平成28年 No.14 週間火山概況 (3月25日~3月31日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

29日に霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)に噴火予報を発表し、火口周辺危険から活火山であることに留意へ引き下げました。その他の火山については、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 3月31日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
噴火警報 レベル5(避難) 口永良部島※
火口周辺警報 入山危険 西之島※
レベル3(入山規制) 桜島
レベル2(火口周辺規制) 吾妻山、草津白根山、浅間山、御嶽山、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) アトサヌプリ、雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、倶多楽、有珠山、北海道駒ヶ岳、恵山、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、安達太良山、磐梯山、那須岳、新潟焼山、焼岳、白山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、三宅島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島
活火山であることに留意 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1 噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(3月31日現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


吾妻山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 大穴火口付近直下が震源とみられる火山性地震が28日から増え始め、30日に49回、31日に33回発生するなど多い状態となっています(図2)。今期間の地震回数は106回でした(前期間:2回)。
 火山性微動は観測されていません。
 遠望カメラの観測では、大穴火口からの噴気の高さは100m以下で経過しており、特段の変化は認められません。
 31日に実施した現地調査では、大穴火口の噴気に変化はみられず、大穴火口周辺の地熱域に拡大等の変化は認められませんでした。
 浄土平の傾斜計1)では、2014年7月頃から西南西側(火口方向側)上がりの変動で推移した後、2015年7月頃から停滞していましたが、2015年9月頃から西側下がりの傾向となっています。
 GNSS2)連続観測では、2014年9月頃から一切経山の膨張を示す緩やかな変化がみられていましたが、2015年7月頃から停滞しています。
 大穴火口付近では小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大穴火口周辺(火口から概ね500mの範囲)では弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、大穴火口の風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石3)、火山ガスに注意してください。
 吾妻山 火山性地震の日別回数(2016年3月1日~31日)  

図2 吾妻山 火山性地震の日別回数(2016年3月1日~31日)


草津白根山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 湯釜火口内北東部や北壁及び水釜火口の北から北東側にかけての斜面で熱活動の活発な状態が継続しています。また、東京工業大学によると、2015年9月以降、北側噴気地帯で噴気活動が活発化しています。北側噴気地帯のガス組成及び湯釜湖水の化学成分に、火山活動の活発化を示す変化が観測され、その状態が継続しています。
 2014年3月上旬から湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が増加しましたが、2014年8月下旬以降概ね少ない状態で経過しています。
 GNSS2)観測によると、湯釜を挟む基線で2014年4月頃からわずかな伸びの変化がみられていましたが、2015年11月頃より停滞しています。また、湯釜周辺に東京工業大学が設置した傾斜計1)によると、2014年3月から観測されている湯釜付近浅部での膨張を示す変動は、2015年11月頃から停滞傾向が認められます。全磁力4)観測によると、2014年5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示すと考えられる変化は、2014年7月以降停滞しています。
 小規模な噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。


浅間山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 2015年6月19日の噴火後、噴火は観測されていません。今期間、山頂火口において火映5)は観測されませんでした。
 火口からの噴煙は白色で、28日に一時的に火口縁上600mまで上がったほかは、火口縁上概ね300m以下で経過しています。29日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量6)は1日あたり300トン(前回16日200トン)とやや少ない状態でした。
 2015年4月下旬頃から増加している山頂直下のごく浅い所を震源とする体に感じない火山性地震は、やや多い状態で経過しています(図3)。
 光波測距観測7)では、2015年6月頃から山頂と追分の間でみられていた縮みの傾向が、10月頃から停滞しています。傾斜計1)による地殻変動観測では、2015年6月上旬頃から緩やかな変化がみられており、鈍化しながらも継続しています。GNSS2)の観測で、2015年5月頃から浅間山を挟む基線でみられていたわずかな伸びは、10月頃から停滞しています。
 山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。登山者等は地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石3)に注意してください。
 浅間山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~2016年3月31日)(矢印はごく小規模な噴火を示す)  

図3 浅間山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~2016年3月31日)(矢印はごく小規模な噴火を示す)


御嶽山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 2014年10月以降噴火の発生はなく、火山活動は緩やかな低下傾向が続いています。今期間、山頂火口からの噴煙は白色で、28~29日に一時的に火口縁上800~1,100mまで上がったほかは、火口縁上概ね600m以下で経過しています。
 火山性地震は、少ない状態で経過していますが、2014年8月以前の状態には戻っていません。
 地殻変動観測では火山活動の高まりを示す変化は観測されていません。
 火口列からの噴煙活動や地震活動は続いており、今後も小規模な噴火が発生する可能性があります。火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石3)に注意してください。


西之島 [火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]

