2006年 No.6 火山の概況 (平成18年2月3日 〜 平成18年2月9日)

【噴火が観測された火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
6日に爆発的噴火が1回観測された。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
6日から爆発的噴火の多い状態が続き、1日あたり20〜62回観測された。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。3日に火山性微動が観測された。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
浅間山 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震の多い状態が続いている。噴煙活動は引き続きやや活発で、5〜6日に微弱な火映が観測された。
三宅島 [やや活発な状況]
多量の火山ガスの放出が続いている。
霧島山(新燃岳) [やや活発な状況(レベル2)
火山活動はやや活発な状態が続いている。
霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)
火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。

【静穏な状態であるが、観測データに変化のあった火山】

伊豆大島 [静穏な状況(レベル1)
4〜5日に島の東部で地震がややまとまって発生した。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)


注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態にある火山
 ◇:静穏な状態にあるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
 その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。

● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙の活動に特に変化は見られていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
 3日22時42分頃に継続時間約1分の火山性微動が観測された。前回(2005年9月21日)発生した微動に比べ振幅はやや大きかった。地震活動や地殻変動に特段変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。


● 浅間山  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震の多い状態が続いており、1日あたり70〜130回観測された(前期間の1月30日には168回観測された)。火山性微動は7日に1回観測された。
 傾斜計およびGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。
 山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。また、山麓の高感度カメラ1)で捉えられる程度の微弱な火映が5日夜から6日未明にかけて観測された。
 10日(期間外)に上空から行った観測2)では、火口内は高温状態が続いており、火口底の地形に特段の変化はなく、火口周辺への新たな噴出物は認められなかった。

1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。

2) 長野県の協力により、気象庁と東京大学地震研究所が共同で実施。


◇ 伊豆大島  [静穏な状況 (レベル1)]

 4〜5日に、島の東部の深さ約2〜3kmを震源とする微小な地震がややまとまって発生した。最大地震は4日15時21分に発生したM(マグニチュード)1.4(暫定)であった。震度1以上が観測された地震はなかった。その後、地震活動は落ち着いた状態に戻っている。その他の観測データには特段の変化はなかった。この付近で地震がまとまって発生したのは2004年7月以来である。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
 8日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり2,400〜3,700トンと依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回1月30日2,200〜4,300トン)。
 火山性地震は2日頃から振幅の小さなもののやや多い状態が続いている(期間中は1日あたり18〜55回で推移)。火山性微動は観測されなかった。


● 霧島山(新燃岳)  [やや活発な状況 (レベル2)

 火山性微動が5日に1回観測されたが継続時間の短い振幅の小さなものであった。微動の発生の前後でその他の観測データに特段の変化はなかった(前期間の2月1日には振幅のやや大きな微動が観測され、傾斜計にもわずかな変化がみられた)。火山性地震は5〜6日及び9日にやや増加した。
 期間中、傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなく、監視カメラ(火口の南約7kmに設置)による観測でも火口縁を超える噴気は観測されなかった。

● 霧島山(御鉢)  [やや活発な状況 (レベル2)

 御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。3日に火口縁上100mの高さの噴気が観測された。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]

 期間中、爆発的噴火が1回観測された(前期間は噴火なし)。6日07時25分に爆発的噴火が発生し、灰白色の噴煙が火口縁上500mまで上がった。期間中、鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)で降灰は観測されなかった。
 火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過し、地殻変動には特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている(今期間58回、前期間36回)。火山性微動は少ない状態で経過した。期間中、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 6日から爆発的噴火の多い状態が続いており、6〜9日に1日あたり20〜62回観測された。噴火はいずれも規模の小さいものである。1日あたり50回を超える爆発的噴火が観測されたのは2004年6月7日(73回)以来である(図2)。
 監視カメラ(御岳の北北東約25kmの中之島に設置)による観測で、6日09時25分〜09時55分頃に灰白色の噴煙が観測された(噴煙は火口縁上300mまで上がり雲に入る。以後の噴煙の状況は悪天のため不明)。
 十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、7〜8日に火山灰混じりの噴煙が確認され、8日09時頃には火口縁上500mまで上がっていた。噴煙は南東に流れ、集落(御岳の南南西約4km)で降灰はなかった。集落では7日昼頃にふすまがガタガタゆれる程度の空振があり、8日朝にも小さな空振があった。
 また、9日午後にも監視カメラで灰白色の噴煙が観測され、13時05分には火口縁上600mまで達した(噴煙の頂部は雲に入る)。
 噴火活動に伴い、火山性微動が6日未明から断続的に観測され、振幅のやや大きなものが発生している。

図2 諏訪之瀬島 爆発的噴火の日別発生回数及び噴火の発生状況
     図2 諏訪之瀬島 爆発的噴火の日別発生回数及び噴火の発生状況




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル



表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第5号 3日16:00 1月27日〜2月3日15時の活動状況。30日の火山ガス観測結果。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報
第34〜40号
(1日1回発表)
3日〜9日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。
霧 島 山 火山観測情報第3号 6日14:00 2日〜6日13時の火山性地震及び火山性微動の状況。レベルは新燃岳、御鉢共に2。
諏訪之瀬島 火山観測情報第1号 7日11:00 6日から爆発的噴火が多発している。レベルは3。


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