平成27年 No.34 週間火山概況 (8月14日~8月20日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

15日に桜島に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引上げました。その他の火山については、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 8月20日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
噴火警報 レベル5(避難) 口永良部島※
レベル4(避難準備) 桜島
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 箱根山
入山危険 西之島※
レベル2(火口周辺規制) 雌阿寒岳、吾妻山、草津白根山、浅間山、御嶽山、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、安達太良山、磐梯山、那須岳、新潟焼山、焼岳、富士山、伊豆東部火山群、伊豆大島、三宅島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島
活火山であることに留意 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1 噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(8月20日現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


雌阿寒岳 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動は活発な状態で経過しています。
 ポンマチネシリ火口付近の浅いところを震源とする、身体には感じない程度の微小な火山性地震は引き続き多い状態が続いています(図2)。
 また、ポンマチネシリ火口付近では、地熱域が拡大し噴煙の勢いが増加しているのが認められています。
 全磁力連続観測によると、ポンマチネシリ96-1火口近傍の地下では、2015年3月中旬以降熱活動が活発化している可能性があります。
 ポンマチネシリ火口から約500mの範囲では、ごく小さな噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰や小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。
 雌阿寒岳 火山性地震の発生状況(日回数及び積算回数 2015年3月1日~8月20日)  

図2 雌阿寒岳 火山性地震の発生状況(日回数及び積算回数 2015年3月1日~8月20日)


吾妻山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 大穴火口付近直下が震源とみられる火山性地震は6回発生しました(前期間14回:図3)。火山性微動は観測されていません。
 浄土平の傾斜計2)では、2014年4月以降緩やかな西側(火口方向側)上がりの変動が継続していましたが、2015年7月頃から停滞しています。GNSS3)連続観測では、2014年9月頃から一切経山(いっさいきょうざん)の膨張を示す緩やかな変化がみられていましたが、2015年6月頃から停滞しています。
 大穴火口からの噴気はやや活発な状態が続いており、一切経山南山腹の大穴火口外の噴気も引き続き認められています。
 大穴火口付近では小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大穴火口周辺(火口から概ね500mの範囲)では弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、大穴火口の風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)、火山ガスに注意してください。
 吾妻山 火山性地震の発生状況(2014年4月1日~2015年8月20日)  

図3 吾妻山 火山性地震の発生状況(2014年4月1日~2015年8月20日)


草津白根山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 2014年3月上旬から湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が増加しました。2014年8月20日以降はやや少ない状態で経過していますが、2015年1月以降一時的な火山性地震の増加もみられています。
 GNSS3)観測によると、湯釜を挟む基線で2014年4月頃からわずかな伸びの変化がみられていましたが、2015年4月頃より鈍化しています。また、湯釜周辺に東京工業大学が設置した傾斜計2)によると、2014年3月から湯釜付近浅部での膨張を示す変動が継続しています。全磁力観測によると、2014年5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は、2014年7月以降停滞しています。
 湯釜火口内北東部や北壁及び水釜火口の北から北東側にあたる斜面で熱活動の活発な状態が継続しています。また、北側噴気地帯のガス組成及び湯釜湖水の化学成分の活動活発化を示す変化が継続しています。
 今後、小規模な噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。


浅間山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 6月19日の噴火以降、噴火は観測されていませんが、火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 山頂火口で、夜間に高感度カメラで確認できる程度の微弱な火映4)を引き続き観測しています。火口からの噴煙は白色で、火口縁上200~900mで経過しています。噴煙量は6月以降、増加傾向がみられます。
 4月下旬頃から増加している山頂直下のごく浅い所を震源とする体に感じない火山性地震は、やや多い状態で経過しています(図4)。
 国土地理院のGNSS3)連続観測によると、6月頃から浅間山を挟む基線で小さな伸びがみられます。傾斜計2)による地殻変動観測では、6月上旬頃から山頂西側のやや深いところを膨張源とする緩やかな変化がみられており、7月下旬頃からは鈍化しながらも継続しています。光波測距観測5)では、6月頃から山頂と追分の間で縮みの傾向がみられており、山頂部のごく浅いところの膨張によるものである可能性があります。
 山頂火口から概ね2kmの範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒が必要です。登山者等は地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。
 浅間山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~8月20日)  

