気象庁ロゴ阿蘇山火山防災連絡事務所 草千里

気象庁公式マスコット”はれるん”火山観測に関係する用語

遠望観測:えんぼうかんそく

 火山を定まった地点から遠望し、噴煙の高さ、色、噴出物(火山灰、噴石など)、 火映などの発光現象等を観測することです。
 火山監視・警報センターでは、常時観測火山に設置した火山遠望観測装置により、火山活動を24時間監視しています。
 また阿蘇山火山防災連絡事務所でも阿蘇中岳の第一火口や火口付近の様子をこの装置を使って監視できます。

火山ガス観測:かざんがすかんそく

 火口から放出される火山ガスには、マグマに溶けていた水蒸気(水)や二酸化硫黄、硫化水素など様々な成分が含まれています。
 阿蘇山の中岳第一火口では、活動が穏やかな時も常に二酸化硫黄を放出しており、マグマの活動が活発になると二酸化硫黄の放出量が増加します。
 阿蘇山火山防災連絡事務所では、太陽散乱光のうちの特定波長紫外線を二酸化硫黄が吸収する性質を用いて放出量を観測しています。

トラバース観測のイメージ  パンニング観測のイメージ
上図のようにガスのセンサーを取り付けた車で往復したり、センサー動かしてガスを輪切りにするイメージです。これを数度繰り返して平均をとります。
最新のガス観測のデータはこちら

火山性地震:かざんせいじしん

 火山体またはその周辺で発生し、震源の深さが10kmより浅い地震のことで、地下で何らかの破壊現象が起きて発生すると考えられています。
 火山性地震にはA型地震、B型地震、爆発地震等があります。
 A型地震は、マグマの活動に伴う火道周辺での岩石破壊などを原因として発生します。 一般的には構造性の地震と同じで、P波、S波の相が明瞭です。
 B型地震は、火道内のガスの移動やマグマの発砲などが原因として発生すると考えられています。 火口周辺の比較的浅い場所で発生するものと火山体等の深い場所で発生するものがありますが、 相が不明瞭のため震源が求まるものは少数です。
 爆発地震は噴火の衝撃による地震で、同時に空振波や特殊な表面波も記録することがあります。
 火山性地震は火山によっては火山活動が活発化すると多発する傾向があります。

火山性地震についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

火山性微動:かざんせいびどう

 火山付近で観測されるマグマの活動に起因する連続した振動のことです。
 火山性地震とは異なり震動が数十秒から数分、時には何時間も継続します。
 マグマ溜りや火道内でのマグマや火山ガスの固有振動、マグマが地割れの中を移動する際に起こす振動等が微動の原因と考えられています。 火山活動が活発化した時や火山が噴火した際に多く観測されます。
 また阿蘇山では
孤立型微動という阿蘇山特有の微動が発生します。
火山性微動についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

孤立型微動:こりつがたびどう

 阿蘇山特有の火山性微動で、平穏時でも1日に数個から数十個くらい発生しており、 活動が活発化すると数百から数千個にまで増えることがあり、この微動の増減が阿蘇山の火山活動を評価する指標の一つになっています。
 火口直下のごく浅い場所で発生し、周期0.5~1.0秒程度で、振幅が一定以上の微動が孤立的に現れます。 阿蘇山では振幅5μm/s以上のものを孤立型微動として記録しています。
 発生のメカニズムは火山ガスや地下水が発生に起因していると考えられていますが詳細は不明です。

GPS観測:じーぴーえすかんそく

 火山活動域周辺の狭い領域において、定まった観測点にGPS観測装置を設置し、 ローカルな領域での地殻変形を観測することで、火山活動の状態を監視します。

震動観測:しんどうかんそく

 火山及びその周辺に発生する火山性地震、火山性微動等を観測することです。
 気象庁は震源や波形を解析して、火山活動の状態の把握に努めています。

地殻変形観測:ちかくへんけいかんそく

 地下のマグマ活動等により火山体やその周辺の地殻が傾斜変化したり、膨張・収縮したりします。 そこで火山体周辺に傾斜計やGPSを設置し、それらによって地殻の動きを観測することにより、地下の活動を把握するものです。

地磁気観測:ちじきかんそく

 火山体内部のマグマ等が活動すると、火山近傍の地磁気の値が変化します。 そこでこのような地磁気の変化を観測し、火山内部の熱的状態等を把握するものです。
地磁気観測についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

熱観測:ねつかんそく

 熱映像装置により、火口やその周辺の温度分布を面的に捕らえ、広範囲にわたった熱活動の状態を観測することです。
 阿蘇山火山防災連絡事務所ではこの熱映像装置の他、赤外放射温度計も用いて火口壁の噴気孔の温度や
湯だまりの温度、噴気を上げていない火口壁や火口底の温度も観測し、阿蘇山の火山活動を注意深く監視しています。

微動停止:びどうていし

 阿蘇山では火山活動が活発な時は振幅の大きい火山性微動が連続して発生しますが、この連続微動が急激に小さくなることを微動停止と呼んでいます。
 過去に阿蘇山では微動停止後に爆発的な大きな噴火がありました。 そこで福岡火山監視・警報センターでは微動停止を噴火の前兆現象の一つとして考え、24時間、注意深く監視しています。
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