を主な要因として、オゾンホールの面積の拡大が抑えられたと考えられます。 また、10月下旬に極渦がさらに弱まったことで、オゾンホールの消滅が早まったと考えられます。
   このなかで南極昭和基地(図2中の印)は、9月中旬までオゾンホールの外に、9月下旬からオゾンホールの境界付近に位置していたため、昭和基地上空では9月下旬以降、顕著なオゾン破壊が断続的に観測されていました。 その結果、南極昭和基地で行われたオゾンゾンデ観測によると、9月から11月にかけて月平均オゾン分圧は、オゾン破壊が明瞭に現れる以前(細破線)と比べて高度約10~20kmで低くなりましたが、参照値(オゾン量の減少傾向が止まり、少ない状態で安定していた期間の平均値)と比べると高度約10km以上で高く注)なりました(図4)。

注)ここでは、月平均値の参照値からの差が標準偏差より大きいときを「高い」としている。

オゾンホールの面積の推移 オゾン全量南半球分布図

図1 オゾンホールの面積の推移

  オゾンホールの規模を示す要素の一つであるオゾンホールの面積(オゾン全量が220m atm-cm以下の領域の面積)の推移を示しています。
    赤線:2019年、橙線:2018年
    黒線:最近10年間(2009~2018年)の平均値
    濃い紫色の領域:最近10年間の最大値と最小値の範囲
    緑色の破線:南極大陸の面積
  米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星(OMI)観測データをもとに作成。

図2 2019年9月7日のオゾン全量南半球分布図

  灰色の部分がオゾンホール。図の放射状に細長く広がっている白い領域は衛星データが欠測となった領域で、南極点付近の白色の領域は太陽高度角の関係で観測できない領域です。 図中の印は、昭和基地の位置(南緯69度、東経39度付近)を示しています。 米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星(OMI)観測データをもとに作成。


南極上空の平均気温の推移

図3 南極上空(50hPa)における南緯60度以上の領域平均気温の推移

  赤線:2019年、黒線:最近10年間(2009~2018年)の平均値
  灰色領域:最近10年間の標準偏差の範囲
  紫色領域:最近10年間の最大値と最小値の範囲
気象庁の長期再解析(JRA-55)をもとに作成。


南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地 オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地 オゾン分圧の高度グラフ

図4 2019年8~11月の月平均オゾン分圧の高度分布グラフ(南極昭和基地)

赤線:実線は観測値の月平均値
細実線:月の参照値(1994~2008年平均)、横細実線:参照値の標準偏差。
細破線:オゾンホールが明瞭に現れる以前の月平均値(1968~1980年平均)。
オゾン分圧(横軸)が高いほど、その層のオゾン量が多いことを示します。



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