図4 浅間山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~8月20日)


御嶽山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 山頂火口からの噴煙は、白色で火口縁上100~900mで経過しています。
 火山性地震は、少ない状態で経過していますが、2014年8月以前の状態には戻っていません。
 御嶽山では、火山活動は低下した状態が継続しており、2014年10月中旬以降、噴火は観測されていません。地殻変動観測では火山活動の高まりを示す変化は観測されていません。
 一方、弱いながらも噴煙活動や地震活動が続いていることから、2014年9月27日よりも規模の小さな噴火が突発的に発生する可能性は否定できません。
 御嶽山では、火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性がありますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。


箱根山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 火山活動は活発な状態で経過しています。
 17日に箱根町湯本で震度1を観測する地震が発生しました。震度1以上を観測したのは、7月3日以来です。火山性地震は、7月以降減少しており、今期間は少ない状態で経過しました。低周波地震及び火山性微動は観測されていません。
 14日以降実施した現地調査及び大涌谷に設置している遠望カメラによる観測では、6月29日以降に大涌谷で確認した火口や噴気孔、またその周辺の大涌谷温泉供給施設から引き続き蒸気が勢いよく噴出しているのを確認しています。
 国土地理院のGNSS3)連続観測によると、箱根山周辺の基線で4月から山体の膨張を示す地殻変動がみられています。6月以降は一部の基線で伸びの速度がやや低下したものの、引き続き山体の膨張を示す地殻変動がみられています。
 今後も小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大涌谷周辺の概ね1kmの範囲では小規模な噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰や小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。


西之島 [火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]

 西之島では活発な噴火活動が続いています。
 19日に海上保安庁が上空からの観測を実施し、第7火口での噴火活動の継続を確認しました。
 第7火口の火口縁及び火砕丘北東斜面にある噴気孔から、青白色~白色の火山ガスが連続的に放出されており、白~黄色の火山昇華物が周辺に広く分布していました。また、火砕丘北東斜面の噴気孔から山頂までの場所が陥没し、その陥没部分に2015年7月6日の側噴火跡と考えられる凹地が認められました(図5)。
 火砕丘北東斜面から流出した溶岩は北方向と東北東方向に流れていました。また、溶岩トンネルを経由して東方向と南方向へも流れており、一部は海岸に達していました。
 西之島周囲の海岸線には、褐色の変色水が幅100~200mで分布していました。
 なお、西之島及び新たな陸地には、津波を発生させる恐れのある、海岸線に平行して走る断層やクラックは認められませんでした。
 新たな陸地の大きさは、東西約1,980m、南北1,970mとなり、2015年6月18日の時に比べて東西方向は変化がなく、南北方向は約120m減少していました。溶岩流により主に東南東方向には拡大していましたが、全般に波浪による浸食と思われる海岸線の後退が認められており、特に南岸での海岸線の後退が顕著でした。
 新たな陸地の面積は、2015年6月18日の2.70km2と比較すると0.01km2増加して2.71km2となりました。
 西之島では、今後も新たに形成された陸地にある火口で噴火活動が継続すると考えられます。また、西之島周辺の海底で噴火が発生する可能性も引き続き考えられ、噴火による影響が海上まで及んだ場合、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)や水面を高速で広がるベースサージ6)等の影響が概ね2kmの範囲に及ぶおそれがありますので、西之島の中心から概ね4km以内の範囲では噴火に警戒してください。
 西之島の状況 19日13時37分 海上保安庁提供  

