世界の年ごとの異常気象 ------------------ 対象期間:

この資料は1971~2000年の観測値による平年値に基づいて作成されたものです。

主な天候の特徴・気象災害

天候の特徴気象災害

概況

 年平均気温はシベリア南部、オーストラリア沿岸部などを除き、平年を上回り、中国から中東、ヨーロッパ西部、北米東部などでかなり高くなった。年前半にはヨーロッパやシベリア、オーストラリアで異常低温も見られたが、年後半はアジアからヨーロッパの広い範囲で異常高温となる月が多かった。 年降水量は東・西シベリア、インド周辺、アフリカ南東部、カリブ海東部周辺、オーストラリア北西部などで多く、異常多雨もこれらの地域で多かった。一方、モンゴルから中国北部、ヨーロッパ南部、オーストラリア南東部、インド洋東部などで少なく、異常少雨もこれらの地域で多かった。

  1. 東アジア・シベリア
  2. 年平均気温はシベリア南部を除き高く、中国では年後半に広い範囲で異常高温となる月が多かった。年降水量は、東シベリア、西シベリアから中央アジアで多く、モンゴルで少なかった。中国北部では春と秋に、中国南西部では夏に異常少雨となる月が多かった。朝鮮半島から日本では7月に梅雨前線の活動が活発で異常多雨となった。

  3. アジア南部
  4. 年平均気温は全般に高く、年後半に広い範囲で異常高温となる月が多かった。年降水量は、パキスタンからインド、フィリピン南部で多く、インド北東部で少なかった。東南アジアでは北部で異常多雨となる月が多かったが、インドネシアでは年後半に異常少雨が見られた。インド付近では、パキスタンやインド西部を中心に異常多雨となる月が多かった。

  5. ヨーロッパ
  6. 年平均気温は全般に高かった。ヨーロッパ西部では4月以降、広い範囲で異常高温となる月が多かった。年降水量は、ヨーロッパ北部で多く、ヨーロッパ南部で少なかった。ヨーロッパの北部では秋以降に異常多雨が続き、南部では春以降に異常少雨となる月が多かった。

  7. アフリカ・中東
  8. データのある地域については、年平均気温は全般に高かった。アフリカ北部から中東では6月や8月などに広い範囲で異常高温となった。年降水量はアフリカ北西部の大部分、アフリカ南東部からインド洋西部で多く、アフリカ北西部や中東の一部で少なかった。

  9. 北アメリカ
  10. 年平均気温は北米北西部を除いて全般にかなり高かった。1月や4月などに広い範囲で異常高温となった。年降水量はカナダ東部から米国北東部、カナダ中部から米国北西部、米国南西部からメキシコ西部沿岸部、カリブ海東部周辺で多く、米国中部で少なかった。米国北東部では6月、9月、10月に異常多雨となった。

  11. 南アメリカ
  12. データのある地域については、年平均気温は全般に高く、異常高温となる月が多かった。年降水量はベネズエラ付近やチリ南部で多かった。ベネズエラ付近では年前半に異常多雨となる月が多かった。

  13. オセアニア
  14. 年平均気温はオーストラリア東部の内陸部、ミクロネシアからポリネシア南部で高く、オーストラリアの沿岸部では低かった。オーストラリアでは4~5月に広い範囲で異常低温となった。年降水量はオーストラリア北西部、メラネシア北部などで多く、オーストラリア南東部やインド洋東部で少なかった。オーストラリア南東部では年後半に異常少雨となる月が多かった。

世界の主な気象災害(2006年1月~12月:OFDA/CRED国際災害データベース等により作成)

