世界の年ごとの異常気象 ------------------ 対象期間:

この資料は1971~2000年の観測値による平年値に基づいて作成されたものです。

主な天候の特徴・気象災害

天候の特徴気象災害

概況

 年平均気温は、アラスカや米国北部、オーストラリアなどを除き、多くの地域で平年より高くなった。東シベリアからアフリカ北部にかけての広い範囲で異常高温となる月が多かったが、中国から中央アジアでは1~2月に異常低温となった。オーストラリア東部では8月まで異常低温となる月が多かった。年降水量は、シベリアからヨーロッパ北部や東南アジア、中米から南米北部で平年より多く、中東やオーストラリアで平年より少なかった。シベリアからヨーロッパ北部、東南アジア、中米から南米北部で異常多雨、地中海域やアルゼンチン北部、オーストラリア南部で異常少雨となる月が多かった。  2008年に発生した主な異常気象・気象災害は以下のとおり。災害の記述は国連の災害データベース(EM-DAT)や国連の報道機関(IRIN)、各国の政府機関の発表等に基づいている。

異常気象の種類地域概況
1低温中国~中央アジア(1~2月)
  • 中国から中央アジアでは、シベリアからの寒気が南下し、異常低温の月が続いた。
  • ウズベキスタンのタシケント:1月の月平均気温-6.3℃(平年差-7.3℃)、中国のスーチョワン(四川)省のシーチャン:2月の月平均気温6.7℃(平年差-5.5℃)。
  • 中国では低温や大雪により70人以上、アフガニスタンでは寒波の影響により800人以上が死亡したと伝えられた。
2高温シベリア南東部~アフリカ北部(3~11月)
  • シベリア南東部からアフリカ北部では、3月以降、広い範囲で異常高温となる月が多かった。
  • モンゴルのウランバートル:3~11月の9か月平均気温7.9℃(平年差+3.1℃)。
3大雨中国南部(5~6月)
  • 中国南部では、5~6月に梅雨前線による大雨が各地で発生し、合わせて140人以上が死亡したと伝えられた。
  • 中国ユンナン(雲南)省のモンツー:6月の月降水量256mm(平年比230%)。
4台風・大雨中国南部~フィリピン・ベトナム(6~11月)
  • 6月の台風第6号によりフィリピンで640人以上、8月の台風第9号によりベトナム北部で120人以上、9月の台風第14号により中国やベトナムで合計50人以上が死亡したと伝えられた。また、10月末にはベトナム北部で大雨により50人以上が死亡したと伝えられた。
  • 2008年の台風は、フィリピン東方で発生して中国南東部やベトナム方面に進むものが多かった。
  • 中国南部のマカオ:6月の月降水量1,204mm(平年比350%)、ベトナム北部のハノイ:10~11月の2か月降水量728mm(平年比348%)。
5多雨マレーシア~インドネシア東部(通年)
  • マレーシアからインドネシア東部では、2008年春まで続いたラニーニャ現象などの影響により対流活動が平年より活発で、各地で異常多雨となる月が多かった。
  • マレーシアのクアラルンプール:年降水量3,294mm(平年比138%)。
6サイクロンミャンマー(5月)
  • ミャンマーでは、5月初めにサイクロン「ナルギス」が上陸し、大雨や高潮などにより13万人以上が死亡したと伝えられた。
  • フィリピン周辺からベンガル湾では、4月下旬から5月初めにかけて対流活動が平年より活発だった。
  • ベンガル湾のポートブレア:5月の月降水量976mm(平年比293%)。
7大雨インド北部周辺(6~9月)
  • インドやパキスタン、ネパールでは、モンスーンに伴う大雨がたびたび発生し、インドでは6~9月に北部を中心に合わせて2700人以上が死亡したと伝えられた。
  • インド北東部のブバネシュワル:6~9月の4か月降水量1,585mm(平年比139%)。
8大雨ウクライナ周辺(7月)
  • ウクライナやモルドバでは、洪水により合わせて40名が死亡したと伝えられた。
  • ルーマニア北部のクルージュナポカ:7月の月降水量162mm(平年比203%)。
9多雨ヨーロッパ北西部(6~8月)
  • ヨーロッパ北西部では、夏を通して低気圧や前線の影響を受けることが多く、3か月降水量が異常多雨となった。
  • アイルランドのコーク:6~8月の3か月降水量450mm(平年比197%)。