図5 西之島の状況 19日13時37分 海上保安庁提供


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
 17日に海上保安庁が実施した上空からの観測によると、島北部の北の鼻付近に8月7日(期間外)に発生したごく小規模な噴火の跡と考えられる2ヶ所の凹地形が形成され、その周辺は噴出物により灰色に変色していました。凹地からは噴気等は噴出していませんでした(図6)。阿蘇台陥没孔、ミリオンダラーホール(旧噴火口)及び摺鉢山では噴気・噴煙は認められませんでした。また、硫黄島の周囲の海岸線から沖に向かって茶褐色の変色水が幅約500~1,000mで分布しているのを確認しました。さらに、硫黄島南岸の沖約600~800mの範囲で気泡の湧出とみられる青白色の変色水を確認しました。
 18日に海上自衛隊の協力により実施した上空からの観測によると、火口の位置は、北の鼻の活発な噴気地帯の少し南側の台地で、火口から西側の広い範囲に泥が飛散しているのを確認しました。周回道路までは達していませんでした。北の鼻の噴気地帯の噴気は多い状態でした。また、ミリオンダラーホール(旧噴火口)内で泥を噴出したような跡が確認できました。 
 国土地理院のGNSS3)観測によると、地殻変動は2014年12月上旬頃から隆起の傾向がみられ、2015年3月頃から隆起速度が上がっています。また、2015年4月中旬頃から西向きの変動速度が上がっていましたが、7月以降は以前の速度まで戻っています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で経過しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生した地点(ミリオンダラーホール(旧噴火口)等)及びその周辺では引き続き噴火に警戒してください。
 硫黄島 北の鼻付近の状況 17日13時47分 海上保安庁提供
白円内は7日(期間外)に噴火した火口の位置  

図6 硫黄島 北の鼻付近の状況 17日13時47分 海上保安庁提供
白円内は7日(期間外)に噴火した火口の位置


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 17日に海上保安庁が実施した上空からの観測によると、福徳岡ノ場付近の海面に変色水等は認められませんでした。
 18日に海上自衛隊の協力により実施した上空からの観測によると、薄い青白色の変色水が長さ100~200mで分布しているのを確認しました。
 これまでの観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されるなど、やや活発な状態で経過しており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 阿蘇山では、今期間噴火は観測されていません。
 遠望観測では、白色の噴煙が最高で火口縁上800mまで上がりました。
 18日に実施した現地調査では、141火孔7)内の湯だまり内にごく小規模な土砂噴出を確認しました。赤外熱映像装置8)による観測では、湯だまりの温度は約90℃と高い状態でした。141火孔7)南西側の噴気孔上部の温度は約70℃(前回11日:約70℃)でした。
 火山性微動の振幅は小さな状態となっています(図7)。孤立型微動は多い状態で経過しています。火山性地震は時々発生しています。
 GNSS3)連続観測では、深部にマグマだまりがあると考えられている草千里を挟む基線の伸びは2015年3月頃から停滞しています。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性がありますので、中岳第一火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。火口周辺では強風時に小さな噴石1)が1kmを超えて降るため、風下側では火山灰だけではなく小さな噴石1)にも注意してください。
 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年8月1日~2015年8月20日)  

図7 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年8月1日~2015年8月20日)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
 傾斜計2)では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。
 GNSS3)連続観測では、新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張を示す地殻変動は、2013年12月頃から伸びの傾向が見られていましたが、2015年1月頃から停滞しています。
 新燃岳では火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性がありますので、新燃岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき9))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


