2006年 No.2 火山の概況 (平成18年1月6日 〜 平成18年1月12日)
【噴火が観測された火山】
【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
- ● 浅間山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 阿蘇山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 桜 島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
- 比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
【静穏な状態であるが、観測データに変化のあった火山】
図1 各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。
注2 記号の意味
▲:噴火が観測された火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状態にある火山
◇:静穏な状態にあるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
● 樽前山 [やや活発な状況]
今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
● 浅間山 [やや活発な状況 (レベル2)]
山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。期間中、火映は観測されなかった。
12日に上空から行った観測1)では、濃い噴煙のため火口内の状況は不明であった。火口周辺に新たな噴出物は認められなかった。
火山性地震は1日あたり12〜30回とやや少ない状態であった。火山性微動は10日に1回観測された。
1)群馬県の協力により、気象庁と東京大学地震研究所が共同で実施。
◇ 伊豆大島 [静穏な状況 (レベル1)]
5〜9日に、島の西方海域の深さ約4〜6kmを震源とする地震がややまとまって発生した。最大地震は8日17時19分に発生したM(マグニチュード)1.8(暫定)であった。震度1以上が観測された地震はなかった。その後、地震活動は落ち着いた状態に戻っている。その他の観測データには特段の変化はなかった。
伊豆大島西方海域では、これまでにもしばしば地震の一時的な多発がみられており、2005年12月29〜30日(前期間)にも発生している。
● 三宅島 [やや活発な状況]
山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。11日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は、1日あたり2,300〜3,400トンと依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回1月4日1,700〜3,900トン)。
火山性地震は少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。
● 阿蘇山 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
今期間、火山性連続微動の振幅はやや小さい状態で経過した。
11日に行った現地観測では、火口内の湯だまり2)は、量が約8割、色が乳緑色、表面温度が62℃(赤外放射温度計3)による)と特段の変化はなかった。湯だまり内では土砂噴出は観測されず、引き続き噴湯現象が観測されている。
孤立型微動及び火山性地震の発生状況には大きな変化はなく、噴煙活動、地殻変動等その他の観測データにも特段の変化はなかった。
2)湯だまり:活動静穏期の中岳第一火口内には、地下水などを起源とする約50〜60℃の緑色のお湯がたまっており、これを湯だまりと呼んでいる。火山活動が活発化するにつれ、湯だまり温度が上昇・噴湯して湯量の減少がみられ、その過程で土砂を噴き上げる土砂噴出現象等が起こり始めることが知られている。
3)赤外放射温度計は、物体が放射する赤外線を感知して温度を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況 (レベル2)]
御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。6〜10日に火口縁上50〜100mの高さの噴気が観測された。
12日に振幅の小さな継続時間の短い火山性微動が観測された。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]
比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった(前期間もなし)。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている(今期間28回、前期間35回)。火山性微動は観測されなかった。期間中、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
9〜11日に噴火が発生し、10日に爆発的噴火が6回観測された。
十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、9〜11日に火山灰を含む噴煙が火口縁上200〜700mまで上がっているのが確認された。10日午後には集落(御岳の南南西約4km)で3回の爆発音が聞こえ、ガラスが揺れるほどの空振があった。10日夜には集落で降灰があった。噴煙高度の最高は10〜11日に監視カメラ(御岳の北北東約25kmの中之島に設置)で観測された火口縁上800mであった