2005年 No.15 火山の概況 (平成17年4月7日〜平成17年4月13日)

雌阿寒岳十勝岳及び樽前山では、噴煙の状況に変化はなく、火口の高温状態が続いていたと推定される。
浅間山では微弱な火映がほぼ連日観測された。火山活動度レベル(以下レベルと記載)は3。
三宅島では、12日にごく小規模な噴火が発生し、山腹でごく微量の降灰があった。
阿蘇山では、14日(期間外)にごく小規模な噴火が発生し、中岳第一火口周辺で微量の降灰があった。14日にレベルを2から3に変更した。
霧島山では御鉢の噴気活動がやや活発であった。御鉢のレベルは2、新燃岳のレベルは1。
諏訪之瀬島では噴火があった。レベルは3。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)


表1 最近1か月に記事を掲載した火山(上)及び各火山のレベル(下)
表1(上) 最近1か月に記事を掲載した火山

表1(下) 最近1か月の各火山のレベル


注1 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発な状態にあるか、もしくは観測データ等に変化があった火山
 ◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
 ◇:その他記事を掲載した火山
 □:記事を掲載していないレベル対象火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注2 記事は、▲、●及び◆(注1参照)に該当する火山及びレベル2以上の火山について掲載する。
   その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

注3 本文の火山名の後ろの[噴煙・噴気・地震・微動・空振・地殻変動・熱・火山ガス等]は、
   変化があった観測データ項目を、数字は火山活動度レベルを示す。


雌阿寒岳 [熱]

 ポンマチネシリ96-1火口の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていたと推定される。


十勝岳 [噴煙・熱]

 62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、高温の状態が続いていたと推定される。遠望カメラによる噴煙の高さは火口縁上おおむね200mで推移した。


樽前山 [熱]

 A火口およびB噴気孔群の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていたと推定される。


浅間山 [噴煙・火映・地震・微動] レベル:3 (山頂火口で小〜中噴火の可能性)

 今期間、噴火は観測されなかった。
 白色噴煙は山頂火口より連続して噴出しており、最高で火口縁上約400mまで上がった。また、微弱な火映がほぼ連日山麓の高感度カメラ1)で観測された。
 火山性地震及び微動は依然としてやや多い状態が続いており、地震が1日当たり60〜80回、微動が0〜5回観測された。
1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が山麓に設置。


三宅島 [噴火・降灰・噴煙・地震・空振・火山ガス]

 12日04時45分頃に空振を伴う低周波地震が発生し、三宅村神着、三宅村坪田で震度1を観測した。地震発生時は天候が悪く噴煙の状況は不明であった。この地震の後、当日午前中に行った調査で、火口の南西約4km付近の狭い範囲でごく微量の降灰が確認された。このごく小規模な噴火は、上記の地震の際に発生した可能性がある(噴火は2004年12月9日以来)。
 火山性地震は、振幅の小さいやや低周波地震が11日の17時台に増加し、当日は1日当たり63回観測された。その他の日は1日当たり0〜20回であった。
 白色噴煙は山頂火口から連続して噴出しており、最高で火口縁上約200mまで上がった。今期間は二酸化硫黄放出量の観測は行わなかったが、三宅村の火山ガス濃度観測によると、山麓ではたびたび高濃度の二酸化硫黄が観測されており、火口からの多量の火山ガス放出が継続していると推定される。


阿蘇山 [噴火・降灰・熱・土砂噴出・孤立型微動・地震] レベル:2 (やや活発な火山活動) → 3 (小規模な噴火の可能性) (期間外の記述を含む)

