2007年 No.7 火山の概況 (平成19年2月9日 〜 平成19年2月15日)


【噴火した火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
10日及び13日に爆発的噴火が発生した。

【活発もしくはやや活発な状況の火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の熱活動はやや活発な状態が続いている。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
御嶽山 [やや活発な状況]
火山性微動が発生し、火山性地震もやや多い状態が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
硫黄島 [やや活発な状況]
大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながらも継続している。
霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)
9日に振幅の小さな火山性微動が発生した。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
今期間噴火は発生しなかったが、長期にわたり噴火活動は活発な状態が続いている。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。

注2 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では、昨年1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態が続いている。今期間の噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
 火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
 十勝岳の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
 樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。


● 御嶽山  [やや活発な状況]

 今期間、振幅の小さな火山性微動が7回発生した(前期間17回)。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 気象庁及び国土地理院のGPSによる地殻変動観測では、昨年12月以降、御嶽山の地下での膨張を示すと考えられるわずかな伸びの変化が続いている。
 御嶽山では火山活動がやや活発な状況となっており、山頂付近では注意が必要である。
 なお、遠望カメラ(剣ヶ峰けんがみねの南東約14kmに設置)では噴気などの表面現象に特に異常は見られなかった。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
 今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
 三宅島では多量の火山ガスの放出が続いており、特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。


● 硫黄島 [やや活発な状況]

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、島内の地震活動は落ち着いた状態となっているが、昨年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら継続している。
 硫黄島では火山活動がやや活発な状況となっており、従来から小規模な水蒸気爆発が繰り返されてきた島北部の元山地域を取り囲む円周上の領域(東部や北部の海岸部から阿蘇台陥没孔あそだいかんぼつこうから千鳥ヶ原ちどりがはらにかけて)では、今後も注意が必要である。


● 霧島山(御鉢)  [やや活発な状況(レベル2)]

 5日(前期間)に振幅のやや大きな火山性微動が発生し、その後9日にも振幅の小さな火山性微動が発生した。
 御鉢の火山活動はやや活発な状況になっており、火口付近では注意が必要である。
 なお、遠望カメラ(御鉢火口の南西約5kmに設置)では火口縁を超える噴気は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 10日及び13日に南岳山頂火口で爆発的噴火が発生した。昭和火口では弱い噴気が時々観測された。
 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
 桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。また、火山性微動が時々観測された。
 薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 遠望カメラ(新岳しんだけ火口の北西約3kmに設置)による観測では15日に新岳火口周辺で高さ10m程度の弱い噴気が認められた。地殻変動に特段の変化はなかった。
 口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。


● 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 長期にわたり噴火を繰り返すなど火山活動は活発な状態が続いている。
 今期間、噴火は観測されず、火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。
 諏訪之瀬島の火山活動は活発な状態が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
御 嶽 山 火山観測情報第7号
2月13日
16:00
最近の火山活動評価。2月8日から2月13日13時の活動状況。
三 宅 島 火山観測情報第6号
2月9日
16:30
最近の火山活動評価。2月2日〜2月9日16時の活動状況。6日に行った火山ガス観測の結果。


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