現象地域(時期)概要
大雨 日本~朝鮮半島(7月) 梅雨前線の活動が活発で大雨となり、日本で30人、韓国で40人以上、北朝鮮で270人以上の死者が報じられた。
寒波 中国・中央アジア(1月)、アフガニスタン(1~2月) 中国のシンチャンウイグル自治区やキルギス、タジキスタンで大雪などにより合計20人以上、アフガニスタンでも1月から2月の寒波・大雪により合計60人以上が死亡したと報じられた。
洪水 中国(4~10月) 中国南部を中心に洪水が各地で発生し、合計400人以上の死者が報じられた。
台風 中国南東部(5~8月) 5月に台風第1号(チャンチー)、7月に第4号(ビリス)と第5号(ケーミー)、8月に第6号(プラピルーン)と第8号(サオマイ)が、中国南東部に接近・上陸し、合わせて1400人以上の死者が報じられた。
黄砂 中国、韓国(4月) 4月上旬と中旬に大規模な黄砂が発生した。
干ばつ 中国(1~10月)8月に中国南西部、10月から11月には東北区から華南で干ばつの被害が報じられた。
大雨・地滑り インドネシア(1~2月、6月)、フィリピン(2月) インドネシアでは大雨や地すべりにより、1月から2月に合計300人以上、6月にはスラウェシ島で230人以上の死者が報じられた。2月中旬にはフィリピンのレイテ島で大規模な地滑りにより1000人以上が死亡したと報じられた。
台風 フィリピン・ベトナム(5月、9~12月) フィリピンでは5月の台風第1号(チャンチー)、9月末の第15号(シャンセン)、10月末の第19号(シマロン)、11月末の第21号(ドリアン)により合計1000人以上の死者が伝えられた。ベトナムでは台風第1号、第15号、第21号により合計350人以上の死者が報じられた。
大雨 タイ(5月、8~10月) 5月にタイ北部ではモンスーン開始期の大雨により110人以上、8月以降のモンスーンや台風第15号(シャンセン)が弱まった低気圧による大雨などにより、合わせて150人以上が死亡したと報じられた。
森林火災 東南アジア(9~10月) インドネシア西部やスマトラ島で少雨に伴う森林火災が伝えられた。
大雨・地すべり インドネシア、マレーシア(12月) 12月後半に、インドネシア北部やマレーシアで大雨となり、合わせて200人以上の死者が報じられた。
寒波 インド(12~1月) 前年12月からの寒波により、インドで150人以上の死者が報じられた。
大雨・洪水・地滑り インド・パキスタン(5~8月)、ネパール(8月) モンスーンの大雨・洪水・地すべりにより、インド全体で900人以上、パキスタンで400人以上、ネパールでは8月から9月に150人以上が死亡したと報じられた。
低気圧、熱帯低気圧 インド、バングラデシュ(9~10月) 9月のモンスーン低気圧や10月のトロピカルストームにより、インド東部で100人以上、バングラデシュで110人以上の死者が報じられた。
寒波 ヨーロッパ(前年12月~1月) 前年12月中旬から1月末にかけてたびたび寒波に見舞われ、ロシアやヨーロッパ東部で合わせて1000人以上の死者が報じられた。
融雪洪水 ヨーロッパ中部、東部(3~4月) ドナウ川流域などで融雪洪水の被害が報じられた。
熱波 ヨーロッパ(6~7月) 熱波により、ヨーロッパ中部を中心に合わせて2000人以上の死者が報じられた。
大雨 アフガニスタン(11月) アフガニスタン西部で11月中旬に続けて大雨が発生し、合わせて160人以上が死亡したと報じられた。
干ばつ、大雨 アフリカ東部(1~11月) 年前半はアフリカ東部の各国では干ばつの被害が報じられたが、8月にはエチオピアで洪水により800人以上、その後もソマリア、ケニアなどで大雨の被害が多く発生し、11月にはアフリカ東部で合計100人以上の死者が報じられた。
熱波 米国(7~8月) 米国西部は7月中旬から下旬に、北東部は8月上旬に熱波に見舞われた。カリフォルニア州、ニューヨーク市などで合計180人以上が死亡したと報じられた
大雨 コロンビア(1~4月) 1月から4月に大雨が多く発生し、合計150人以上の死者が報じられた。
干ばつ オーストラリア(年後半) 6月以降の降水量が史上最低水準となり、小麦の収穫量は2005年の4割弱と伝えられた。

年平均気温偏差規格化階級分布図

年平均気温偏差規格化階級分布図

年降水量平年比階級分布図

年降水量平年比階級分布図


異常高温・異常低温出現頻度分布図

異常高温・異常低温出現頻度分布図

異常多雨・異常少雨出現頻度分布図

異常多雨・異常少雨出現頻度分布図

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