  • イギリス気象局によると、イギリスの夏の降水量は1914年以降で7番目の多さだった。
10多雨地中海西部周辺(7、9~11月)
  • 地中海西部周辺では、年の後半に低気圧や前線の影響により異常多雨となる月が多かった。
  • アルジェリア北西部のベシャル:10月の月降水量153mm(年降水量平年値:85.9mm)。
  • アルジェリアでは10月初めに鉄砲水により80人以上が死亡したと伝えられた。
11大雨イエメン(10月)
  • イエメンでは、熱帯低気圧の影響で大雨となり、70人以上が死亡したと伝えられた。
  • 隣接するオマーンのサラーラ:10月の月降水量37mm(平年比638%)。
12サイクロンマダガスカル(2月)
  • マダガスカルでは、2月にサイクロン「アイヴァン」により90人以上が死亡したと伝えられた。
  • 隣接するインド洋西部のアガレーガ諸島:2月の月降水量444mm(平年比178%)。
13高温アフリカ南東部(8~12月)
  • アフリカ南東部では8月以降、異常高温の月が続いた。
  • 南アフリカ北部のピーターズバーグ:8~12月の5か月平均気温20.4℃(平年差+1.8℃)。
14高温グリーンランド周辺(6~12月)
  • グリーンランド周辺では6月以降、異常高温の月が続いた。
  • グリーンランド北東部のデンマークシャウン:6~12月の7か月平均気温-5.3℃(平年差+2.1℃)。
15多雨米国北東部~中部(2~3、5~6、9月)
  • 米国北東部や中部では、低気圧や前線の影響により異常多雨となる月が多かった。
  • 米国ミズーリ州のセントルイス:2~9月の8か月降水量1,228mm(平年比178%)、イリノイ州のシカゴ:9月の月降水量347mm(平年比403%)。
  • 米国では、2月には嵐により50人以上、5月には各地で発生した竜巻により合わせて40人以上、6月にはミシシッピ川流域の大規模な洪水により20人以上が死亡したと伝えられた。
16ハリケーン米国南部~カリブ海諸国(8~9月)
  • 8~9月にハリケーン「グスタフ」「ハンナ」「アイク」などにより、米国南部で合わせて70人以上の死者のほか、カリブ海諸国でもハイチで合わせて350人以上の死者などの被害が伝えられた。
  • ジャマイカのキングストン:8月の月降水量549mm(平年比664%)。
  • 米国海洋大気庁によると、2008年のハリケーンの発生数は平年より多かった。
17森林火災米国カリフォルニア州(10月)
  • 米国カリフォルニア州では、10月に大規模な森林火災が発生し、多数の住民が避難したと伝えられた。
  • 米国南西部では雨季である2008年2~4月に少雨となり、年間降水量も少なかった。
  • 米国カリフォルニア州のロサンゼルス:2~4月の3か月降水量55mm(平年比36%)。
18多雨中米南部~南米北部(通年)
  • 中米南部から南米北部では、ラニーニャ現象などの影響により対流活動が平年より活発で、各地で異常多雨となる月が多かった。
  • ペルー北部沿岸のチクラーヨ:1~4月の4か月降水量49mm(平年比445%)。
  • パナマやホンジュラスなど各国で熱帯低気圧や大雨による被害が伝えられた。
19低温オーストラリア東部(3~5、8月)
  • オーストラリア東部では、8月頃まで異常低温となる月が多かった。
  • オーストラリア東部のブリスベン:3~5月の3か月平均気温19.5℃(平年差-1.8℃)。
20少雨オーストラリア南部(通年)
  • オーストラリア南部では、ほぼ年を通して少雨傾向で異常少雨となる月もあった。
  • オーストラリア南東部のメルボルン:年降水量390mm(平年比69%)。
  • オーストラリア気象局によると、マーレー・ダーリング川流域南部ではここ数年続いている少雨が2008年も継続した。
年平均気温偏差規格化階級分布図

年平均気温偏差規格化階級分布図

年降水量平年比階級分布図

年降水量平年比階級分布図


異常高温・異常低温出現頻度分布図

異常高温・異常低温出現頻度分布図

異常多雨・異常少雨出現頻度分布図

異常多雨・異常少雨出現頻度分布図

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