八甲田山[はっこうださん] Hakkodasan【常時観測火山】
北緯40°39′32″ 東経140°52′38″ 標高1,585m (大岳)(三角点・八甲田山) |
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![]() 八甲田山全景 南側上空から 2002年12月3日 気象庁撮影 |
概要
少なくとも17以上の成層火山や溶岩ドームからなり、南北2群に区分される。北群は北八甲田火山群、南群は南八甲田火山群と呼ばれる。それぞれの活動時期は、前者が約40万年前~現在、後者が約110~30万年前である。南群・北群の諸火山は主に玄武岩~安山岩、一部がデイサイトで構成され、全岩SiO2量は49.4~63.2 wt.% である。北八甲田火山群の最高峰である大岳南西山麓の酸ヶ湯~地獄沼付近には噴気孔が点在する。北八甲田火山群の直下~北東には、約100~40万年前に発生した複数回の大規模火砕流噴火(デイサイト~流紋岩質)によって形成された直径約9 kmの八甲田カルデラが存在する。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載 した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
最近6000年間に北八甲田火山群で少なくとも8回の噴火活動があり、水蒸気噴火やブルカノ式噴火が発生した。8回の活動のうち、4回が大岳山頂部、1回がおそらく大岳からの噴火、最新の3回は大岳南西麓の地獄沼での噴火である。地獄沼では、西暦915年の十和田a火山灰(To-a)の堆積以降の13~14世紀に1回、15~17世紀に2回の水蒸気噴火が発生している。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 八甲田山 有史以降の火山活動
年代 現象 活動経過・被害状況等 1986(昭和61)年 地震 北西山麓で地震多発。8月10~12日。
最大は10日17:50、M4.8、八甲田温泉、酸ヶ湯(すかゆ)等で有感、萱野茶屋等で軽微な被害。1997(平成9)年 火山ガス 7月12日。北東山麓の田代平で、窪地内に滞留していた炭酸ガスにより、レンジャー訓練中の陸上自衛隊員3名が死亡。 2010(平成22)年 火山ガス 6月20日。酸ヶ湯付近で、火山性ガス(硫化水素)によって、山菜採りの女子中学生が死亡。 2011(平成23)年 地震 3月~ 東北地方太平洋沖地震(3月11日)以降、八甲田山周辺で地震が増加した状態で経過。 2013(平成25)年 地震・地殻変動 2月以降、大岳山頂直下付近等で微小な火山性地震が増加。2月頃~10月頃山体の膨張を示す地殻変動。
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付加している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関の協力の下、八甲田山の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 八甲田山の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 八甲田山の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。