桜島 [噴火警報(噴火警戒レベル4、避難準備)]←15日に噴火警戒レベル3(入山規制)から引上げ

 桜島では、15日07時頃から島内を震源とする地震が多発しました。島内で震度1以上を観測した火山性地震は4回発生しています。また、桜島島内に設置している傾斜計2)及び伸縮計10)では山体膨張を示す急激な地殻変動が観測されました(図8、9)。
 このため、桜島では重大な影響を及ぼす規模の大きな噴火が発生する可能性があると考えられることから、同日10時15分に噴火警報(居住地域)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げました。
 火山性地震は多い状態で経過しています。火山性地震の震源は南岳直下付近の深さ0~4km付近に分布しています。火山性微動は少ない状態で経過しています。
 山体膨張を示す地殻変動は、16日頃から鈍化していますが、現在も膨張した状態が継続しています(図8、9)。
 16日、18日に実施した現地調査では、山頂付近は雲のため観測できませんでした。東側山麓から南側山麓にかけては、新たな熱異常域は認められませんでした。
 17日、19日に鹿児島県の協力により実施した上空からの観測では、山頂付近は雲のため観測できませんでした。南岳山頂火口及び昭和火口やその周辺では、新たな熱異常域は認められませんでした。
 19日、20日に東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所及び気象庁が実施した観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり100~200トン(前回7日200トン)と少ない状態でした。
 昭和火口及び南岳山頂火口から3km以内の有村町及び古里町では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)や火砕流に厳重な警戒(避難準備等の対応)をしてください。
 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)(火山れき9))に注意してください。降雨時には土石流に注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。
 桜島 有村観測坑道の傾斜変化(2015年8月15日~20日)  

図8 桜島 有村観測坑道の傾斜変化(2015年8月15日~20日)

 桜島 有村観測坑道のひずみ変化(2015年8月15日~20日)  

図9 桜島 有村観測坑道のひずみ変化(2015年8月15日~20日)


口永良部島 [噴火警報(噴火警戒レベル5、避難)及び火山現象に関する海上警報]

 口永良部島では、今期間噴火は観測されていません。
 遠望観測では、白色の噴煙が最高で火口縁上600mまで上がりました。
 火山性地震はやや多い状態でした(図10)。火山性微動は観測されていません。
 今後も、5月29日と同程度の噴火が発生する可能性があります。大きな噴石1)の飛散及び火砕流の流下が切迫している居住地域では、厳重な警戒(避難等の対応)をしてください。屋久島町の避難等の指示に従ってください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が遠方まで風に流されて降るため注意してください。
 降雨時には土石流の可能性があるため注意してください。
 新岳火口から半径2海里以内の周辺海域では、噴火による影響が及ぶ恐れがありますので、噴火に警戒してください。
 口永良部島 火山性地震の日別回数(2015年3月1日~8月20日)  

図10 口永良部島 火山性地震の日別回数(2015年3月1日~8月20日)


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 御岳(おたけ)火口では、15日13時46分にごく小規模な噴火が発生し、灰白色の噴煙が火口縁上900mまで上がりました。
 同火口では、夜間に高感度カメラで見える火映4)を14日から15日にかけて観測しました。
 火山性地震は時々発生し、火山性微動は断続的に発生しました。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。



上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1) 噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
2) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。1μrad(マイクロラジアン)は1km 先が1mm 上下するような変化量です。
3) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
4) 火映は赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象です。
5) レーザなどを用いて山体に設置した反射鏡までの距離を測定する機器。山体の膨張や収縮による距離の変化を観測します。
6) 火山ガスと火山灰等の混合物が、水面や地表面を高速で横方向に広がり、地表の物を巻き込む現象で、人体や建物、船舶等に大きな被害を与える恐れがあり、とても危険です。
7) 阿蘇山では、火口内の火山灰や噴石を噴出する孔を火孔と呼んでいます。火山活動に伴い、火孔の位置が変わったり、同時に複数個の火孔が開口したりしたことがあり、明瞭に区別するために、141火孔のように西暦の下2桁と通し番号で命名しています。
8) 赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器です。熱源から離れた場所から測定することができる利点がありますが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合があります。
9) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
10) 火山活動による地殻の伸び縮みを観測する機器。マグマ溜まりや火道内の圧力増加によって生じる火口周辺の変化が観測されることがあります。1nstrain(ナノストレイン)は1kmの長さのものが1000分の1mm伸び縮みするような変化量です。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。

表2 火山現象に関する警報等の発表履歴 (8月14日~8月20日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
8月15日 10時15分 桜島 噴火警報 噴火警戒レベル4(避難準備)に引き上げ
毎日 02時から3時間毎に8回 阿蘇山
桜島
口永良部島
諏訪之瀬島
降灰予報(定時) 噴火した場合に予想される、降灰範囲及び小さな噴石の落下範囲を予想
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 活火山であることに留意

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:活火山であることに留意)で発表します。
※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。



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