 14日(期間外)にごく小規模な噴火が発生し、中岳第一火口周辺で微量の降灰があった。
 14日09時頃に、阿蘇市山上事務所から、山上広場で微量の降灰があったとの通報があった。その直後に阿蘇山測候所が行った現地観測によると、火口南側約700m付近まで分布する降灰が確認された他、10時40分〜11時頃には火口北側でごく少量の火山灰が降っているのが確認された。同日15〜16時頃に行った現地観測では、主に中岳第一火口の南西側から西側にかけて及び北西から北東側にかけての、火口縁から約700m付近まで降灰が分布しているのが確認された。午後の観測では、火山灰は降っていなかった。火山活動度レベルを2(やや活発な火山活動)から3(小規模な噴火の可能性)に変更した。噴火が観測されたのは、昨年1月14日に大規模な土砂噴出が発生し、山腹で降灰が確認されて以来であった。
 14日の現地観測によると、中岳第一火口内の状況は、湯だまりの量は約2割(8日の観測で約3割から約2割に減少)、色は灰色で、表面温度は76℃と前回(8日の70℃)より上昇し依然として高温であった。湯だまり内では、中央部付近の高さ約5mのものを含め、多数の土砂噴出が観測された。湯だまりの北側及び火口底南西側の噴気孔からは、青白色の高温のガスが勢いよく噴出し、噴気音は火口縁で非常に大きく聞こえた。14日の噴煙の状況は白色、ごく少量、高さは火口縁上約200mで通常と比べ特に変化はなく、地震活動等その他の観測データにも変化はなかった。
 期間中、噴煙は白色で高さの最高は火口縁上約400m(前期間は300m)であった。
 孤立型微動の発生回数は1,080回で依然としてやや多い状態が続いている(前期間は998回)。火山性微動の発生はなかった(前期間もなし)。火山性地震の発生回数は222回で前期間(456回)より減少した。
 地殻変動等その他の観測データには特段の変化はなかった。


霧島山 [噴気] レベル:御鉢:2 (やや活発な火山活動)新燃岳:1 (静穏な火山活動)

 今期間、御鉢火口の噴気活動はやや活発で、9日及び12日に時々噴気が監視カメラで観測され、高さの最高は火口縁上約200mであった。


桜島 レベル:2 (比較的静穏な噴火活動)

 期間中、噴火はなかった(前期間もなし)。噴煙活動も低調で、鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)で降灰は観測されなかった(前期間もなし)。


薩摩硫黄島 レベル:2 (やや活発な火山活動)

 地震活動、噴煙活動等の観測データには特段の変化はなかった。


口永良部島 レベル:2 (やや活発な火山活動)

 火山性地震及び微動の少ない状態が続いている。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では、噴気は観測されなかった(前期間もなし)。


諏訪之瀬島 [噴火・微動] レベル:3 (小規模な噴火が発生)

 十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、8日に火山灰を含む噴煙が上がっているのが確認された。期間中、集落(御岳の南南西約4km)で降灰はなかった。
 火山性微動は7〜8日に断続的に観測され、一時連続して観測された。



表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第100号
↓(1日1回発表)
火山観測情報第106号
7日16:00

13日16:00
前日及び当日00時〜15時の活動状況(噴火はなし、噴煙・火映・鳴動・地震・微動・地殻変動の状況及び上空の風の予想)。レベルは3。
三 宅 島 火山観測情報第191号
↓(1日2回発表)
火山観測情報第201号
7日09:30

12日09:30
前日15時〜当日09時もしくは当日09〜15時の活動状況、及び上空の風の予想。
火山観測情報第202号 12日16:30 島内の調査でごく微量の降灰を確認。早朝にごく小規模の噴火が発生した可能性あり。12日09〜15時の活動状況、及び上空の風の予想。
火山観測情報第203号
↓(1日2回発表)
火山観測情報第204号
13日09:30

13日16:30
前日15時〜当日09時もしくは当日09〜15時の活動状況、及び上空の風の予想。
阿 蘇 山 火山観測情報第14号 8日11:00 火山活動は引き続きやや活発(孤立型微動及び地震やや多い)。レベルは2。
口永良部島 火山観測情報第16号 8日14:00 火山性地震の発生回数減少。長期的にはやや活発な火山活動が継続。レベルは2。

表3 火山情報発表状況(期間外)
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
阿 蘇 山 臨時火山情報第1号 14日12:00 中岳第一火口周辺で降灰を確認。レベルを2から3に変更。
火山観測情報第15号 14日17:45 ごく小規模の噴火発生。現地観測結果(降灰の状況、火口内の状況)。レベルは3。


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