 29日に海上保安庁が実施した上空からの観測では、観測中(13時12分~13時17分)に、第7火口及びその付近からの噴火・噴煙は認められませんでした。第7火口の火口縁及び第7火口付近の溶岩流で若干温度が高い部分が認められましたが、顕著な高温域等の特異事象は認められませんでした。また、西之島周辺に薄い褐色の変色水が幅約200~1,500mで分布していました。
 これまでの観測によると、2013年11月以降、西之島では噴石等を放出する噴火や溶岩の流出が続いていましたが、2015年11月下旬以降はいずれも確認されていません。12月以降は地表面温度の低下が確認されています。
 表面的な活動に低下が認められるものの、これまで2年以上活発な火山活動が続いてきたことから、火口から概ね1.5kmの範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 火山性地震は少ない状態で経過しています。今期間、火山性微動は観測されませんでした。28日06時28分頃に空振を伴う振幅の大きな地震が発生しました。この地震の前後でその他のデータに特段の変化は認められませんでした。
 29日に海上保安庁が実施した上空からの観測では、阿蘇台陥没孔から高さ約10~20mの白色の噴気が噴出していました。北ノ鼻付近にある2015 年8月7日の水蒸気噴火跡からは噴気・噴煙等は認められませんでしたが、噴火口の東側の海岸線付近からは、活発な噴気活動が認められました。摺鉢山、ミリオンダラーホール(旧噴火口)及びその他の場所で、噴気・噴煙等の特異事象は認められませんでした。
 GNSS2)観測によると、地殻変動は隆起・停滞を繰り返しています。2014年以降は、島の北部ほど隆起が大きい状態が継続しています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で経過しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生した地点(ミリオンダラーホール(旧噴火口)等)及びその周辺では引き続き噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 29日に海上保安庁が実施した上空からの観測では、変色水等の特異事象は認められませんでした。
 これまでの海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁による観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されるなど、やや活発な状態で経過しています。今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 中岳第一火口では、今期間噴火は観測されていません。
 遠望観測では、白色の噴煙が最高で火口縁上700mまで上がりました。
 火山性微動の振幅は、概ね小さな状態で経過しました(図4)。孤立型微動8)は概ね多く、火山性地震は概ね少ない状態でした。
 GNSS2)連続観測では、深部にマグマだまりがあると考えられている草千里を挟む基線で、2015年8月頃からわずかな伸びの傾向が認められていましたが、11月頃から停滞しています。
 中岳第一火口では、時々小規模な噴火が発生していることから、今後も火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性があります。
 中岳第一火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)及び火砕流9)に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石3)に注意してください。
 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年11月1日~2016年3月31日)  

図4 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年11月1日~2016年3月31日)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山性地震は少ない状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。
 傾斜計1)では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。
 GNSS2)連続観測によると、新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張を示す地殻変動は、2015年1月頃から停滞しています。一方、新燃岳周辺の一部の基線では、わずかな伸びの傾向が認められていましたが、2015年10月頃から停滞しています。
 新燃岳では火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性がありますので、新燃岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)(火山れき10))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 昭和火口では、爆発的噴火が3回発生しました。26日02時48分と同日10時44分に発生した爆発的噴火では、共に、噴煙が火口縁上2,700mまで上がり、弾道を描いて飛散する大きな噴石が4合目(昭和火口より800から1,300m)まで達しました。南岳山頂火口では噴火が3回発生し、噴煙が最高で火口縁上2,000mまで上がりました。
 26日に実施した現地調査では、桜島島内の鹿児島市黒神町付近(昭和火口の東側約4km)で、26日10時44分の爆発的噴火に伴って落下したと推定される最大約8mmの小さな噴石3)(火山れき10))を確認しました。
 火山性地震は少ない状態で経過しました。また、振幅の小さな火山性微動が発生しています。
 地殻変動観測では、姶良カルデラの膨張が続いていることから、火山活動のさらなる活発化の可能性もあり、火山活動の推移に注意が必要です。
 昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)及び火砕流9)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)(火山れき10))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。


口永良部島 [噴火警報(噴火警戒レベル5、避難)及び火山現象に関する海上警報]

 新岳では、2015年6月19日の噴火後、噴火は観測されていません。
 遠望観測では、白色の噴煙が最高で火口縁上300mまで上がりました。
 火山性地震は少ない状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。
 25日と27日に東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び気象庁が実施した観測では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量6)は、1日あたり80~100トン(前回4日90トン)とやや少ない状態でした。
 現地調査では、期間を通して火口周辺の地形や噴気等の状況に変化はみられませんでした。また、赤外熱映像装置11)による観測では、2015年3月頃から5月29日の噴火前に温度上昇が認められていた新岳火口西側割れ目付近の熱異常域の温度は、引き続き低下した状態であることを確認しました。
 噴火に伴う大きな噴石3)の飛散が予想される新岳火口から概ね2kmの範囲及び火砕流9)の流下による影響が及ぶと予想される新岳火口の西側の概ね2.5kmの範囲では、厳重な警戒(避難等の対応)をしてください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石3)が遠方まで風に流されて降るため注意してください。降雨時には土石流の可能性があるため注意してください。
 新岳火口から半径1.4海里以内の周辺海域では、噴火による影響が及ぶおそれがありますので、噴火に警戒してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 御岳(おたけ)火口では、噴火が4回発生し、そのうち爆発的噴火が2回発生しました。噴煙が最高で火口縁上1400mまで上がりました。
 十島村役場諏訪之瀬島出張所によると25日から27日に鳴動を確認しました。
 同火口では、期間を通して夜間に高感度カメラで火映5)を観測しました。
 火山性地震は少ない状態で経過しました。火山性微動は時々発生しました。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。



