2006年 No.10 火山の概況 (平成18年3月3日 〜 平成18年3月9日)
【噴火が観測された火山】
【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】
- ● 雌阿寒岳 [やや活発な状況]
- 火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
- ● 浅間山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動は引き続きやや活発で、火山ガスの放出量や火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 霧島山(新燃岳) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
図1 各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。
注2 記号の意味
▲:噴火が観測された火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状態にある火山
◇:静穏な状態にあるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。
【各火山の活動解説】
● 雌阿寒岳 [やや活発な状況]
火山性地震は、1日あたり3〜14回と引き続きやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。監視カメラ(火口の南南東約16kmに設置)による観測では、噴煙活動に特段の変化はなかった。
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
● 樽前山 [やや活発な状況]
今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱活動に大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
● 浅間山 [やや活発な状況 (レベル2)]
山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。期間中、火映は観測されなかった。
7日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり300〜700トンと前回(2月22日400〜900トン)と同程度で、依然としてやや多い状態が続いている。
火山性地震はやや多い状態が続き、1日あたり33〜73回で経過した。火山性微動は3日と6日に1回ずつ観測された。傾斜計およびGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。
● 三宅島 [やや活発な状況]
山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
6日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり2,000〜3,100トンと、依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回3日1,600〜2,800トン)。
8日に警視庁の協力を得て上空から行った観測では、山頂火口付近の状況に大きな変化はなかった。
火山性地震は、7日まで1日あたり6〜17回と少ない状態で経過していたが、8日以降やや増加し、8日は48回、9日は57回であった。火山性微動は観測されなかった。
● 霧島山(新燃岳) [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。今期間はやや少ない状態で経過した(今期間13回、前期間50回)。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況 (レベル2)]
御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。7日に火口縁上100mまで上がる噴気が観測された。
期間中、火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測でも特段の変化はなかった。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]
期間中、ごく小規模な噴火は観測されたが、爆発的噴火等1)は観測されなかった(前期間は爆発的噴火を1回観測)。噴煙の最高は7日のごく小規模な噴火で観測された火口縁上800m(灰白色)であった。鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)で降灰は観測されなかった。
火山性地震はB型地震2)が一時的に増加し4日に56回観測された。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測でも特段の変化はなかった。
1) 桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発的噴火もしくは一定の規模以上の噴火を桜島の噴火の回数として計数している。
2) 火山性地震には、通常の構造性地震と同じようなP波やS波が明瞭で高周波の波動からなるA型地震と、P波やS波が不明瞭な低周波のB型地震がある。桜島のA型地震はマグマ等の貫入に伴い地殻が破壊されるために発生していると考えられ、B型地震はマグマ内の火山ガスの発泡等によって火道内で発生する地震とされている。