2005年 No.34　火山の概況　(平成17年8月19日 〜 平成17年8月25日)

▲ 桜　島 ［比較的静穏な噴火活動（レベル２）^（注１）］

ごく小規模な噴火は観測されたが、爆発的噴火等^＊は観測されなかった。

（＊：桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発的噴火もしくは一定の規模以上の噴火を桜島の噴火の回数として計数している。）

● 十勝岳 ［やや活発な状況］

噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。

● 樽前山 ［やや活発な状況］

噴煙の状況に変化はなく、Ａ火口及びＢ噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。

● 浅間山 ［やや活発な状況（レベル２）］

活発な噴煙活動、火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。

● 三宅島 ［やや活発な状況］

多量の火山ガスの放出が続いている。

● 阿蘇山 ［やや活発な状況（レベル２）］

中岳第一火口内では、熱的な活動のやや活発な状態が続いている。

● 霧島山（御鉢） ［やや活発な状況（レベル２）］

今期間の活動は低調であったが、長期的にはやや活発な状態が続いている。

● 薩摩硫黄島 ［やや活発な状況（レベル２）］

今期間の活動は低調であったが、長期的にはやや活発な状態が続いている。

● 口永良部島 ［やや活発な状況（レベル２）］

火山性地震及び微動のやや多い状態が続いている。

● 諏訪之瀬島 ［活発な状況（レベル３）］

今期間の活動は低調であったが、長期的には活発な状態が続いている。

図１ 　各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山（火山名に下線）

注１　本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。

注２　記号の意味
　▲：噴火が観測された火山
　●：活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山
　◆：前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
　◇：その他記事を掲載した火山
　□：記事を掲載していないレベル対象火山
　①②等の丸付き数字：火山活動度レベル

注３　記事は、▲、●及び◆（注２参照）に該当する火山について掲載する。
　　　その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

　62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200ｍで推移した。噴煙活動に特に変化は見られていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。

　今期間、Ａ火口及びＢ噴気孔群の噴煙の状況に特に変化は見られていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、引き続き高温の状態が続いていると推定される。

　22日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり300〜900トンで（前回は７月29日1,200〜2,000トン）、今年４月以降、減少傾向が続いている。
　山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は最高で火口縁上200ｍであった。期間中は悪天などにより、山麓の高感度カメラ¹⁾では火映の有無を確認できなかった。
　火山性地震及び火山性微動の回数はやや多い状態が続いており、期間中それぞれ１日あたり24〜72回、０〜３回であった。

1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。

　前期間の14日17時から21時にかけて、駒ヶ岳付近の浅いところを震源とする地震が一時的にややまとまって発生したが、その後の地震活動は静穏に経過している。

　23日に上空から行った観測²⁾では、噴煙高度は火口縁上100mまで上がり、火口内の最高温度は赤外熱映像装置³⁾による観測で約210℃（前回は８月９日約180℃）と高温状態が続いていた。同時に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は１日あたり3,200〜5,900トン（前回は８月16日4,300〜4,900トン）で、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。また、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
　山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出していた。火山性地震の回数は少なく、１日あたり２〜７回であった。火山性微動は観測されなかった。

2) 東京消防庁の協力による。

3) 赤外放射温度計及び赤外熱映像装置は、物体が放射する赤外線を感知して温度もしくは温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。

　中岳第一火口（以下、火口）内では熱的な活動のやや活発な状態が続いている。
　24日夜に監視カメラ（阿蘇火山博物館が火口縁に設置）で、火口底の一部に赤熱現象⁴⁾が観測された。⁵⁾
　22日に行った現地観測では火口内の状況に大きな変化はなく、湯だまりの量は引き続き約２割で、湯だまりの表面温度は72℃（赤外放射温度計³⁾による）と依然として高温であった（前期間69℃）。湯だまり内では引き続き多数の土砂噴出が観測され、最高は約５ｍであった。
　火山性連続微動は振幅の小さい状態が続いている。
　孤立型微動の発生状況には特に変化はなく（今期間は１日あたり42〜99回、前期間は60〜122回で推移）、火山性地震は比較的少ない状態で経過した。噴煙活動、地殻変動等その他の観測データには特段の変化はなかった。

4) 赤熱現象は、地下から高温の火山ガスなどが噴出する際に、周辺の地表面が熱せられて赤く見える現象。阿蘇山では、赤熱域が拡大すると、火孔が開孔し、噴火活動が活発化したことがある。

　今期間の活動は低調であったが、長期的にはやや活発な状態が続いている。

　期間中、ごく小規模な噴火は観測されたが、爆発的噴火等⁵⁾は観測されなかった（前期間も爆発的噴火等はなし）。25日にごく小規模な噴火による噴煙が火口縁上400ｍまで上がるのが観測された。鹿児島地方気象台（南岳の西南西約11km）では、降灰は観測されなかった（前期間もなし）。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。

5) 桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発的噴火もしくは一定の規模以上の噴火を桜島の噴火の回数として計数している。

　今期間の活動は低調であったが、長期的にはやや活発な状態が続いている。

　火山性地震の回数は、今期間は１日あたり３〜８回で推移しやや少ない状態であったが、７月下旬以降、消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている（前期間は同９〜36回）。火山性微動も継続時間の短いものがやや多く発生しており、１日あたり１〜３回で推移した（前期間は同１〜７回）。監視カメラ（新岳の北西約４kmに設置）による観測では、噴気等は観測されなかった。

　今期間は、噴火は観測されず、火山性地震及び火山性微動の活動も低調であったが、長期的には火山活動は活発な状態にあり、時々噴火活動の活発化が見られている。

表１ 最近１か月に記事を掲載した火山（上）及び各火山のレベル（下）