【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】

神津島 [噴火予報(活火山であることに留意)]

 29日16時05分頃に天上山付近のごく浅いところが震源とみられる低周波地震が観測され、傾斜計1)に天上山方向がわずかに上がるような変動が観測されました。
 遠望観測では特段の変化は認められず、その前後に地震活動はありませんでした。
 29日に海上保安庁が実施した上空からの観測では、天上山山頂及び付近に噴気・噴煙等の特異事象は認められませんでした。
 30日に実施した現地調査では、天上山山頂周辺に噴気、立ち枯れ等の異常は認められませんでした。赤外熱映像装置11)による観測でも地熱域は認められませんでした。
 その他のデータにも特段の変化は認められず、噴火の兆候は認められません。


霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺) [噴火予報(活火山であることに留意)]←3月29日に火口周辺警報(火口周辺危険)から引下げ

 火山性地震は少ない状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。
 遠望カメラによる観測では、噴気の高さは概ね20mで経過し、特段の変化は認められませんでした。
 29日に実施した現地調査では、硫黄山の火口周辺で引き続き噴気活動が認められました。赤外熱映像装置11)による観測では、引き続き熱異常域を確認しました。これまでに確認されていた噴気地帯の状況に大きな変化は認められませんでした。
 これらのことから、えびの高原(硫黄山)周辺の火山活動は低下しており、硫黄山周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められなくなったと判断し、29日10時00分に噴火予報を発表し、火口周辺警報(火口周辺危険)から噴火予報(活火山であることに留意)に引き下げました。
 硫黄山周辺では噴気と熱異常域の拡大が引き続き認められていますので、今後の活動の推移に注意が必要です。
 火口周辺では火山ガスに注意してください。活火山であることから、規模の小さな噴出現象が突発的に発生する可能性がありますので、留意してください。地元自治体が実施している立入規制等に留意してください。



上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。1μrad(マイクロラジアン)は1km先が1mm上下するような変化量です。
2) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
3) 噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
4) 火山体の南側で全磁力を観測した場合、全磁力値が減少すると火山体内部で温度上昇が、全磁力値が増加すると火山体内部で温度低下が生じていると推定されます。
5) 火映は赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象です。
6) 火口から放出される火山ガスには、マグマに溶けていた水蒸気や二酸化硫黄、硫化水素など様々な成分が含まれており、これらのうち、二酸化硫黄はマグマが浅部へ上昇するとその放出量が増加します。気象庁では、二酸化硫黄の放出量を観測し、火山活動の評価に活用しています。
7) レーザなどを用いて山体に設置した反射鏡までの距離を測定する機器を用いて、山体の膨張や収縮による距離の変化を観測します。
8) 阿蘇山特有の微動で、火口直下のごく浅い場所で発生しており、周期0.5~1.0秒、継続時間10秒程度で、中岳西山腹観測点の南北動の振幅が5μm/s以上のものを孤立型微動としています。
9) 火山灰や岩塊、空気や水蒸気が一体となって急速に山体を流下する現象です。火砕流の速度は時速数十km から百数km、温度は数百℃にも達することがあります。
10) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
11) 赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器です。熱源から離れた場所から測定することができる利点がありますが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合があります。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。

表2 火山現象に関する警報等の発表履歴 (3月25日~3月31日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
29日 14時00分 霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺) 噴火予報 活火山であることに留意に引下げ
26日 03時03分 桜島 降灰予報(速報) 噴火発生から1時間以内に予想される降灰量分布や小さな噴石の落下範囲を予想
26日 10時56分
26日 22時40分
26日 03時17分 桜島 降灰予報(詳細) 噴火発生から6時間先までに予想される降灰量分布や降灰開始時刻を予想
26日 11時11分
26日 23時00分
30日 18時10分 諏訪之瀬島
30日 20時05分
毎日 02時から3時間毎に8回 阿蘇山
桜島
口永良部島
諏訪之瀬島
降灰予報(定時) 噴火した場合に予想される、降灰範囲及び小さな噴石の落下範囲を予想

【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 活火山であることに留意

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:活火山であることに留意)で発表します。
※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。



このページのトップへ